TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ 45回転盤シングル 1958年8月のベスト・セラーズ
1.真夜中のブルース/ベルト・ケムプフェルト楽団(Polydor)
2.クレイジー・ラヴ/ポール・アンカ(ABC-Paramount)
3.想い出の指輪/エルヴィス・プレスリー(Victor)
4.最後の楽園/フランチェスコ・ラバニー楽団(Polydor)
5.先生のお気に入り/ドリス・デイ(Columbia)
6.浪路はるかに/ビリー・ヴォーン楽団(Dot)
7.君はわが運命/ポール・アンカ(ABC-Paramount)
8.ピティ・ピティ/ポール・アンカ(ABC-Paramount)
9.冷たい女/エルヴィス・プレスリー(Victor)
10.テキラ/マックス・グレーガー楽団(Polydor)
昭和30年代の我が国の洋楽チャートとしては、過去にラジオの「ユア・ヒット
パレード」をこのコーナーで紹介したことがありましたが、今回は当時のシング
ル・セールスチャートを取り上げてみようと思います。ここ何年か「我が国最古
のヒットチャートは何か?」をテーマに色々と調べものをしている私ですが、こ
れまでの一応の結論は「ユア・ヒットパレード」かな?というものでした。が、
しかし最近、もっと古くから続けられているものを発見してしまいました。1952
年(昭和27年!)にスタートしたというそのチャートが掲載されていたのはなん
と「ダンスと音楽」という社交ダンスの雑誌。
レコードというメディアは誕生以来、ダンスとは不可分な関係にあった訳で
(1920〜30年代アメリカで発売されたポップ音楽のレコードには、必ずレーベル
にダンス・ステップ名が書かれていたほどでした)当然西洋のダンスを取り扱う
同誌には、洋楽の情報も入ってくるということなのでしょうか、全国30箇所のレ
コード店の売れ筋を調査し、ポイント集計したベスト20を毎月掲載していまし
た。
それではヒットチャートの紹介に移りましょう。昭和33年8月の売上ナンバー1
は、ベルト・ケンプフェルト楽団の「Midnight Blues」でした。
アメリカのヒットチャートを中心に音楽をチェックしている洋楽ファンには
1961年の全米ナンバー1ヒット「星空のブルース(Wonderland By Night)」、そ
して「ダンケ・シェーン」「夜のストレンジャー」といった曲の作曲家としてお
馴染みの彼は、日本では映画「朝な夕なに(Immer wenn der Tag beginnt)」の
テーマとして紹介されたこの曲でブレイク、この年を代表する洋楽ヒットとなり
ました。ドイツの高名なバンドリーダー/プロデューサーである彼はこの後60年
代半ばまで我が国で数々のヒットを飛ばします。なおこの映画は美人教師と生徒
のほのかな恋・・みたいな学園ものだそうで、「真夜中〜」は劇中死んでしまう
病弱な生徒会長(いかにもっ!)を偲んで生徒たちによって演奏されるそうで
す。にしては、妙にミュートが効いた感じで変に色っぽい曲なんですが・・。
続いて2位以下に3曲(2位、7位、8位)をこのチャートに送り込んでいるのは
ポール・アンカ。ABCパラマウントの音源が日本発売され始めたのはこの年の1月
で、その第一弾は彼、ポール・アンカの「ダイアナ」でしたが、それが当時の
“ロカビリー・ブーム”の影響もあって大ヒットとなったことで、この時期彼の
シングルが立て続けにリリースされていたようです。2位の「Crazy Love(米15
位/英26位)」、7位の数年前にリバイバルした「You Are My Destiny(米7位/
英6位)」はアメリカでは同レーベルから3枚目、4枚目にリリースされたともに
情熱的なロッカバラード。16歳にしてR&Rだけではない芸の引き出しの持ち主で
あることをアピールするに十分な名曲でした。日本でもこの作風は大変な人気を
集め“アンカ節”は我が国のポップスに少なからぬ影響力を持ち続けていくこと
となります。8位に入っている「Pity Pity」は、アメリカではリリースの記録が
残っていないレアなシングル。彼はこの翌月初の来日公演を行い、その置き土産
として「クリスマス・イン・ジャパン」という録音を残していきましたが、それ
に先駆けた彼にとって最初の“日本のみヒット”ということになりますね。
なお以前も書いたことがありましたが彼の来日時の騒動は大変悪名高く、TV局
で会ったタレントの女の子を猛烈に口説いたり、移動の寝台列車ではファンの女
の子たちが入れ代わりたち代わりで彼のベッドに潜り込んで大騒ぎをしたりと、
それは凄かったとか・・。かなりの悪評判となったようで、これから数ヶ月後の
チャートでは彼の作品が一斉に姿を消す、なんて現象も見られました。よっぽど
ひんしゅくをかったんですね。
そして3位と9位にランクインしているのがエルヴィス。彼はこの年の3月に入
隊、約2年の間シーンの最前線から姿を消しますが、その前に駆け込みで録音さ
れたシングルは彼の不在中もコンスタントにリリースされ続けていました。3位
「Wear My Ring Around Your Neck(米2位/英3位)」もそんな一曲で、2月の録
音。“僕の指環をネックレスにして身に付けてくれ”という回りくどい表現は
“指輪を贈り合うには若すぎる2人の恋が、ホンモノだってことを周りの奴らに
見せつけてやろうぜ!”という意味のようなんですが、時期的に、移り気なファ
ンに自分に対する忠誠をエルヴィスが懇願しているようにもとれますね。もう一
曲9位の「Hard Headed Woman(米1位/英2位)」は彼の主演映画「闇に響く声
(King Creole)」から。映画の舞台がニューオリンズということでサントラは
全面的にニューオリンズ・ジャズ調のサウンドで彩られた“ディキシーランド・
ロック”で占められていますが、この曲もその中の一つ。ハードにシャウトする
エルヴィスと、それを煽りに煽るディキシー・サウンドがなんともユニーク。
「ハ、ハ、ホッ!」という掛け声にもシビレます。
4位と5位はサントラヒット。4位アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ
指揮イタリア・フィルム・シンフォニック・オーケストラの「L'Ultimo
Paradiso」は南太平洋の島々を舞台とした同名イタリア映画のテーマ曲集(3曲
入り)で、この中から「パペーテの夜明け(Sunrise At Papeete)」がヒット。
ギターと口笛によるシンプルなインストで、1分半ほどの小品です。「最後の楽
園」は恐らく日本に初めて当地の風習として“バンジー・ジャンプ”を紹介した
映画だと思うのですが、当時の観客が「なぁ〜んて野蛮なんだろうねぇ。」と思
ったであろうバンジー・ジャンプが「あれから40年(綾小路きみまろ風)」、我
が国でレジャーや罰ゲームの定番と化すとは誰が予想したでしょう?続く5位は
クラーク・ゲーブルとドリス・デイが主演した同名映画の主題歌。この時期の彼
女は歌手としての活躍は勿論ですが、映画女優としての活躍が華々しく、親しみ
やすいイメージで数々のヒット映画に主演。“芸能界でもっとも金を生むスタ
ー”のランキングのトップを暫く守り続けました。まったくの余談ですが、50〜
60年代を代表するアイドル、フランキー・アヴァロンはこの時期売り出し中で試
行錯誤のまっただ中、“「先生のお気に入り」なんてごめんだぜ”というこの曲
のアンサーソング「(Don't Wanna Be) Teacher's Pet」をリリースしましたがま
ったく売れず。続いて鼻をつまみながらバカっぽく歌ってみた「DeDe Dinah(米
7位)」で思わぬブレイクを果たし、人気者となりました。
あとは残り2曲。6位はビリー・ヴォーン楽団の「Sail Along Silvery Moon
(米5位)」。このレコードをリリースしているドット・レコードの日本発売が
始まったのは前年の1957年で、以降パット・ブーンが看板アーティストとしてコ
ンスタントにヒットを飛ばし続けましたが、続く人気アーティストがなかなか生
まれなかったところに登場したのがこの曲。この時期既にベテランだったビリ
ー・ヴォーンは、1960年代半ばの来日をきっかけに我が国でも人気爆発、以降毎
年のように来日公演が行われることになります。彼のサウンドを聴くと私はどう
しても海の家とか、ビアガーデンとかの光景を思い浮かべてしまうのですが、梅
雨も明けたことだし、近々ビリー・ヴォーンを聴きながらビールが飲める場所を
探してみることにしましょうか(今どきないか)。最後10位「Tequila」はアメ
リカのインストグループ、チャンプスの全米ナンバー1ヒットですが、日本では
数多くのカバーがリリースされて本家を凌ぐヒットを記録、その中の一つがグレ
ーガー盤でした。恐らくドイツのバンドリーダーである彼のレコードは当時我が
国で多数リリースされていたようですが、このレコードではちょっとロックっぽ
く「マックスとマックシーズ」というアーティスト表記になっています。
(2003.8.5)
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