TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard Best Sellers In Stores Chart January 6, 1958
01 At The Hop - Danny & The Juniors (ABC-Paramount)
02 Great Balls Of Fire - Jerry Lee Lewis (Sun)
03 April Love - Pat Boone (Dot)
04 Stood Up / Waitin' In School - Ricky Nelson (Imperial)
05 Peggy Sue - Buddy Holly (Coral)
06 Raunchy - Bill Justis (Phillips)
07 Jailhouse Rock / Treat Me Nice - Elvis Presley (RCA Victor)
08 Kisses Sweeter Than Wine - Jimmie Rodgers (Roulette)
09 Jingle Bell Rock - Bobby Helms (Decca)
10 You Send Me / Summertime - Sam Cooke (Keen)
昭和33年新春、ビルボードチャートのナンバー1はダニーとジュニアーズの
「踊りにいこうよ」でした。
当「ミーンタイム・メルマガ」で毎週紹介しているビルボード誌の「HOT100」
がスタートしたのは1958年8月のこと。今年で46年目を迎える同チャートが現在
世界中のヒットチャートマニアの分析対象となる“絶対基準”として君臨してい
ますが、それ以前にもビルボードでは各種ヒットチャートを掲載しており、そこ
ら辺も折を見て紹介してみようか、というのが今月の企画です。
今回紹介するのは「HOT100」以前の公式チャート、と一応みなされているビル
ボードの「ベストセラー」チャートです。この時期には他に現在の「エアプレ
イ」にあたる「ディスクジョッキー」チャート、非常に時代を感じさせる「ジュ
ークボックス」チャート、あと「HOT100」の試作版的「TOP100」と、いくつかの
チャートが並立し、それぞれがそれなりに存在意義のあった時代だったようで
す。と、背景説明はこのくらいにして、各曲の紹介に移りましょう。
フィラデルフィア出身のダニー・ラップ率いるボーカルグループ、ジュニアー
ズが生み出したこの「At The Hop」は、現在我々が“オールディーズ”といわれ
てまず思い浮かべる、この時代の名曲の一つですが、この曲のヒットの背後には
名物TV番組の存在がありました。彼らの地元フィラデルフィアで制作されていた
ローカルTV番組「アメリカン・バンド・スタンド」はホストのディック・クラー
クがかけるレコードにあわせて地元の少年少女が踊ってみせる様子を延々と流し
続ける(たまにゲストが登場し、口パクで歌ってみせる)という低予算の極みの
ようなプログラムでしたが、このチープさと現場感覚がウケてネット局が全米に
広がり、流行の発信源的存在になりました。それまでローカルな活動に限られて
いたフィラデルフィアのアーティストたちは、この番組でレコードをかけてもら
えればその存在が全米に知れ渡るということで番組に盛んに売り込みをかけ、そ
の中で取り上げられた曲の一つがこれだった訳です。
“メディア主導”とはいえ「踊りにいこうよ」は現在でも音楽ファンだったら
殆どの人がその存在を知っている(少なくとも聴けば判る)くらいですから、こ
れが大変な名曲であることは疑いの余地がないでしょう。ただ、ダニーと一行た
ちにはこれ以上の名曲を生み出す才能はなく、よく似たタイプの「Rock And
Roll Is Here To Stay(58年19位)」以降は次第にチャートからフェイドアウト
していきました。現在もグループは懐メロ興行で忙しくツアーして回っているよ
うですが、ダニー・ラップは25年後の83年に自殺し、この世を去っています。一
方メディアの方はその後大変な成功を収め、ディック・クラークは未だ健在、
「アメリカン〜」はスワン、カメオ/パークウェイといった地元のレコード会社
の作品の売り出しに60年代を通じて一役買いましたし、そのスタイルは「ソウ
ル・トレイン」に受け継がれてフィラデルフィアの音楽は70年代末まで全米の音
楽シーンを賑わせ続けることとなったのでした。
さて、R&Rクラシック満載のこの週のチャート、2位にはメンフィスのサン・レ
コードから登場したピアノ・ロッカー、ジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロッ
ク」が登場。彼の破天荒な人生(未だ健在)は10年ほど前にその名も「Great
Balls Of Fire」という伝記映画になったので御覧になった方もいらっしゃると
思いますが、大変な異端児。あのどう見ても変な髪型へのこだわりがなんだか凄
い。それはともかく、あのピアノをぶっ叩いたり、椅子を蹴飛ばしたり、挙げ句
の果てに火を放ったりというパフォーマンスは、同時期のリトル・リチャードと
供にジミヘンとかエルトン・ジョンとか、ELPとかキッスとか、70年代にショー
化されたロックの先取りといえるかも知れません。もちろん彼は単なるキワモノ
ではなく、その後30年以上もカントリーチャートに登場し続けるだけの才能と持
久力を持ったアーティストではあるのですが。
で、ジェリー・リーとあわせて彼のサン・レコード仲間6位、7位も続けて紹介
しておきます。6位はジェリー・リーはじめ多くのサン・レコード所属アーティ
ストのアレンジャーも務めたサックス・プレーヤー、ビル・ジャスティスの「ラ
ウンチー」。サンの社長、サム・フィリップスが傘下に設立した“フィリップ
ス・インターナショナル(ヨーロッパの有名な「フィリップス」と混同しがちで
すが、こちらのフィリップスは“L”が2本、ヨーロッパのは1本です)”から発
売されたこのインスト曲は、強烈なビートがウケて大ヒット。後の“ハイ・サウ
ンド”につながるメンフィス・ビートをチャートに送り込むこととなりました。
もう一人、ジャリー・リーの入社と入れ違うようにサンからメジャーへと巣立っ
ていった“兄貴”エルヴィスの「監獄ロック」と「やさしくしてね」のカップリ
ングも7位にランクイン。このシングルは彼の同名主演映画のテーマで、映画で
演奏されるシーンにはこの曲を作ったコンビ、リーバー&ストーラーのマイク・
ストーラーが実際にピアニスト役で登場してます。
順位を戻して3位には“穏健派”パット・ブーンの「四月の恋」が。当時“歌
う大学生”だった彼は日本でも大変な人気を博したこのバラードをテーマにした
ミュージカル映画に主演、恋人役は後に「パートリッジ・ファミリー」のメンバ
ーとしてナンバー1ヒットを記録するシャーリー・ジョーンズでした。余談です
がブーンはこの年の6月にコロンビア大学を“優秀な成績でご卒業”し、南部の
荒くれ者たちとはワンランク違う“完璧な若者”像を作り上げます。さらに余談
ついで、彼の実弟ニコラスも兄に続けとばかりこの時期“ニック・トッド”の名
前でアーティスト活動を行っており「踊りにいこうよ」のカバー盤をそこそこの
ヒット(最高21位)にしましたが、その後は全然続きませんでした。
もう一人R&R世代のアイドル、4位のリッキー・ネルソンはこの時まだ17歳。家
族総出のTVショーから登場した“陽気なリッキー”は、新曲が出る度にその曲を
TVショーで披露するという、いってみれば後の「パートリッジ・ファミリー」の
はしりのような存在でしたが、その後5年間数えきれないほどのヒット曲をリリ
ースし続けることになるインペリアル・レコードからの2枚目のシングル(この
曲)では、他のR&Rヒーローたちにひけをとらないハードで“リアル”なR&Rナン
バーを聴かせています。
続いて5位にも伝説のロッカーが登場、こちらはテキサス出身のバディ・ホリ
ー。この「ペギー・スゥ」とは彼が率いていたバンド、クリケッツのメンバー
で、自身「Real Wild Child(58年68位)」のヒットも持つジェリー“アイヴァ
ン”アリソンのガールフレンドのことなのだそうですが、この二人が結婚した際
にホリーは「ペギー・スゥがあいつと結婚しちゃった。」という「Peggy Sue
Got Married」という曲を書き、それがタイトルとなってオールディーズ風味た
っぷりの映画「ペギー・スーの結婚」が80年代に生まれた(内容はホリーとまっ
たく関係ありませんが)・・という話は、これまた余談。
とんで8位にはジミー・ロジャースの「ワインより甘いキッス」。同世代のR&R
アーティストと比べ、若干フォーク/カントリー寄りのスタンスだった彼のこの
曲は、伝説のフォークグループ、ウィーヴァーズのレパートリー(51年19位)の
カバー。今回余談ばかりになって恐縮ですが、この曲を江利チエミが50年代に
「恋のキッスは?」のタイトルでカバーしておりまして。内容は原曲とはまった
く違った恋愛指南になっているのですが、これが非常にいい。“プレ漣健児期”
の翻訳ポップスの傑作だと思います。彼女の「全曲集」みたいなボックスセット
でしかCD化されていないので、なかなか入手し辛いのですが。。
9位はまだ年末気分が残っているボビー・ヘルムスの「ジングルベル・ロッ
ク」。これはR&R時代有数のクリスマス・スタンダードとなり、その後5年間クリ
スマスシーズンになるとヒットチャートに顔を出し続けました。最後10位はこれ
また伝説的存在、サム・クックのブレイク作「ユー・センド・ミー」。この時期
はまだポップ市場へのブレイク模索段階で、インク・スポッツタイプのソフトな
バラードを次々と発表していた彼でしたが、60年代に入ってRCAに移籍し、数々
のソウルクラシックを発表していく様子は昨年公開された映画「アリ」とか、先
日出た分厚い伝記本とか、ボックスセットとか、検証する材料が現在出揃ってい
ますので、この機会に是非ご堪能ください。
(2003.1.7)
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