TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 40 Best-Selling Singles: Week ending March 31, 1951

01 Be My Love - Mario Lanza (RCA Victor)
02 If - Perry Como (RCA Victor)
03 My Heart Cries For You - Guy Mitchell (Columbia)
                          - Dinah Shore (RCA Victor)
                          - Vic Damone (Mercury)
                          - Jimmy Wakely (Capitol)
04 You're Just In Love - Perry Como (RCA Victor)
05 The Tennessee Waltz - Patti Page (Mercury)
                       - Guy Lombardo & Royal Canadians (Decca)
                       - Les Paul & Mary Ford (Capitol)
                       - Jo Stafford (Columbia)
06 Aba Daba Honeymoon - Debbie Reynolds & Carleton Carpenter (M-G-M)
07 Mockin' Bird Hill - Les Paul & Mary Ford (Capitol)
                     - Patti Page (Mercury)
08 A Penny A Kiss - Tony Martin & Dinah Shore (RCA Victor)
09 Would I Love You (Love You, Love You) - Patti Page (Mercury)
10 The Roving Kind - Guy Mitchell (Columbia)
                   - Weavers (Decca)
 昭和27年3月最終週、ヒットチャートの1位を記録していたのはマリオ・ラン ザの「Be My Love」でした。

 ランザはフィラデルフィア出身のテノール歌手。彼がメディアで注目を集め たきっかけは1949年の映画「This Midnight Kisses(真夜中のキス)」に抜擢 されたことから。「20世紀最も恵まれた声の持ち主」と絶賛されることもある その歌声と、非常に端正なルックスで一躍話題となり、続いて出演した映画 「The Toast of New Orleans」で紹介されたこの「Be My Love」が200万枚を 売り上げて一大センセーションを巻き起こしました。

 とにかくこの時期“アイドル・オペラ歌手”ランザの人気ぶりは大変なもの があったらしく、その様子は数年前に公開された映画、ケイト・ウィンスレッ トが非常に若い「乙女の祈り」にも重要なエピソードとして折り込まれていま した。ランザは続いて彼自身その再来と称された伝説のオペラ歌手、エンリ コ・カルーソの伝記映画「The Great Caruso(歌劇王カルーソ)」で主役を務 め、その人気は絶頂期を迎えました。

 しかし、短期間に急激な成功を手にしたアーティストが陥りがちな道に、彼 もまたはまってしままいます。この数年後にアルコールと薬物でトラブルを立 て続けに起こした彼は追われるようにイタリアに移住、そこで1959年に命を落 としたのでした。このチャートに登場している他のヒット曲と比べ、如何にも 前時代的で大仰な「Be My Love」ですが、“3大テノール”が現在なお安定的 な興行として世界中で受け入れられていることを考えれば、彼の歌声も時代を 超えて一定の音楽ファンの耳に届き続けているのでしょう。このメルマガで は、ちょっと場違いな感がありますが。。(このコーナー自体場違いという話 もありますが)

 2位以下の顔触れを眺めると、この時期のヒットチャートがどのような基準 で作られていたのか判りませんが、ごく限られた人気アーティストたちにヒッ トチャートの上位を独占されているような印象があります。まず2位と4位に登 場しているのは、アメリカのヒットチャート史上、最も長期間に亘ってチャー トに登場し続けたアーティストの一人、ペリー・コモ。彼にとってこの年最大 のヒットとなった「If(8週連続1位)」は1930年代のレパートリーを掘り起こ した重厚なバラードでしたが、4位の「You're Just In Love (I Wonder Why)」は、軽〜くウナる感じのポップス。こういう“イージー・ゴーイング” なものが、彼は一番いいんです。この曲でコーラスを務めているのは、この時 期彼のセッションのレギュラー的存在だったフォンテイン・シスターズ。後に独立 して「Hearts Of Stone(55年1位)」の大ヒットを飛ばす彼女たちが、コモと 共演した録音群が昨年RCAレコード100周年企画の一つとして1枚のCDにまとめ られています(日本盤も出ました!!BMGファンハウス偉いっ!!!)。この時代の ポップスの楽しさが存分に伝わってくるこのCD、是非とも輸入盤より安い日本 盤を、皆さんに近所のレコード屋さんで取り寄せて、聴いてみていただきたい ところです。

 3位の「わが心はむせび泣く」でブレイクしたのは白人男性シンガー、ガ イ・ミッチェル。18世紀フランスで生まれた「マリー・アントワネットの歌 (どんな内容なんでしょうね?)」を元に作られたというワルツ調のこの曲 は、彼にとって初のナンバー1ヒットとなりました。

 その後50年代を通じてカントリー調のポップヒットを連発していった彼が続 いてチャート上位に送り込んだ「The Roving Kind」は、イギリスのフォーク ソングが元になったもの。競作のウィーヴァーズは、ピート・シーガーとウデ ィ・ガスリーという伝説的なフォークシンガーを擁したモダン・フォークの先 駈け的存在のグループ。前年「Goodnight Irene」を3ヶ月巻ヒットチャートの トップを独走する大ヒットとさせた彼らは、この年も「On Top Of Old Smoky (8週連続2位)」が大当たり。それらの作品はオーケストラをバックにした “水増し”的なフォーク・ミュージックでしたが、一方でワールド・ミュージ ック的なレパートリーをヒットチャートに送り込むことにかけては並々ならぬ 鼻の利きぶりを発揮し、52年にヒットした南アフリカの民謡「Wimoweh」はト ーケンズが「ライオンはねている(61年1位)」として、今回登場している 「The Roving Kind」のB面に収録されていた「Wreck of the John B」はビー チボーイズが「スループ・ジョンB(66年3位)」として蘇らせるなど、後年の 音楽シーンで芽をふく様々な種を残していったのでした。

 話をちょっとだけ「わが心はしのび泣く」に戻しますが、数多くある競作の 中で私が一番好きなのは、冒頭いきなり“泣き節”に持ち込むダイナ・ショア 版。当時有数の人気歌手だった彼女は、このチャートに人気者のレーベルメイ ト、トニー・マーティンとのデュエット「A Penny A Kiss」も送り込んでいま す。

 5位にはこの年を代表する、というより50年代を代表する大ヒット曲「テネ シー・ワルツ」が登場。この3年前(1948年)にカントリーチャートで大ヒッ トしたこの曲を全世界的に流行らせた彼女は、勢いに乗って情熱的な「Would I Love You」、彼女の得意とする軽いポップス「Mockin' Bird Hill」と立て 続けにヒットチャートの上位に送り込みました。

 で、この勢いにやや割を食ってしまった印象があるのがレス・ポールとメリ ー・フォード夫妻。「Tennessee 〜」と「Mockin' Bird 〜」が見事に“カブ って”しまい、パティ・ペイジに押され気味の状態。レス・ポール(彼の名前 が冠されたエレキギターをお持ちの方もいらっしゃるでしょう)は40年代既に すべての楽器演奏を一人で多重録音する元祖“宅録派”で、奥さんのメリー・ フォードにも多重唱させたりして、マニアックの極みのようなレコードを作っ ていましたが、テクノロジーの発達により50年代に入るとそれは一般的なもの となり、パティ・ペイジだってこの時それをやってのけていました。彼らは大 いに焦ったでしょう。しかし、それから間もなく二人は「How High The Moon (9週連続1位)」と「The World Is Waiting For The Sunrise(『世界は日の 出を持っている』2週連続2位)」を大当たりさせ、単なる“マニアック夫婦” 以上のステイタスを手にします。

 今回は紹介する曲の順番が物凄く前後してしまったので、非常に読みにくく なってしまったかも知れません。最後に紹介するのはデビー・レイノルズとカ ールトン・カーペンターが映画「Two Weeks With Love」で披露したこの週6位 「Aba Daba Honeymoon」。映画に関しては映画「ザッツ・エンターテインメ ント」で取り上げられた部分(ちょうどこの曲を歌っています)しか観たことがない私ですが、デビー嬢の愛らしさはよ くわかっているつもりです。永遠の名作ミュージカル映画「雨に唄えば(52 年)」の彼女、永遠の名曲「タミー(57年1位)」における彼女の歌声・・。 そういえば数年前、ケビン・クライン主演の愛すべきゲイ映画「イン&アウト (97年)」のクレジットで彼女の名前を見つけた時は驚いたものでした。主人 公の母親を演じた彼女は、やはり愛らしかった。これこそ“天賦の才能”と呼 ぶべきものなのでしょう。


(2002.4.2)

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