TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 50 Best-Selling Singles: Week ending May 14, 1955
01 The Ballad Of Davy Crockett - Bill Hayes (Cadence)
                               - Fess Parker (Columbia)
                               - "Tennessee" Ernie Ford (Capitol)
02 Unchained Melody - Les Baxter & Orchestra (Capitol)
                    - Al Hibbler (Decca)
                    - Roy Hamilton (Epic)
03 Cherry Pink And Apple Blossom White - Perez Prado & Orch. (RCAVictor)
                                       - Alan Dale (Coral)
04 Dance With Me Henry (Wallflower) - Georgia Gibbs (Mercury)
05 The Crazy Otto - Johnny Maddox (Dot)
06 Darling Je Vous Aime Beaucoup - Nat "King" Cole (Capitol)
07 Whatever Lola Wants - Sarah Vaughan (Mercury)
                       - Dinah Shore (RCA Victor)
08 Tweedle Dee - Georgia Gibbs (Mercury)
09 The Breeze And I (Andalucia) - Caterina Valente (Decca)
10 Honey-Babe - Art Mooney & Orchestra (M-G-M)
 R&Rがヒットチャートを席巻する前夜、映画「バック・トゥ・ザ・フューチ ャー」でマーティ少年がタイムマシンで両親の青春時代に降り立とうかという 昭和30年5月のヒットチャートのナンバー1は、映画「デイビー・クロケット/ 鹿皮服の男」の主題歌「デイビー・クロケットの唄」でした。

 現在日本でディズニーランドのアトラクションとして知名度の高いデイビ ー・クロケットは、アメリカの歴史的英雄。主演のフェス・パーカーが歌った バージョンもよく売れましたが、一番のヒットとなったのはビル・ヘイズ盤。 この曲は日本でも小坂一也の日本語盤がヒットしたそうで、また数年後には大 ヒット映画「アラモ」にジョン・ウェイン扮するデイビー・クロケットが登場 したこともあり、この時期日本人にとっても随分身近なキャラクターだったよ うです。

 続いて2位はこちらも映画主題歌「アンチェインド・メロディ」。今回調べ て初めて知ったのですが、この映画「Unchained」は実際にあった刑務所を舞 台としていて、そこでは囚人たちを鎖でつなぐことなく自主性を持たせて収監 していた、というまさに「Unchained」な物語なんだとか。そのテーマ曲とし て「Unchained Melody」という美しい曲を作り上げたアレックス・ノースのセ ンスは大変なもの(詞もやたらスケールが大きい!)。この曲がその後映画を 離れて大スタンダードとなったのは、皆さんご存知の通り。競作盤のうちレ ス・バクスターのバージョンはナンバー1を記録、アル・ヒブラーとロイ・ハ ミルトンは、バラードを得意とした黒人男性シンガーです。

 3位の「セレソローサ」はフランスで1950年に発表されたシャンソンが原 曲、そして映画「Underwater」のテーマ曲ですが、それより何より、ペレス・ プラード盤でアメリカの“マンボ・ブーム”が最高潮に達した一曲として記憶 されています。1950年前後にプラードがメキシコで完成させた「マンボ」は 徐々にアメリカに浸透し、54年から55年にかけてヒットチャートには様々なマ ンボ・ナンバーが登場しました。ペリー・コモの「Papa Loves Mambo(『パパ はマンボがお好き』54年4位)」やローズマリー・クルーニーの「Mambo Italiano(54年10位)」、ヴォーン・モンローの「They Were Doin' Mambo (54年7位)」といったポップヒットに加え、カントリーチャートではハン ク・スノウの「That Crazy Mambo Thing(『クレージー・マンボ』54年 10位)」が、R&Bチャートではルース・ブラウンの「Mambo Baby(54年1位)」 が大ヒットするなど、マンボはジャンルを超えてアメリカを席巻する一大現象 となりました。

 そこで発表された「本家」のこの曲は、この年の年間チャートの1位に選ば れる大ヒットを記録。R&Rの嵐が吹き荒れる直前に、ブームは頂点を迎えまし た。なお競作のアラン・デイルはボーカル版。無難な仕上がりです。

 4位にはいよいよR&Rソングが登場、ジョージア・ギブスの「Dance With Me Henry」。これはR&Bグループ、ミッドナイターズがこの前年に大ヒットさせた 「Work With Me Annie(54年R&B1位/POP21位)」が元になった曲で、この年 に入って女性R&Bシンガー、エタ・ジェイムスがアンサーソング「The Wallflower (Roll With Me Henry)」を発表してこれも大ヒット(R&B1位)。 “Work With Me”も“Roll With Me”も結構キワどい言い回しということで、 白人のジョージア・ギブ スがカバーする際は穏便な“Dance With Me”に変更されました。

 余談になりますが、当時「Work With Me Annie」の大ヒットに便乗する数多 くの“アニーズ・ソング”がR&B界に生まれたそうです。本家のミッドナイタ ーズも「アニーが姙んじまって、もう俺の相手をしてくれねぇ。」という 「Annie Had A Baby(54年R&B1位/POP23位)」や、何故かニューキャラが登 場する「Annie's Aunt Fannie(54年R&B10位)」、更に「Dance With Me Henry」のヒットに応えて返歌の返歌「Henry's Got Flat Feet (Can't Dance No More)(55年R&B14位)」なんてのまで発表してますから、かなりの過熱状 態だったのでしょう。

 で、ジョージア・ギブスのR&R路線が、もう一曲今回のチャートに登場して います。8位の「Tweedle Dee」はラヴァーン・ベイカーのR&Bヒット(R&B4位 /POP14位)のカバー。この曲はエルヴィスも初期の十八番にしていたよう で、ちょうどこの時期にラジオに出演してこの曲を歌った録音がCDとなり、先 日「The Elvis Broadcasts」のタイトルで発売されています。

 5位「Crazy Otto Medley」のオリジナルは、ドイツの“Der Schrage Otto” なるアーティストが1954年に録音したラグタイム調のメドレー「Die Beschwipste Drahtkommode」。レコードコレクターでもあったというテネシー 州出身のピアニスト、ジョニー・マドックスは見つけたこの曲に「クレージ ー・オットーのメドレー」という非常にアメリカ人らしい大雑把なタイトルを つけ、カバー盤を発表したところミリオンセラーを記録。この手のヘンなヒッ ト曲は、いつの時代にもあるものです。

 6位はこれまたヨーロッパ産のヒット曲「ダーリン・ジュ・ヴ・ゼイム・ボ ークー」。この曲は1930年代に作られたもので、アメリカでは1943年にヒルデ ガードという女性シンガーがヒットさせ、彼女のテーマ曲的存在になっていた そうです。今回はそれをナット"キング"コールがリバイバル。今回のチャート はやたらヨーロッパ生まれのヒット曲が出てきますが、アメリカのヒットチャ ートへのヨーロッパ大陸からの影響というのは、調べてみると結構近年まで (70年代くらい?)色 濃く残っているんですよね。ヨーロッパ音楽に限らず、ラテンも、そしてカン トリーもR&Bも登場している今回のチャート。私は、音楽は混血が進めば進む ほど面白いものが出来上がると考えていますので、こういうリストを見ると結 構ワクワクします。R&R前夜はこんな状況だった訳です。

 7位はミュージカル「Damn Yankees(くたばれ!ヤンキーズ)」からのナン バー「ローラの望むままに」。こちらは“米国産タンゴ”といった趣ですね。 この前年にヒットした「Hernando's Hideaway」といい、この時期のブロード ウェイはタンゴ流行りだったのでしょうか?そして9位はフランス出身のイタ リア系シンガー、カテリーナ・ヴァレンテの「そよ風と私」。英米ではこのキ ューバ産のナンバー(1940年にはジミー・ドーシー楽団でナンバー1ヒット) が唯一のヒットとなっていますが、日本ではその後60年代迄人気を博したシン ガーでした。このレコードでバックを務めているウェルナー・ミューラーは、 日本ではリカルド・サントスの名でも知られている人で、57年には「真珠採り のタンゴ」が、60年には再びヴァレンテと組んだ「情熱の花」が我が国で大ヒ ットしています。

 最後10位、これは映画「Battle Cry(愛欲と戦場)」のテーマ曲、アート・ ムーニーの「ハニー・ベイブ」。マーチ調の曲で、ちょうどこの年ナンバー1 になった「The Yellow Rose Of Texas(テキサスの黄色いバラ)」に通じるテ イストです。アート・ムーニーは40年代後半からこの時期まで人気があったバ ンドリーダーで、1948年に「I'm Looking Over A Four-Leaf Clover」が全米 ナンバー1。1960年には「バッファロー大隊マーチ」が日本でヒットしていま す。


(2002.5.15)

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