舞台・映画フィルム保存室(room49)



51:蒸発旅日記(cinema)






監督
  山田勇男 2003年 日本
原作
  つげ義春
キャスト
    銀座吟八/秋桜子/清水ひとみ/住吉正博/藤繭ゑ



◎総評◎ C
  主人公が旅をしているのに、動いているのに、何も起こらない。
  なのに、見終わったあと、水のきらきらの印象がすごく残る。



『私は東京を逃げ出し、私のファンだという女と、結婚しようと思った。』


 監督さんが「アンモナイトのささやきを聞いた」をとったひとで、原作がつげ義春、ということで、興味をひかれました。


 ああ寺山修司の世界だ〜、と思いました。
(イメージですが)
 最近復刻した草迷宮とかとすごく似たイメージ。
 脈絡無く顕れる裸の少年、文字盤のくだけた大きな時計、古びたストリップ小屋。
 古い電車と、舌足らずな少女の話し方。
 でもそれだけじゃ、別に心が揺り動かされはしない。
 主人公に感情移入することも、そのほかに感情移入することもなく。
 綺麗で綺麗でないものの風景を見せられているので。
 古道具屋の、見ていて綺麗なんだけど、手をとるに至らないときの気持ちでした。


 多分、懐かしむにはまだ近く。
 共感するには、もう遠い。
 そんな感覚の映画でした。


 ただとにかく「画像」としての美しさは素敵でした。
 オープニングの、大きな川のそばに佇む主人公と影の画とか。
 水がきらきら流れていく川とか。
 あと、精神病院を抜け出してきた青年二人が妙に印象的だった。
 意味を掴みきれない印象を残された、という意味で、見に行ってよかったなと思いました。
 ただ、もっと感情が動くもののほうが、わたしは好きみたいです。




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