TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ ユアー・ヒット・パレード 1956年4月14日

01 エデンの東/ヴィクター・ヤング楽団(Decca)
02 ばらの刺青/ペリー・コモ(Victor)
03 恋ははかなく/フォー・エイセス(Decca)
04 シックスティーン・トン/テネシー・アーニー・フォード(Capitol)
05 月光のセレナーデ/グレン・ミラー楽団(Victor)
06 マンボ・バカン/ソフィア・ローレン(Victor)
07 恋する女/マーロン・ブランドとジーン・シモンズ(Decca)
08 明日に又/ジョー・スタッフォード(Columbia)
09 ロック・アンド・ロール・ワルツ/ケイ・スター(Victor)
10 あなたの想い出/ベニー・グッドマン楽団(Columbia)

 ・・だんだん気が遠くなりつつあります。読売ジャイアンツの長島監督がまだ立教大学の4番打者として神宮球場を走り廻っていた昭和31年、この週の洋楽チャートのトップはまたまたまた登場、ヴィクター・ヤングの「Theme from "East Of Eden"」でした。

 もうこの曲について説明は要りませんよね。ジェームス・ディーン主演作のテーマ曲であるこの作品は、この週既に半年以上チャートに居座るロングセラー、更にその後2年以上に亘ってチャートのトップ周辺を上下し続ける空前絶後の大ヒットとなりました。もし私がこの時期既に物心ついていて、現在のように毎週の洋楽チャートを紹介する文章を書いていたとしたら、多分ネタに困って気がおかしくなっていたことでしょう。。現在もそうですが、ヒットチャートの顔触れが変わらないのは、紹介する側にとっては何よりも辛いものなんです。

 ということで、さっさと下位曲の紹介に移りましょう、やはりこの時期は映画関連のヒットが大半を占めていたようです。まず2位のペリー・コモ「The Rose Tattoo(米79位)」はバート・ランカスター主演の同名映画のために書かれたものの、結局使われることがなかったという曲。そういうこともあって本国ではシングル「All At Once You Love Her(米11位)」のB面に収録され、殆ど注目されることがなかったようですが、日本では哀愁を帯びた曲調が人気を呼んだのか、大ヒットとなりました。コモは1940年代〜70年代のヒットチャートを生き抜いた数少ない偉大なるエンターテイナーで、その後もTVやステージに活躍。何年か前に久々に実現した来日公演で、この曲は当然のようにプログラムに組み入れられましたが、それに対し彼が「この曲唄うのは何十年かぶりだからなぁ。」と歌詞カードを見ながらトツトツと唄っていた光景が印象に残っています。

 続いて3位はボーカルグループ、フォー・エイセスの「Love Is A Many-Splendored Thing(米1位)」。こちらはウィリアム・ホールデン主演の映画「慕情」の主題歌で、現在はそのタイトルで知られている曲。“Splendor(光り輝く)”というタイトルとは裏腹に「愛は4月のバラのよう。早春に芽生え、やがて散っていく・・」という歌詞の意を汲んだ「恋ははかなく」というタイトルもなかなかいいものなんですけどね。「慕情」だとまるでセリーヌ・ディオンのバラードに「タイタニック」と名づけるような味気なさを感じますし。。

 4位はカントリーシンガー、テネシー“アーニー”フォードの「Sixteen Tons(米1位)」。彼は低音を武器にR&Bっぽいフィーリングのナンバーを得意とした歌手で、この曲はアメリカで8週連続ナンバー1を記録したメガヒット。日本でも非常に人気が高かったようで、本国ではシングルカットされなかったプラターズのバージョンも親しまれたそうですし、“低音の魅力”フランク永井が「エンヤァサノサァ、エンヤサァ」と始める日本語カバー(続く英語部分がフィーリングを掴んでいてカッコイイんです)もヒットしたようです。

 5位はスタンダード、グレン・ミラーの「Moonlight Serenade(1939年米3位)」。第2次大戦の最中、1942年に軍隊慰問途中命を落とした彼の、当時既に15年以上過去の曲がここでヒットしているのは、彼の伝記映画「グレン・ミラー物語」が日本公開されたことから。この曲が本国でヒットした頃も、日本は延々と続いた「大東亜戦争」突入の時期だった訳ですから、殆どの日本人にとっては“新曲”として親しまれたのだとは思います。なおこの映画のサントラのアレンジは、当時駆け出し期にあったヘンリー・マンシーニ。この作品は彼にとっても印象深いものなのだそうです。

 蛇足ですが“グレン・ミラー楽団”は彼の死後50年以上経過した現在も健在。毎年のように来日公演も行っています。彼とかペレス・プラードとか、一聴してそれとわかるサウンドを作り上げれば、あとはその看板で後継者は商売がやっていけるんですよね。ロック時代に入っても、その手の商売は延々と続いている訳ですが・・。

 あと「グレン・ミラー物語」がヒットしたことで、もう一つ企画された伝記映画もありました。そちらは当時存命中、というかその後もかなり長生きするベニー・グッドマンの物語。ここからカットされ、この週10位に入っている「Memories Of You(米20位)」は当時人気絶頂のローズマリー・クルーニーがフィーチャーされ、彼にとって久々のヒットになりました。映画の方ではスティーブ・アレンがスマートにグッドマンを演じましたが、これでは「ジャズ史上屈指の嫌な奴」といわれるグッドマンが全然表現できていないと、評判は芳しくなかったようです。

 6位はイタリアのダイナマイト女優、ソフィア・ローレンの「Mambo Bacan」、こちらは映画「河の女」主題歌。この曲はイタリア産のマンボなんですが、この背景を説明しておきますと、まずキューバ出身のペレス・プラードがメキシコに亘り、あの「マンボNo.5」を発表したのが1950年のこと。その後マンボ熱はじわじわとアメリカ全土に浸透し、1954年にはポップは勿論、R&Bやカントリーチャートでもタイトルに「マンボ」が付くナンバー1ヒットが生まれるというマンボブームが訪れます。

 この年の後半にはマンボは南北アメリカ大陸を飛び出し「久々にイタリアに行ったら、みんなマンボを踊ってて吃驚した」というローズマリー・クルーニーの「Mambo Italiano(米9位)」なんて曲まで生まれる状態となり、当然イタリア人もマンボナンバーを作曲、それがこの曲につながっていくことになりました。日本でこの曲が大ウケしたのは、曲調もそうですが金髪でグラマーな外人女性が色っぽく「バカァ〜ン」なんてやったところも、大きな要因だったんでしょう。

 再び蛇足コーナー。アメリカで巻き起こったマンボブーム、日本でマンボといえば何といっても美空ひばりの「お祭りマンボ」が有名ですが、この曲が発表されたのは1951年のこと。アメリカのヒットチャートより全然早いリアクション!ラテン好きな日本人の面目躍如といったところでしょうか。

 7位はこれまた映画絡み、ミュージカル「Guys & Dolls(野郎どもと女たち)」からのカット「A Woman In Love」。この映画で貴重なのは“唄って踊るマーロン・ブランド”が存分に楽しめるところ。元々彼はブロードウェイ出身なんだそうで、ミュージカル映画出演は別に不自然なことではないのですが、それにしてはなんとも「ヘタ」。特に映画には共演でフランク・シナトラが登場し、得意の喉を披露してしまうものだからなおさら分が悪い。とりあえず彼の名誉のため“なかったこと”にしてあげましょうか。なおデュエット相手のジーン・シモンズはイギリス出身でキリッとしたタイプの美人女優。彼女の歌は“大丈夫”です。

 残る2曲は手短に。8位のジョー・スタッフォード「明日に又」は、記録が古すぎて資料が見つからず、裏がとれなかったのですが恐らくこの当時アメリカでもヒットしていた「It's Almost Tomorrow(米14位)」ではないかと思われます。時計が12時近くになっていることを「もう明日になっちゃう。。」と表現するのは、なんだかいい感じですね。最後9位は出ましたR&Rナンバー、ケイ・スターの「Rock And Roll Waltz(米1位)」。とはいっても実はR&Rではないのですが。。

 この曲って凄く当時のアメリカの雰囲気を反映していて、その内容は「みんなでR&Rのレコードを聴いていたら、パパとママが曲に合わせてワルツを踊りだした。なんだかかわいい。。」というもの。前年映画「暴力教室」に使用されたことで、ビル・ヘイリーの「Rock Around The Clock」が大ヒットとはなったものの、当時R&Rはまだごく瑣末な流行現象で(この曲がアメリカでヒットしていた頃に、ようやくエルヴィスはメジャーデビューを果たしました)まだノベルティ扱い。この後徐々に変わり始める当時の音楽シーンの出来事の一つとして、音楽ファンにとっては気にとめておくべきヒット曲ではありました。が、恐らく当時の日本のリスナーは「なんだか乱暴なワルツだなー。ところでR&Rってなに?」くらいの受けとめ方だったのではないかと思います。その気持ちも想像してみればよくわかります。


(2001.4.17)

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