TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard Best Sellers In Stores January 21, 1956

01 Memories Are Made Of This - Dean Martin (Capitol)
02 Sixteen Tons - "Tennessee" Ernie Ford (Capitol)
03 The Great Pretender - The Platters (Mercury)
04 Lisbon Antigua - Nelson Riddle and His Orchestra (Capitol)
05 Band Of Gold - Don Cherry (Columbia)
06 Rock And Roll Waltz - Kay Starr (RCA Victor)
07 I Hear You Knocking - Gale Storm (Dot)
08 Dungaree Doll - Eddie Fisher (Eddie Fisher)
09 It's Almost Tomorrow - The Dream Weavers (Decca)
10 Love And Marriage - Frank Sinatra (Capitol)

 昭和31年1月第3週のビルボード誌ベストセラーチャートの1位は、ディーン・マーティンの「想い出はかくの如く」でした。

 オハイオ州出身のクルーナー歌手、ディーン・マーティンが最初にショービジネスで注目を集めたのは、コメディアンのジェリー・ルイスと組んだ「底抜けコンビ」が舞台やスクリーンで成功を収めたことから。ビング・クロスビーとボブ・ホープの“珍道中”コンビをうんと若く、ハンサムに、そしてエキセントリックにしたような二人の芸風は大いにウけ、16本もの主演映画に出演。その中で「歌の得意なボケ役」を演じ続けた彼は、本職の歌手としてもキャピトル・レコードと契約し、1948年のルイスとのデュオ「That Certain Party(最高22位)」を皮切りに多くのヒットを放ちました。

 スクリーンの中の彼の「陽気なイタリア系アメリカ人」というイメージに沿った形で「ザッツ・アモーレ(53年2位)」「イナモラータ(56年27位)」「ヴォラーレ(58年12位)」といったイタリアン・テイストな曲を得意としたマーティンでしたが、この「想い出は〜」はそのカラーも残しつつ、ちょっと新しいタイプのポップスに挑戦した感じ。この曲を作ったのはこの翌年「マリアンヌ(最高4位)」の大ヒットを放つフォークグループ、イージー・ライダースのテリー・ギルキーソンで、陽気ながらしみじみとした雰囲気は「想い出はかくの如し」というちょっと時代がかった邦題(素晴らしいセンス!)が非常にマッチしています。

 2位「人生は16トンの重荷を背負って生きてくようなもの。」という非常に哲学的な(?)「16トン」。1940年代にカントリーシンガー、マール・トラヴィスによって作られたこの炭鉱夫の物語は、カントリー・スターにして当時TVスターだったテネシー・アーニーの低音の魅力で大ヒットを記録しました。「毎日々々老いは進み、借金はかさむばかり・・。」という“しがない”世界が大変な共感を呼んだようです。なおこの曲は日本でも当時人気を博したようですが、フランク永井が歌った日本語バージョンでは“しがなさ”よりも「精一杯生きた後は、極楽浄土が待ってるのさ。」という“達観”が強く感じられる内容になっており、アメリカ人と日本人の「労働観」の違いが垣間見られるようで面白いです。で、続く3位には、日本では彼らバージョンの「16トン」も好評を博したプラターズ「グレード・プリテンダー」。前年の「オンリー・ユー(最高5位)」でブレイクを果たした彼らは、バラードを得意としながら、R&R世代の人気アーティストとして大変な人気を博していきました。

 4位はインストヒット、ネルソン・リドルの「懐しのリスボン」。ナット“キング”コールとの仕事をきっかけにキャピトル・レコード専属のアレンジャーとなったリドルは、フランク・シナトラをはじめとするキャピトル所属アーティストの作品を手掛ける傍ら、アーティストとしても多くの作品を発表。「“ルート66”のテーマ」等当時のレコーディング群は、90年代以降“ラウンジ”のカテゴリーで数多くCD化されました。5位に入っているのは、40年代後半から50年代前半にかけて様々なビッグバンドのボーカリストを歴任していた白人シンガー、ドン・チェリー。この曲はロッカ・バラード調のアレンジが当時の風潮にマッチしたのでしょうか、大ヒットとなりました。但し、彼の人気はそれほど長続きせず、50年代後半にはプロゴルファーに転向してしまったそうですが。

 続くこの週6位〜8位には、前年の「Rock Around The Clock」の大ヒットによって注目を集めだしたR&Rの、ポピュラー的解釈が並んでいます。6位には40年代から活躍する大物女性歌手ケイ・スターの「ロックンロール・ワルツ」。タイトルからして怪しい。R&Rに夢中になる子供たちと、それにあわせてついワルツを踊ってしまう両親の世代間のギャップを面白おかしく歌にしたこの曲は、エルヴィスが音楽シーンを席巻する直前の雰囲気をよくあらわした一曲といえます。7位に入っているのはスマイリー・ルイスのニューオリンズR&Bクラシック(後の世代にはデイブ・エドモンズ版が有名)を白人女性が歌ったもの。1954年あたりからR&Bを白人アーティストがカバーして大ヒットさせるというケースが多く見られましたが、ゲイル・ストームはいわばそのシーンの中心的存在、“カバー女王”でした。参考までにこの年、彼女が放った他のR&Bカバーヒットとその最高位を挙げておきますと(括弧内はオリジナルアーティストと順位)

#9 Why Do Fools Fall In Love (Frankie Lymon & The Teenagers #6)
#6 Ivory Tower (The Charms #11)

 といった感じ。折角R&Bチャートで人気になっても、すぐに白人の小娘がカバーをヒットさせてしまうので、当時のR&Bアーティストはかなり頭にきていたそうです。

 R&Rの時代が次第に近づきつつあったこの頃、ポップ系のアーティストたちは若手を中心に様々なアプローチをR&Rに対して行っていましたが(というよりそれっぽい作品を与えられてレコーディングをこなしていただけなのかも知れませんが)当時のトップアイドル、エディ・フィッシャーも時流に乗り遅れまいと、ロックっぽいビートのこの週8位「ドングリ人形(当時このタイトルで日本発売されていたようですが、誤訳ですよね?)」を発表。当時この手の作品は結構あったみたいで、ペリー・コモも「Juke Box Baby(同年10位)」というよく似たタイプの曲をヒットさせていますし、“新世代のポップシンガー”パット・ブーンはこの路線を更に推し進めて一時代を築きましたし。この時代のアーティストにとっては当然の成りゆきなのかもしれません。

 9位はフロリダ州立大学で結成されたボーカルグループ、ドリーム・ウィーヴァーズの「明日に又」。メンバーのジーン・アドキンソンとウェイド・バフが作曲したこの歌は、ジョー・スタッフォードはじめ多くのアーティストがレパートリーに取り入れ、いくつものバージョンがヒットチャートに登場しました。最後10位はフランク・シナトラの「恋愛と結婚」。「“恋愛(Love)”と“結婚(Marriage)”は“馬(Horse)”と“鞍(Carriage)”みたいにいつも対のものなんだ。パパもママに言われたってさ『どっちか一つだけ取ることはできないわよ。』ってね。」とユーモラスに語られるこの曲、私この時代では大好きな曲の一つです。


(2003.1.21)

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