舞台・映画フィルム保存室(room48)



50:沙羅双樹(cinema)






監督・脚本
  河瀬直美 2003年 日本
撮影
  山崎裕
音楽
  UA
キャスト
 福永幸平/兵頭祐香/生瀬勝久/樋口可南子/河瀬直美



◎総評◎ B−
  見終わって時間が経つほど、よい印象に変わっていく不思議な映画。
  けれど、誰かに薦めるか?といわれると、薦めない気がする。
  そして、酔います。三半規管が敏感なかたはお気を付けて・・。



『このまちでいきていく。』


 奈良の旧市街、ならまちを舞台に、古からずっと続く町の、今の風景を撮っています。
 パンフレットや、CMで知っていた情報と、大きくずれはしないんだけれど、受ける印象は結構違いました。
 ストーリーより、ドキュメンタリーな感じ。
 あらすじを読むと「すごく何かが起こりそう」な映画なのに、そして独白や動きや、「大きな出来事」は含まれているのに、99分を通してみると、ものすごく静か。
 双子の兄が居なくなってとか、夕の出生の秘密がとか、もしかしてそれのどれもあんまり意味が無い。
 どんなに自分が焦っていて、体感速度が実際とはずれていても、時間の流れは一定で、自分にあわせて目盛りが変わるわけじゃないというような。
 どんなに恐ろしいことも嬉しいことも悲しいことも淡いどきどきも、祭りの興奮も毎日の穏やかも暑い日差しも、全部ひとのなかにある「いつも」がくるんでいる。


 一番好きな場面は、何日か経ってもフラッシュバックしています。
 黄色の衣装。掛け声。足踏み。メロディ。雨。
 暑い畑のしたで、一瞬立ち止まる母親の表情。最後の場面。
 けれどそれは「場面」で、「物語」じゃない。



 とにかく主人公の父親役の生瀬さんが素敵で素敵で、それだけで良いや、とか。
 二つの際立つ場面の「動」(ハレとケ、のハレ?)が恐ろしく印象的だ、とか。
 その印象から、私の記憶には「良い印象」を焼きつけるんだけれど。
 誰かに薦める?といわれると、やっぱりちょっと、迷うのは何故だろう。




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