舞台・映画フィルム保存室(room9)



11:エンジェル・ダスト(cinema)


精神的離れ小島にすんでいたしたら。

人間は誰も離れ小島ではない。

覚えてたのかい。ジョン・ダンの詩。

あなただって離れ小島じゃないのよ。
囚われている。
あたしは、あなたに囚われているのよ。




犯人はあたしのなかにいる。





そのドアは開かない。



監督

石井總亙   1994年 (日本)

出演

南果歩/若松武/豊川悦司/滝沢涼子/塩野谷正幸/近藤等則


 ずっと以前、BS放送あたりで放映している一場面を見て、いつかちゃんと見よう〜と、思っていた作品です。探したら、なぜだか「豊川悦司」コーナーにあった・・主演でもないのに。
 いわゆる「カルト」が問題になる以前に撮られた作品なのですが、ひとの心の洗脳、ということがテーマのひとつになっていて、場所設定が富士山の麓〜とかいうあたりも当時話題になったとかならないとか。でもそんなことを考えないでみても、別に問題はないです。

 主人公は「異常犯罪心理捜査官」である女性(南果歩)。毎週金曜日、午後六時に犯行を行う猟奇殺人犯を追うチームにはいるところから物語ははじまります。殺人の手口は恐ろしく鮮やかで、第一、第二の犯行が行われたのは通勤ラッシュの山の手線の中だというのに、ひとりも目撃者がいない。
 ランダムに選ばれたとしか思えない、被害者たちの「選ばれた理由」を探すうち、その昔付き合っていた同業者、阿久礼(若松武)の姿が事件の裏に現れる。彼は、被害者のひとりが、新興宗教からうけた洗脳を、「逆洗脳」を施すという方法で対抗していたらしい・・・

 粗筋をまとめるのが難しい作品です。一応なぞ解きの要素もある?ので、あまり内容については触れないでおきます。で。最初は捜査するぞ〜、という南果歩の側の目にたっているのです。それがいつのまにか。「囚われている。」ラストシーン、私の「目」はまるっきり若松武側の心理状態だったな〜。そういう目的の映画なのだろうか。と思ってしまいました。受け手の、主観が変化していく様を楽しめる映画ってそんなにないような気がします。

 ということで、後半南果歩さん追いつめられてくるのがちょっと痛々しい(見てて辛い〜。金切り声で叫ばないで〜)けれども、その他の場面はとってもとっても映像&音楽的に見ていて楽しいです。4人目の被害者を予測して、南果歩さんが走る場面の「赤」が美しいとか。遺留品のスライドをパシャパシャとうつす場面は、まばたきを操るように感じることとか。 はじめて阿久礼が画面に登場するのは写真なのですが、その写真のブレ加減が絶好とか。場面の切り替えも早いのに、ちゃんとついていけて好きです。
それから、やっぱり一番美しく感じたのは、この映画を見よう、と心にかきとめるきっかけになった、偶然TVで見た場面だったのが面白かった。南果歩と若松武の二人が、林のなかで再会する場面。あの木漏れ日はとても美しいのであります。

 まあ、身を滅ぼすかもしれない類の綺麗なものがみたいとき。それから、「囚われていてしまいたい」というような疲れ方をしてしまったときに見ることをお勧めいたします〜。   




舞台・映画フィルム保存室入り口へ


図書館入り口へ