舞台・映画フィルム保存室(room32)



34:センチメンタルシティマラソン(cinema)


 


騒めき 灼ける陽射し 囁き
真昼に浮かぶ月 目覚めてもまだ 夢の中にいる
見知らぬ町 醒めない夢

そのどこにも私だけがみつからない

いつからだろう もうずっと 風を感じない
空気が淀んでいる
この町は海の底だ
道の果ては陽炎に揺らめいて見えない
泳ぐようにさまよって
今日もまた 見つけられずに

欠けているのは私自身だ
どこかにいる もうひとりの自分
その存在だけが 私の中を漂い続ける



監督
 新藤薫 2000年 日本
出演
ともさかりえ/佐伯日菜子/寺田農/松田ケイジ/菊地健一郎



◎総評◎ C−
  ともさかりえプロモーションビデオ、を、5分くらいでとったほうが多分素敵です。
 予告のほうが格好よい、な、パターン。



 劇場版予告を見て、みてみたいなと思った作品。ともさかりえは虐げられる役、受難の役が似合う気がして、予告編のなかのひとつの映像=『花をかかえて微笑む、花束を抱えたまま血を流す』彼女のすがたがみてみたくて。

 ともさかりえの一人二役の物語。
 表面が「マチネ」=殺し屋。裏面は「ソワレ」=口のきけない”ふりをしている”花屋。彼女たちは事故で生き別れになったらしい。そして互いで互いを探しているけれど、互いの声すら忘れている、というお話。
 舞台はアジアのどこからしい。

 ということで。
 設定自体はどこか少女漫画なセンチメンタリズムをふくんでいそうなんだけれど、突っ込みどころが多すぎる。
 マチネとソワレって名前も、そりゃあないだろう。裏と表をだしたかったんだろうけれど。
 だいたいなんでアジアなんだ。なのに現地のことばを喋るひとが脇キャラの下宿屋のおばさんらしいひとだけっていうのはどういうことだ。それ以外は全部日本語。なんて無理矢理なんだ。
 マチネはとにかく殺し屋で12才からピストルをもってて寺田農に「わかりましたもとじめ」とかいってるし人を撃って泣いてるしなんでそんなんで生きてこれたのか謎。
 マチネが殺した男の妹がコミケって名前で、現地のおばさんに現地語で罵られながら追い出されてるときに、的確に日本語で答えているのもすごい。「ねえきいて、兄さんが殺された!あの女が殺した!」と日本語で市場をかけめぐるのもすごい。そして彼女の名前ってすごい。
 さらにやくしじやすえいが殺し屋で登場して、かつ殺す方法がボクシングってのがすごい。。さらに彼の演技もとってもすごい。

 妹側。ソワレのおともだちで、花を一輪ずつ河にながしている青年がすごい。甘い夢がすごい。彼の歌もすごい。
 かつ、ソワレ自身の、「口の効けない『ふり』をしている」花屋、っていう設定ってすごい。

 ・・・・・マチネをうちにくる殺し屋、フェイ=佐伯日向子(どっかでB級映画の女王、とかかかれていて、哀しくも笑いたくなった)がコミケを拾って世話してあげて、煙草吸っている 場面はすきなんだけどね。てか佐伯日向子は好きなんです。


 とにかく全般、ストーリーを動かすときには誰かのモノローグしか使わないって言う手法は間違っている気がしました。まさしく「ひとりよがり」な。
 だから、ことばがない、映像が切れ切れにつながっただけの予告編のほうが美しくて、ひかれたんだろうなと。
 マチネとソワレとをつなぐ、予告に一番近い、音楽だけが流れて、ほんのすこしだけモノローグがある場面はやっぱり美しかったもの。
 ディティルだけで物語をでっちあげるつもりなら、むしろクリップのように映像と音だけを流してくれたほうが綺麗に違いない。
 そんな印象の、映画でした。




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