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01 情熱の花/カテリーナ・ヴァレンテ(London) 昭和34年の洋楽チャートといえば、以前「ミュージック・ライフ」誌のもの を紹介したことがありましたが、今回は私がここ数年あちこち探し回っている 「ミュージック・マンスリー」誌のチャートが入手できましたので(資料をご 提供下さった和田さん、どうも有難うございました!)こちらを紹介したいと 思います。それにしてもこの時期の同誌って、何処かにまとまって残っている ものなんでしょうかね?少なくとも国会図書館にはありません。昭和30年代の 「ミュージック・マンスリー」誌を保管されている方、もしくは何処かで最近 見かけたという方、是非ご一報下さいっ。 そんな訳で話をチャートに移します。邦楽チャートではペギー葉山の「南国 土佐を後にして」がナンバー1を記録していた昭和34年10月号のチャート(恐 らく集計は8月頃と思われます)、洋楽の1位はカテリーナ・ヴァレンテの 「Tout L'Amour (Passion Flower)」でした。 イタリア系の芸人一家に生まれたヴァレンテは、ヨーロッパ中を巡業して廻 る中ドイツでレコード契約を結び、ウェルナー・ミューラー(リカルド・サン トス)の下吹き込んだ「The Breeze And I(そよ風と私)」がアメリカでもヒ ットを記録したのは何週か前、1954年の回に紹介したとおり。その後もヨーロ ッパでは順調に作品を発表し続け、それから5年後、日本ではこの曲でブレイ クとなります。ベートーベンの有名な「エリーゼのために」のメロディをベースに、ラテン 調のリズムを施したこの曲はたちまち日本人の心を捕らえ、当時ロンドン・レ コードを配給していたキング・レコード所属のザ・ピーナッツによるカバーを 生むことで、更に世の中に浸透していきました。“双子のピーナッツ”はその 後もヴァレンテとの競作を続け、中には「パパはママにイカれてる」なんて曲 もありましたし、宮川泰作曲の名作「恋のバカンス」もこの二組が世に送り出 したものでした。 ザ・ピーナッツ関連でもう一曲。彼女たちのデビュー曲「可愛い花」はこの
週3位のピーナッツ・ハッコー「Petite Fleur」のボーカル盤でした。ハッコ
ーさんはボブ・クロスビー楽団の演奏にフィーチャーされたところ日本ではメ
インのクレジットとなってしまい、それにより大変な人気者となりました。当
時日本ではソロをとるメンバーを大きくクレジットするのが結構一般的だった
ようですが、この風潮が現在まで続いていたとしたら、パフ・ダディ改めP.デ
ィディはさぞかし憤慨したことでしょう・・。
一歩戻って2位はナット・キング・コールの“コール・エスパニョール(コ
ール、ラテンを歌う)”路線の代表作「Quizas, Quizas, Quizas」。タイトル
のフレーズを聴いてると「キス、キス、キス。」と情熱的に愛を歌っているよ
うな気にさせられるのですが、実は「多分、多分、多分。」と、恋をはぐらか
す内容の歌らしい・・という話は、以前この曲を取り上げた時に既に書いてし
まった気がします。4位には10インチ(25センチ)盤のアルバムがランクイン。当時はシング ル、アルバムのチャート別けがなかったようで、このチャートでも下位には何 作かアルバムが登場しています。アメリカでもアルバムチャートが作られたの は1945年頃の話で、それ以前はヒットパレードにミュージカル「オクラホ マ!」のオリジナルキャスト盤が登場する(43年米9位)なんてこともあった ようですから、これは別に不思議なことではなかったのでしょう。 で、この「ユア・ベスト・テン」、その名のとおりヒット曲が10曲収録され ている訳ですが、オリジナルのヒットといえるのはオリンピックのスキー選手 からタレントに転じたトニー・ザイラーの「黒い稲妻」くらいで、その大半は ポリドールで録音されたカバー・バージョン。このチャートに登場している曲 でいえば「キサス・キサス・キサス」はカテリーナ・ヴァレンテが、「小さな 花」はリカルド・サントスが、「トム・ドゥーリー」はトム・ドゥーリー・ト リオ(怪しいっ!)が・・といった感じ。当時この手のアルバムは数多く出さ れていたようです。続く5位、6位はアメリカでもヒットし、既にこのコーナーで紹介済なのであ まり多くは触れません。どちらも19世紀に生まれた曲の焼き直しということ で、フォークブームに沸いていた当時の雰囲気がなんとなく伝わってくるよう な気がします。「ニューオーリンズ〜」の方は先週の回で取り上げたばかり で、本国とほぼ時を同じくして日本でもヒットを記録していたことが判りま す。 7〜9位の3曲は、いずれも映画「リオ・ブラボー」から。ディーン・マーテ
ィン、リッキー・ネルソン、ジョン・ウェインの3スターが共演したこの映画
は大ヒットを記録しましたが、サウンドトラック盤が発売されずファンがシン
グル盤の入手に奔った結果がこのチャートになった模様。現在もこの映画のサ
ントラはどういう訳かドイツでしか発売されていないようなのですが、日本国内でDVDが\1500で出てしまっていることを考えると、サントラCDというものの存在意義自体が怪しくなっているような気もしてきます。なおこのチャートに
登場しているのはディーン・マーティンがソロで歌い直したもので(映画では
登場人物3人の共演)、7位「My Life, My Pony And Me」と8位「Rio Bravo」
は同じシングルのA面とB面。なんでこんな表記になったのでしょう?レコード
店からの売上報告が両曲同じくらい届いていたのでしょうか(合わせれば1位
だったかも・・)?とにかく面白い現象です。9位の「De Guello」はマニー・
クラインのトランペット(日本盤のジャケットにはしっかりクレジットされて
います)が鳴り響くインストナンバー。この数年後、ジョン・ウェインが監督
した映画「アラモ」でも効果的に使用され、強い印象を残しました。最後10位はニール・セダカの「The Diary(58年米14位)」。“ミスター60 年代”といっても過言でない彼が、人気アーティストとしての一歩を印しまし た。
(2002.6.26)
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