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で、彼女がヒロインを演じ、フレッド・アステアと共演した「足長おじさん(ギンガムチェック姿の彼女の可愛らしいことといったら!)」の主題歌としてシングル発売されていたフランク・シナトラの「Dream(45年米5位)」も8位にランクイン。本国での成績を見ていただけば判るとおり、このバージョンは当時既に10年も前に録音されたもので、その頃シナトラは大戦に出かけて行った若者たちに代わり、ラジオを通して全米の婦女子に甘い愛を囁く“仮想恋人”全盛期。戦争が終わると彼は暫し低迷期を迎え、50年代前半に見事カムバック。この頃(55年)はキャピトル・レコードから数々の名作アルバムを発表する一方、シングルチャート上位に登場し続けるという新たな黄金期にありました。
4位はフォア・エイセスの「Love Is A Many-Splendored Thing(米1位)」。この曲には「恋ははかなく」という邦題もつけられていた様なのですが、当時のチャートを見ると並行して両者が使われていたみたいですね。ただ、映画「慕情」主題歌という印象があまりにも強い為、現在「〜はかなく」というタイトルが使われることはなくなっていますが。
そして5位、こちらは映画「旅情(紛らわしい!)」のテーマ「Summertime In Venice」。この曲はこれに先立つこと数ヶ月、映画で主演していたロッサノ・ブラッツィのボーカルバージョンが「ヴェニスの夏の日」として大ヒットを記録し、多くの人々の記憶に残っている様なのですが、記録を調べてみると「旅情のボレロ」と題されたケリーノ楽団盤(恐らくインスト)も「ユアー・ヒットパレード」に登場し、この何週間か前には1位を記録するほどのヒットになっていたようです。歴史に埋もれてしまったヒット曲、といったところでしょうか。
6位、7位は一緒に紹介。まずグレン・ミラーの「Moonlight Serenade(39年米3位)」がこの頃にヒットしているのは、彼の伝記映画「グレン・ミラー物語」が公開されたから(っていうのも以前書いたことがある気がしますね)。このヒットに続いて本国で企画されたのが「ベニー・グッドマン物語」。この映画からはローズマリー・クルーニーをフィーチャーした「Memories Of You(56年米20位)」がチャートインし、彼にとって最後のメジャーヒットとなりましたが、我が国では加えて彼の楽団のテーマ的存在のこの曲(再録音)もよくラジオでかけられた模様。
話をグレン・ミラーに戻します。30年代末から40年代前半にかけてヒットチャートを荒らしまくった彼は42年に空軍に入隊、軍隊の慰問中心の生活を送った後44年の大陸間移動中に行方不明となりますが、その期間に「Army Air Force Band」名義で残された録音が今年まとめてCD化されました。この時期の録音については作家の片岡義男が「音楽を聴く2(1は名著です)」という本でで読み手が疲れるくらい熱っぽい調子で紹介しており、その影響か現在非常に気になってはいるのですが、なにしろ他の4枚組ボックスと比較しても値段が高い!どなたかアレを安く入手出来る先をご存知ないでしょうか・・?
9位はこの時期の代表的洋楽ヒット、キューバのエンリケ・ホリン「Milagros Del Cha Cha Cha」。1954年から55年にかけて、アメリカは猛烈な“マンボ・ブーム”にありましたが、マンボはペレス・プラードがキューバからメキシコに渡って完成させたリズム。なので本国キューバではマンボはそれほどポピュラーではなく、替わりにこのチャチャチャが大流行していたんだとか。ラテン好きの日本人はこのリズムにすぐさま飛びつき、大ヒットを記録しましたが、アメリカでマンボが一段落し、ヒットチャートにチャチャチャが登場するようになるのはビリー&リリーの「La Dee Dah(58年9位)」やトミー・ドーシーの「Tea For Two Cha Cha(「二人でお茶をチャチャ」←この語感を楽しめるのは世界中で日本人だけなんですね。58年7位)」、サム・クックの「Everybody Likes To Cha Cha Cha(59年米31位)」などが生まれる50年代末まで数年を要することになります。
最後10位はビル・ヘイリーと彼のコメッツ(“彼の”という表記が時代を感じさせて好きです)の「Rock Around The Clock(米1位)」。この曲は54年にリリースされて一旦マイナーヒットを記録していたものの、翌年映画「暴力教室」に使用されて大ヒット、現在は時代の区切り的存在の一曲とみなされているもの。しかしこの時期はまだそういった認識などあるはずなどもなく、単に“映画から生まれたヒット”程度の受け止められ方だったみたいです。
そういえばこの曲を日本で最初にカバーしたのはダーク・ダックス(ほぼ同時に発表された江利チエミ版も先日CDになりました)だそうで、その頃イギリスでも彼らとタイプの似たボーカルグループの録音が残されていて、まだ世界的に“R&Rの時代”の到来を宣言する雰囲気にはなかった様子が覗えます。現在一般的となっている“「Rock Around The Clock」以降がロック時代”という見方は、そろそろその根拠のなさを認識すべき時期にあるのではないでしょうか。
(2001.12.26)Flashback Homecopyright (c) 2000-2003 by meantime, all rights reserved. |