TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ 洋楽ラジオ・チャート1957年間(その1)

01 エデンの東/ビクター・ヤング楽団
02 アイル・ビーホーム/パット・ブーン
03 霧のロンドン・ブリッジ/ジョー・スタッフォード
04 ママ・ギター/ドン・コーネル
05 OK牧場の決闘/フランキー・レイン
06 砂に書いたラヴ・レター/パット・ブーン
07 リトル・ダーリン/ダイヤモンズ
07 魅惑のワルツ/デヴィッド・キャロル楽団
09 冷たくしないで/エルヴィス・プレスリー
09 マルセリーノの歌/サウンド・トラック
09 ジェルソミナ/スリー・サンズ

1位 East Of Eden - Victor Young and His Singing Strings
 1931年にインディアナ州に生まれたジェイムス・バイロン・ディーンは、カリフォルニアの大学で法学や演技を学びながらハリウッド映画の端役仕事にありついていたが、その演技が注目されるようになるのは52年にニューヨークに移り、アクターズ・スタジオに入門してブロードウェイの舞台に立ち始めてから。アクターズ・スタジオの創設者の一人である映画監督のエリア・カザンは彼の才能に注目し、自ら監督する映画「エデンの東」の主役に抜擢した。日本でこの映画が公開されたのは55年の10月、彼が自動車事故でこの世を去った(その年の9月30日)直後で、日本における彼は最初から“伝説のスター”であったということになる。このことが人気に拍車をかけたかどうかわからないが映画のテーマ曲はヒットパレードに延々と登場し続け、2年後のこの年も年間1位に輝いている。
2位 I'll Be Home - Pat Boone('56米4位/英1位)
 数多くのオールディーズ名作を送り出したアメリカのドット・レコード作品が日本で発売されるようになったのがこの1957年で、記念すべきレコード盤号「DOT-1」が付けられたSP盤がこれ。エルヴィスの好敵手として50年代に数えきれないヒットを放ったパット・ブーンの代表曲の一つである「アイル・ビー・ホーム」は、シカゴのR&Bグループ、フラミンゴスがオリジナル('56米R&B5位)の名作バラードのカバーで、単なる“水増し版”にとどまらぬ魅力をもった名唱である。なおこのシングルのカップリングに収録されていたのは映画「Friendly Persuasion(友情ある説得)」の主題歌('56米5位)で、こちらも人気を博したが、映画の雰囲気が懐かしい方は出演していたアンソニー・パーキンスが初々しく歌ったバージョンも存在するので、そちらも探し出して聴いてみていただきたい。
3位 On London Bridge - Jo Stafford('56米38位)
 名門コーラス・グループ「パイド・パイパーズ」の紅一点メンバーとして1940年代にトミー・ドーシー楽団の数多くのヒットに彩りを添えたジョー・スタッフォードは、アレンジャー兼バンド・リーダーのポール・ウェストンとの結婚を機に独立。キャピトル〜コロンビアと渡り歩いてポピュラー・ミュージックの最も幸福な時代に100曲近くのヒットを放った人気歌手であった。1952年のナンバー1ヒット「You Belong To Me」とともにこの時代の代表曲とされる「霧のロンドン・ブリッジ」はその後エルヴィスのヒット曲で名を上げるシド・テッパーとロイ・C・ベネットによるちょっとユーモラスな作風。これ以降彼女がヒットチャートに登場することは稀になるが、ウェストンとのコンビでレコード制作は継続、ノヴェルティ作品にまで手を伸ばしつつその活躍は80年代まで続いた。
4位 Mama Guitar - Don Cornell('57米47位)
 1919年生まれのドン・コーネルは、1940年代にサミー・ケイ楽団のボーカリストとして活躍した後に独立、50年代の10年間に穏やかな歌声で数多くのヒットを放ったベテラン・シンガー。ロカビリー調の「ママ・ギター」は彼にとっては異色の作風だが、これはエリア・カザン監督の映画「A Face in the Crowd(群衆の中の一つの顔)」で世に紹介された曲。留置所で歌っていた青年がラジオで紹介されたことをきっかけに、一夜にして大衆のヒーローに祭り上げられる・・という映画のストーリーはR&R時代の到来を予見しているようにも解釈できる。本命盤は主演俳優のアンディ・グリフィスによるバージョンということになるが、若手人気歌手ジュリアス・ラローサのレコード('57米97位)も含めて、一番“らしからぬ”コーネルのバージョンが日米で人気を博した。
5位 Gunfight At The O.K. Corral - Frankie Laine
 近年は「オッケー、オッケー、オッケー牧場」のフレーズでその名前のみ若い世代に知られる映画「OK牧場の決闘」主題歌。バート・ランカスターとカーク・ダグラスが西部開拓史の有名人、ワイアット・アープとドク・ホリデイに扮した娯楽西部劇のテーマとして、フランキー・レインの男臭いボーカルが作風にマッチし特に日本で評判となった。40年代〜50年代にかけて有数の人気を誇ったジャズ・ボーカリストの一人であるレインだが、吹き込んだ曲のジャンルは非常に多岐にわたっており、特に日本ではカントリー&ウェスタン調の作品が人気を呼んだため彼が「カントリー・シンガー」と認識されている向きもあるがそれは誤り。その後も息長くヒットチャートで活躍し、ビートルズ到来後もイージー・リスニングチャートを中心に70年代まで途切れることなくヒットを放ち続けた。
6位 Love Letter In The Sand - Pat Boone('57米1位/英2位)
 パット・ブーンの数多いヒットの中でも、まっ先に思い浮かぶのがこの曲だろう。1930年代に「Spanish Cavalier(スペインの伊達男)」という古い曲を元に作られたという「砂に書いたラヴ・レター」は当時大したヒットにはならなかったが、20年以上たってパット・ブーンにより永遠のスタンダードとなった。ブーンの甘い歌声と、後に自らもアーティストとして日本で大変な人気を博すこととなるビリー・ヴォーンのアレンジ、そしてブーン本人が吹いたという口笛のフレーズがなんとも素晴らしい雰囲気を醸し出しているが、この曲にはその口笛でイントロが始まるバージョン(通常はいきなり歌から始まる)も存在する。録音時期の詳細が未だ不明なのだが、これはこれでなかなかいいバージョンなので、詳しいことをご存じの方がいらしたら是非とも教えていただきたい。
7位 Little Darlin' - The Diamonds('57米2位/英3位)
 カナダには男性ボーカル・グループの伝統があるのか、1950年代前半はフォー・ラッズやクリュー・カッツといった人気グループが次々と登場したが、オンタリオ出身のダイアモンズもその流れの中の一つ。フィフティーズの時流に乗ったR&Rナンバーのカバーを得意としたが、そのやり方がちょっと対象を茶化したような芸風だったため後のR&R研究家にはあまり好感を持たれていない。その数少ない例外といえるのがこの「リトル・ダーリン」で、これは元々モーリス・ウィリアムス率いるR&Bグループ、グラジオラスがオリジナル。非常に泥臭い元曲を洗練させ、しかもユーモアを付け加えることを忘れなかったこの録音はR&Rのパロディが“R&Rクラシック”と化してしまった稀有なケースで、現在もR&R黄金期を代表するヒットナンバーとして欠かせない存在である。
7位 Fascination - David Carrol and His Orchestra('57米56位)
 ゲイリー・クーパーとオードリー・ヘップバーンが共演した映画「Love In The Afternoon(昼下りの情事)」はビリー・ワイルダー監督が得意とするお洒落なラブコメディ。ヘップバーンの可憐な演技が常に話題となる名作だが、実はこの映画は戦前大西洋を股にかけて活躍したフランスの伝説的な歌手/俳優であるモーリス・シュバリエ(彼女の父親役)のハリウッド復帰作でもあり、彼はこれと翌年の「Gigi(恋の手ほどき)」で劇的なカムバックを果たした。「魅惑のワルツ」は劇中印象的に使用されたテーマ曲ですぐさまスタンダード化、デヴィッド・キャロルやパーシー・フェイスなどのイージー・リスニング系からボーカル版まで様々なバージョンが制作された。この当時人気を呼んだデヴィッド・キャロル楽団の演奏が現状CD化されていないのは、残念な限り。
9位 Don't Be Cruel - Elvis Presley('56米1位)
 前年「ハートブレイク・ホテル」の大ヒットで世界中にR&R旋風を巻き起こしたエルヴィス・プレスリー、彼にとって最大のヒット曲がこれ。アメリカでこの曲は「ハウンド・ドッグ」とのカップリングでシングル発売され当時としては異例の11週連続ナンバー1を記録。「冷たく〜」はオーティス・ブラックウェル、「ハウンド〜」はリーバー&ストーラーと当時の彼の主要ライター2組によるカップリングということもあり後年“ロック史上最強のシングル”の1つと見なされるようになった。一方日本では2曲バラ売りが得策との判断があったのか当時別々にシングル発売されており(B面にはサン録音の「あなたを離さない」と「アイ・ラヴ・ユー・ビコーズ」がそれぞれ収録された)、インパクトは弱まっているものの、現在では逆に世界的に貴重なシングルとなっている。
9位 Cancion De Marcelino - Original Soundtrack
 1955年に制作されたスペイン映画(元となったストーリーはイタリアのもの)「汚れなき悪戯」主題歌。寺院の前に棄てられた孤児が無垢で腕白な少年に成長し、5歳で神と出逢い、母親の待つ天国に召される・・というストーリーは、宗教観が異なる日本人には今ひとつ納得がいかないものの、その悲しい結末が多くの観客の涙を誘った。その年のカンヌ映画祭で「特別子役賞」を獲得したパブリート・カルボ少年扮する主人公のテーマ「マルセリーノの歌」は、もの悲しいメロディが映画を超えた人気を呼び、サントラ・ヒットが大量に生まれたこの時代の中でも、現在に至るまで特に長く愛され続ける曲となった。リアルタイム以降の世代では、日本語詞がつけられたこの曲を学校の音楽の教科書で初めて知った、という方も多いのではないだろうか。
9位 Gelsomina - The Three Suns
 フィラデルフィア出身のアル(ギター)&モーティ(アコーディオン)・ネヴィンス兄弟に従兄弟のアーティ・ダン(オルガン)が加わって1930年代後半に結成されたインストゥルメンタル・トリオ、スリー・サンズは40年代半ばに全米チャートに登場。一風変わったサウンド(90年代の「ラウンジ・ブーム」で再評価された)で曲を料理することを得意とし、ナンバー1ヒット「Peg 'O My Heart(47年)」他数多くのインスト・ヒットを残している。日本で彼らが人気になるのは本国での活躍が一段落した50年代半ばから(この時点で既にネヴィンス兄弟はグループを去っていた)で、フェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画「道」のテーマ曲であるこの「ジェルソミナ(タイトルは映画に登場する女性の役名からとられている)」のカバーが、我が国における彼らの代表曲となった。


(2005.6.28)

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