TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ SP盤 1957年8月のベスト・セラーズ

1.砂に書いたラヴ・レター/パット・ブーン(Dot)
2.OK牧場の決闘/フランキー・レイン(Columbia)
3.ジェルソミーナ/スリー・サンズ(Victor)
4.アイル・ビー・ホーム/パット・ブーン(Dot)
5.霧のロンドン/ジョー・スタッフォード(Columbia)
6.島の女/ソフィア・ローレン(Victor)
7.リトル・ダーリン/ダイアモンズ(Mercury)
8.ママ・ギター/ジュリアス・ラローザ(Victor)
9.串かつソング/ラルフ・マーテリー楽団(Mercury)
10.ダーク・ムーン/ゲール・ストーム(Dot)

 今回も引き続き社交ダンスの月刊誌「ダンスと音楽」に掲載されていたチャー トを紹介したいと思います。アメリカの1955年は「R&Rの時代」の幕開けであっ たと同時に本格的な「ドーナツ盤の時代」が到来した時期でもありましたが、日 本ではそれから遅れること数年、この1957年あたりまでは78回転のSPがまだまだ 結構な比率を占めていて、シングル盤もSPとドーナツ盤が並行してリリースされ ていたようです。「ダンスと音楽」誌でも1952年にランキングをスタートして以 降6年間はSP盤の売上をメインとしており(この年の12月分をもって終了)、こ れが我が国最古の洋楽ヒット状況のレポートとして残されています。

 ということでチャート紹介に入りましょう。昭和32年8月、ベストセラー・チ ャートのナンバー1はパット・ブーンの「Love Letters In The Sand(米1位/英 2位)」でした。

 1955年にR&Bグループ、オーティス・ウィリアムスとチャームスのカバー「Two Hearts(米16位)」でヒットチャートに登場したパット・ブーンは“R&R世代” のポップシンガーとしてR&Bもこなし、バラードもこなし、ファッションは清潔 第一、更にコロンビア大学在学という“完璧な好青年”イメージでヒットを連発 し、56年にセンセーショナルに登場した“田舎の不良”エルヴィス・プレスリー のライヴァルとして、50年代末まで結構いい勝負を続けました。でこの「〜ラ ヴ・レター」は19世紀の「The Spanish Cavalier」という歌をもとに1930年代に 作られた曲で、本国では300万枚以上を売り上げたという彼にとって最大のヒッ トの一つ。もう一曲4位に入っている「I'll Be Home(56年米5位/英1位)」は R&Bの名グループ、フラミンゴスがオリジナルのムーディーなバラード。これは 日本で発売された彼の最初のシングル(レコード番号はDOT-1)で、日本発売が スタートしたドット・レコードにとって幸先のいいヒットとなりましたが、この ヒットの主な要因となったのは、恐らくこのB面に収録されていた「Friendly Persuasion(“友情ある説得”56年米5位/英3位)」の存在。

 この曲はゲイリー・クーパー主演の同名映画の主題歌で、映画音楽の強かった 我が国でこれを第一弾シングルに選んだのは正解だったといえます。なおこの映 画でクーパーの息子役として登場するのが当時バリバリのアイドル俳優だったア ンソニー(トニー)パーキンス。「月影の渚」のヒットで知られる彼は俳優業の 傍らシンガーとしても活躍しましたが、その彼が1956年に残した「友情ある説 得」が当時発表されたアルバムの音源と共に先日めでたくCD化されました。物凄 く朴訥とした感じでメチャクチャ好感度の高いこの録音、往年の“トニパキ”フ ァンの方は是非とも探し出して聴いてみていただきたいところです。

 続いて2位に入っているのはフランキー・レインの「Gunfight At The O.K. Corral」。1950年代コロンビア・レコードのドル箱シンガーとして様々なタイプ のヒットを放った彼は、日本ではどういう訳かウエスタン・タイプの曲ばかりが ヒット。「ハイ・ヌーン」「ローハイド」などとともに日本人にとって忘れられ ない洋楽ヒットとなっています。なおこのシングルはマーティ・ロビンスの「ホ ワイト・スポーツ・コート(米2位)」との美味しいカップリングで、それがセ ールスを伸ばした要因となっていたのかも知れません。映画の主人公、ワイアッ ト・アープの活躍を描いた作品はジョン・フォード監督の「荒野の決闘」に続く ものでしたが、その後も様々な形で映像化されていくこととなります。

 映画関係のヒット(3、6、8位)をまとめて紹介しておきましょう。3位インス トグループ、スリー・サンズの「You And You Alone」はフェデリコ・フェリー ニ監督の「道」のテーマ。英題に因んで「きみ、きみひとり」という副題もつけ られていた(“ジェルソミーナ”は映画に登場する女性の名)この曲もそうです が、当時の彼らの我が国における人気は本国を凌ぐものがあったようで、多くの インスト・カバーヒットを生みました。なおグループのメンバー、アル・ネヴィ ンスはその後ボビー・ダーリンのマネージャーを経てドン・カーシュナーと音楽 出版会社「アル・ドン・ミュージック」を設立、後に“ブリル・ビルディング・ ポップ”と呼ばれる数えきれないほどの60年代の名作を生み出すこととなりま す。

 6位はイタリアを代表する女優ソフィア・ローレンの「Boy On A Dolphin」。 「島の女」は映画のタイトル(前年彼女が主演した「河の女」がヒットしたの で、このタイトルとなったのでしょう)で、この曲は「イルカに乗った少年」の タイトルで呼ばれることもあり、後の世代の音楽ファンは混乱しがち。この時期 の彼女のヒットは「マンボ・バカン」や「ズビズビズー」などちょっとノヴェル ティがかったものが多く、それはそれで楽しいのですが、こちらのしっとりした 感じもまたいいですね。8位は1950年代にエディ・フィッシャーほどではなかっ たものの、人気を博した男性シンガー、ジュリアス・ラローザの「Mama Guitar」。これは映画「A Face In The Crowd(邦題“群集の中の一つの顔”っ て直訳かよっ!)」で歌われたロカビリー調のナンバーで、映画で歌っていた主 演のアンディ・グリフィス盤、そしてドン・コーネル盤(米47位)もヒットしま したが、ここでは一足先に発売されたラローザ盤がチャートインしている形にな っています。が、これは実はカップリング収録されていたエルヴィスの「恋にし びれて(All Shook Up)」のお陰ではないか?との印象も・・。なんともいえま せん。

 残りの曲は手短に。5位ジョー・スタッフォードのロッカ・バラード調「On London Bridge(米38位)」は本国より日本で評判のよかった曲。この曲を作っ たシド・テッパーとロイ・C.・ベネットは、60年代に入って“サントラ時代”の エルヴィスに多くの作品を提供することになります。7位はR&Rの白人カバーなが ら“R&Rクラシック”とみなされている珍しい作品、ダイアモンズの「Little Darlin'(米2位/英3位)」。グラジオラスの泥臭いR&Bナンバーを洗練させ、ユ ーモラスに昇華させたこの作品は日本でもかなりのヒットを記録、約1年に亘っ てチャートに登場し続けました。

 残るは2曲。9位はこんなタイトルになっていますが“日本のみヒット”ではな いラルフ・マーテリー楽団の「Shish-Kebab(米10位)」。アメリカではアルメ ニアン・ジャズ・セクステットというグループが「ハーレム・ダンス」というタ イトルでもヒットさせている(最高67位)この曲、非常にエスニック・テイスト でユニークなインストナンバーですが、この“シシカバブ”を「串カツみたいな もんだろ。」とタイトルをつけてしまったセンスに脱帽です。この当時マーキュ リー・レコードの音盤を発売していたタイヘイ・レコードは神戸にあった会社だ そうで、その“関西テイスト”がこのタイトルになったようです。最後10位はゲ ール・ストームの「Dark Moon(米4位)」、パット・ブーンの一連の作品同様ビ リー・ヴォーン制作による濃厚なバラードです。


(2003.8.12)

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