TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 60 Best-Selling Singles: Week ending June 14, 1958

 1 The Purple People Eater - Sheb Wooley (M-G-M)
 2 All I Have To Do Is Dream - Everly Brothers (Cadence)
 3 Return To Me - Dean Martin (Capitol)
 4 Jennie Lee - Jan & Arnie (Arwin)
 5 Big Man - Four Preps (Capitol)
 6 Do You Want To Dance - Bobby Freeman (Josie)
 7 Secretly - Jimmie Rodgers (Roultte)
 8 Witch Doctor - David Seville (Liberty)
 9 Twilight Time - Platters (Mercury)
10 Yakety Yak - Coasters (Atco)
 昭和33年6月第2週のキャッシュ・ボックスチャートのナンバー1は、シェ ブ・ウーリーの「ロックを踊る火星人」でした。

 前々回、前回(1956、57年)ではエルヴィスがいきなりメインストリームに 登場し、ヒットチャートを席巻した時期を紹介しました。で、今回は?という とTOP10に彼の姿はなし。約2年間に亘ってチャートを荒しまくった彼はこの年 の3月に応召し、兵役を務めるためドイツに渡ってしまったのでした。“キン グ”不在中(とはいってもレコード会社はストック音源を定期的にリリース し、エルヴィスはキャリア空白の2年間、常にヒットチャートに顔を出し続け たのでした。因みにこの週は「Wear My Ring Around Your Neck(思い出の指 輪)」が11位にランクインしています)のヒットチャートには、奇妙な曲が 色々と顔を出しているようです・・。

 「目が一つで、角が一本で、空を飛んで、身体が紫の人食い獣」という訳の わからない物体(これを“火星人”と訳した日本人は一体誰なんでしょう?火 星在住の皆さんはさぞかし憤慨しているのでは?)が地球に飛来し「ロックス ターになりたい!」というナンセンス・ソングを生み出したのは、カントリー シンガーのシェブ・ウーリー。彼は役者としても活躍した人で、映画「ジャイ アンツ」やTVシリーズ「ローハイド」でその顔に見覚えのある方もいるかもし れません。シンガーとしての彼は、その後ベン・コルダー名義で様々なヒット 曲の“第二弾(No.2)”を勝手に作って、60年代後半までヒットチャートに登 場し続けましたし、また「〜火星人」の方も、キャラクターグッズが作られる など一発ヒットに終わらぬ生命力を持ち続けました。数年前には何故か日本で この曲が植木等の「針切りじいさんのロケン・ロール」として甦る、なんてこ ともありましたね。

 「ロックを踊る火星人」がウケたのは、その奇妙な題材に負うところも大き かったと思いますが、もう一つ人気を集めたのが“火星人”のハイピッチな 声。テープの早回しによる録音(日本ではそれから10年ほど経って「帰ってき たヨッパライ」でポピュラーになります)というのはこの時期に始まったもの ではないと思いますが、録音技術の進歩により非常に容易になったのでしょ う、突飛なアイディアが音盤に刻める時代がやってきました。その手法でまず リスナーの度胆を抜いたのがこの週8位に入っているデヴィッド・セヴィル 「ウィッチ・ドクター」。これなんか殆どその早回しを聴かせるためだけに作 られたような作品でしたが、目新しさがウケてこの前月に見事ナンバー1を記 録。更にその2曲に便乗して「The Purple People Eater Meets The Witch Doctor(ビルボード誌で最高47位)」という曲を発表したのは、この約10年後 に「Games People Play(68年10位)」でスターになるジョー・サウス。何で もありな様相となってきました。

 デヴィッド・セヴィルもこの早回しに味をしめ、この年の暮にはシマリス4 人(4匹?)組という設定のザ・チップマンクスによる「The Chipmunk Song」 をリリース。これがまた思いがけずナンバー1ヒットとなったばかりでなく、 もしかしたら現在も続いているかも知れないアニメシリーズ「アルヴィンとチ ップマンクス」が生まれるきっかけになった訳ですから、奇をてらったちょっ としたアイディアが、稀に永続的なものの元になることもあるという、いい例 といえるかもしれません。

 ついでにこのチャートに登場しているノヴェルティ色の強い曲を先に取り上 げておきましょう。4位の「ジェニー・リー」はカリフォルニアの高校生、ジ ャン・ベリーとアーニー・ギンズバーグの2人が、地元の劇場に出演していた ストリッパー、ジェニー嬢に捧げたナンバー(曲中の「Bomb Bomb」というコーラスは、彼女の豊かなバストが弾む様子を歌ったんだとか)。R&Rの 時代になると、こういうインディ発のハンドメイドな感じの曲が突然注目を集 めて全米ヒットとなるケースが多発しました。それにしても彼らは、この曲が ヒットしたことによってジェニーさんに“モテたり”したんでしょうかね? 色々と調べてもそういう記述を見かけたことはありませんが。なおジャン・ベ リーはその後、この曲の録音に参加しながらもリリース時に兵役に就いていた ためクレジットされなかったディーン・トーレンスと“ジャンとディーン”を 結成。彼らは60年代有数の人気グループに成長していきます。

 もう一曲ノヴェルティ系。10位「ヤケティ・ヤック」のコースターズは、こ の時期多くの名曲を生んだアメリカ西海岸出身(だから“コースターズ”)の R&Bグループ。この曲の間奏で印象的なサックスソロを披露しているのは、60 年代から70年代にかけて伝説的な録音を多数残したセッション・プレーヤー、 キング・カーティス。このフレーズをすっかりイタダいて「Yakety Sax(63年 33位)」というヒットを放ったナッシュビルのブーツ・ランドルフは、同名の レストランも開いて数年前に亡くなるまでこのネタを生活の糧としていったの でした。

 話を上位に戻します。R&R旋風が一段落した感のあるこの週のチャートに は、比較的穏やかなナンバーが多く登場しているようです。2位の「夢をみる だけサ」はケンタッキー出身の兄弟デュオ、エヴァリー・ブラザーズの代表作 の一つ。この時代最も優れた音楽性と洗練されたルックスを持ち合わせていた 彼らは現在に至るまで数多くのアーティストたちに多大なる影響を与え続けて いますが、中でもそれが顕著なのが同じく男性デュオのサイモンとガーファン クル。二人が「トムとジェリー」名義ではじめてヒットチャートに登場した 「Hey Little School Girl(57年51位)」はエヴァリー兄弟のまったくのコピ ーでしたし、その後大成功を収めて絶頂期を極めたラストアルバム「明日に架 ける橋」の終盤では、彼らのデビューヒット「バイ・バイ・ラブ」をカバー。 更に80年代に実現したリユニオンで発表されたシングルも、やはりエヴァリー ズの「起きろよスージー」のカバーと、殆ど呪縛に近いこだわりぶり。そうい えば今から10年ほど前、エクストリームのナンバー1ヒット「More Than Words」を聴いた時も、そのあまりのエヴァリーぶりに驚いたものでした。

 3位はようやく出てきたポピュラー系アーティスト、ディーン・マーティン の「Return To Me」。60年代後半も「Everybody Loves Somebody(誰かが誰か を愛してる)」など多くのヒット曲を放ち、日本でも人気があった彼ですが、 私個人的には彼のリプリーズ時代の録音は好きではありません。あの半分酔っ 払ったような、終始口が半開きで歌詞の一節一節に「ア」音が入ってるような 感じがどうも馴染めない。。むしろこの頃、まだ溌剌感のあるキャピトル時代 の方が、そのトボケぶりも程よくて好感度は高いのですが。5位もポピュラー 系のグループ、フォー・プレップス。カナダ出身で、ユーモラスなヒット曲を 多数生んだ彼らは、タイプ的には以前紹介したダイアモンズにも通じるところ がありますが、センス的にはこちらの方が断然上。私にとってこの時代最も好 きなグループの一つです。余談ですがこのグループのメンバーだったエド・コ ブは60年代後半にプロデューサー業に転じ、スタンデルズやチョコレート・ウ ォッチ・バンドといった“サイケな”バンドを手がけました。更にもう一つ余 談、80年代後半から90年代にかけて主にイギリスで注目されたボイス・オブ・ ザ・ビーハイブというグループがありましたが、そのメンバーだったメリッサ とトレーシーのベランド姉妹は、フォー・プレップスのメンバーの娘なんだそ うです。本当にどうでもいい話。

 6位は威勢のいいダンスナンバー「踊ろよベイビー」。この時代R&B的には辺 境にあったサンフランシスコからヒット曲を連発したボビー・フリーマンは、 初期のソウル・ミュージック史上注目すべきアーティスト。60年代後半に彼の プロデュースを担当したシルベスター・スチュアートは後にスライ・ストーン と改名し、フリーマンが孤軍奮闘して生き長らえさせていた“ベイ・エリア R&B”を一気に開花させました。7位はリーゼントの似合う二枚目、ジミー・ロ ジャース。彼はフォークシーンから登場したポップシンガーで「Honey Comb (蜂蜜むすめ/57年1位)」「Kisses Sweeter Than Wine(ワインよりも甘い キス/57年5位)」などで人気を博しました。この曲も非常に軽〜い感じでち ょっと口ずさんでみたくなるようないい曲。

 最後9位はプラターズの「トワイライト・タイム」。55年に「オンリー・ユ ー」で登場し、R&Rシーンで大活躍した彼らでしたが、発表するシングルがど れも似通ったタイプのバラードだったため57年頃には売上は低迷。しかしこの 曲と、この数カ月後に発表した「Smoke Gets In Your Eyes(煙が目にしみる /58年1位)」で人気は完全に復活(相変わらず歌うのはバラードばかりでし たが)。その人気はボーカルのトニー・ウィリアムスが独立する1960年代前半 まで続きました。


(2002.6.12)

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