TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 50 Best-Selling Singles: Week ending April 19, 1952

01 Blue Tango - Leroy Anderson & "Pops" Concert Orchestra (Decca)
              - Hugo Winterhalter & Orchestra (RCA Victor)
02 Wheel Of Fortune - Kay Starr (Capitol)
                    - Bobby Wayne (Mercury)
03 The Blacksmith Blues - Ella Mae Morse (Capitol)
04 Cry - Johnnie Ray & Four Lads (Okeh)
05 Any Time - Eddie Fisher (RCA Victor)
06 Tell Me Why - Four Aces (Decca)
               - Eddie Fisher (RCA Victor)
07 A Guy Is A Guy - Doris Day (Columbia)
08 Please, Mr. Sun - Johnnie Ray (Columbia)
09 Perfidia - Four Aces (Decca)
10 I'll Walk Alone - Don Cornell (Coral)
 昭和27年5月第3週のヒットチャートナンバー1は「ブルー・タンゴ」でした。

 この曲をヒットさせたルロイ・アンダーソンは、1946年から50年にかけてボストン・ポップス・オーケストラの指揮を執っていた人。曲のクレジットにある「ポップス・コンサート・オーケストラ」というのは、当然この前職に因んだものなのでしょう。今で言うところの“コンテンポラリー・クラシカル”な作風のレコードを数多く発表しており、作曲家としてはクリスマスソングの定番「Sleigh Ride(そりすべり)」を作ったり、誰でも一度は耳にしたことがあるであろう、オーケストラとタイプライターのユーモラスな共演「The Typewriter(53年米21位)」なんてのも、実は彼のレパートリーだったりします。

 この「Blue Tango」も彼の自作曲ですが、この時期アメリカは「エル・チョクロ」を英語化した「Kiss Of Fire」がジョージア・ギブスの歌でナンバー1になるなど、どういう訳か ちょっとしたタンゴ・ブームっぽい状態にあり、それもあってのこの曲の発表だったのでしょう。この“ラテン・ブーム”は50年代を通じて色々とスタイルを変えながら続き、この数年後にはマンボが大爆発し、その後カリプソ、チャチャチャ・・と、今聴いても非常に楽しいヒット曲が多数生まれたのでした。

 続いて2位は「幸運の輪」。この曲で最もヒットしたのは女性歌手、ケイ・スターのバージョンで、冒頭ルーレットがカラカラと廻る効果音が耳を捕えます。この曲で彼女は終始声を張り上げて歌う「R&Bスタイル(?)」の唱法を試みており、それが評価されたのかよく判りませんが、R&Bチャートでもこの曲はボルティモア出身のボーカルグループ、カーディナルスによる味わい深いカバーバージョンがヒット(6位)しています。

 ケイ・スターのところで私が敢えて「R&Bスタイル」という言葉を使ったのは、このチャートではそろそろ、来るべき「R&Rの時代」の前兆を感じさせるR&Bテイストの曲が顔を出し始めているから。3位に入っているエラ・メイ・モーズは、この10年前から非常に“クロい”フィーリングのレコーディングを残してきている白人女性シンガー。彼女がフレディ・スラック楽団にフィーチャーされて歌った「Cow Cow Boogie」は1942年に創立されたキャピトル・レコードの第1回発売新譜の一枚で、それがいきなりミリオン・セラーを記録したことから、彼女は現在なお精力的に事業を展開している同社の「第1号ヒット・シンガー」として特別な存在になっているようです。この曲はその彼女が40年代半ばに一旦音楽界を引退し、この年久々にシーンに復帰して記録したヒット。曲の全編に槌打つような「キン、キン」という効果音が入っており(この時期のキャピトルは、随分効果音に凝っていたみたいです)曲のユーモラスな雰囲気も相俟って、随分と楽しいものになっています。

 続いて4位は50年代前半を代表するシャウター、ジョニー・レイのデビュー曲「クライ」。現在は普通の“情熱的なバラード”くらいにしか聞こえないこの曲ですが、当時はある意味ヒステリックともいえる彼の歌唱法を、それまで前例のないものとして扱いに困ったのでしょう、コロンビア・レコードはこの曲を傘下の黒人音楽レーベル「オーケー」から発売しました。恐らくこの試みが失敗したら、それは“なかったこと”にしよう、という思惑だったんだろうということは、これに続いてリリースされたバラードの「Please, Mr. Sun(この週8位)」以降の作品は本体コロンビアから出されていることからも窺い知ることが出来ますが、予想に反して「クライ」はヒットチャートのトップに上り詰め、ジョニー・レイという新しいタイプのシンガーの登場を印象付けたのでした。残念ながら彼はその後バラード系の作品を中心に発表していくこととなり、プレR&R的な作風は主にシングルB面曲やアルバム収録曲、ライブパフォーマンス等のみで聴くことが出来るという状態になります(数年前それらの作品を集めたCDが発売されました)。

 5位以下はこの時期を代表する人気アーティストが続々と登場しています。5位、6位と曲を送り込んでいるのは、ポップス界のニューアイドル、エディ・フィッシャー。5位の「エニータイム」はカントリー史上最大のヒットメーカーの一人、エディ・アーノルド1948年の大ヒットのカバー。ここ何週かお伝えしている通り、50年代前半はポップ系アーティストが挙ってカントリーナンバーを取り上げる風潮がありましたが、一方でカントリーの方も音楽のポップ化が進行、アーノルドも“南部のペリー・コモ”的なテイストで人気を博したのでした。

 6位の「Tell Me Why」をフィッシャーと競作しているのは、この時期から50年代後半にかけてトップボーカルグループとしてシーンに君臨するフォー・エイセズ。彼らがこの週もう一曲チャートインさせている「Perfidia」はラテンのスタンダードナンバー。

 7位はドリス・デイの「A Guy Is A Guy」。有名な「Sentimental Journey」をはじめ40〜50年代に数え切れないほどのヒットを放った彼女でしたが、50年代に入ると今度はハリウッドで数え切れないほどの主演作に出演。そこでも成功を収めました。この曲は、この頃の彼女が得意としていた非常に軽いタイプのポップスです。

 最後10位は「I'll Walk Alone」。この時期既に何度目かのリバイバルを記録しているこのバラード、このチャートではサミー・ケイ楽団から独立したドン・コーネルの名前のみがクレジットされていますが、ほぼ同時期にダイナ・ショアのバージョンもヒットしていたようです。未聴ですが、彼女のバージョンの方が、出来は良いはず。


(2002.4.16)

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