TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 August 29, 1960

01 (01) It's Now Or Never / Elvis Presley (RCA)
02 (03) Walk -- Don't Run / The Ventures (Dolton)
03 (04) The Twist / Chubby Checker (Parkway)
04 (05) I'm Sorry / Brenda Lee (Decca)
05 (07) Volare / Bobby Rydell (Parkway)
06 (02) Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polkadot Bikini / Brian Hyland (Kapp)
07 (08) Finger Poppin' Time / Hank Ballard & The Midnighters (King)
08 (09) Mission Bell / Donnie Brooks (Era)
09 (06) Only The Lonely / Roy Orbison (Monument)
10 (14) In My Little Corner Of The World / Anita Bryant (Carlton)

 この週のナンバー1はエルヴィスの「It's Now Or Never」。1958年から約2年間に亘り兵役に就いていた彼が本土にカムバックして発表した第一弾シングル「Stuck On You」が見事ナンバー1となり、続いて発表されたのがこの曲。日本でも知名度の高いイタリア産の「O Sole Mio(英語で“My Sunshine”の意)」は、アメリカのヒットチャートにおいても今世紀の初頭から“伝説のテノール”エンリコ・カルーソ他幾つかの録音がヒットした記録が残っており、1949年には朗々とした歌を聴かせる男性シンガー、トニー・マーティンによる英詞曲「There's No Tomorrow(2位)」としてもヒットしている定番。これまでR&R(現在でいえばオルタナティブ)のヒーローとしてチャートに君臨していた彼が、突如“メインストリーム宣言”して新しい詞がつけられたこの曲を発表した時は、少なからずインパクトがあったのではないでしょうか。

 前年「Mack The Knife」を大成功させたボビー・ダーリンをはじめ、50年代中盤〜後半にR&Rヒットでシーンに登場してきたアーティストの多くはこの頃「いつまでもR&Rじゃないだろう、そろそろ大人の鑑賞に耐え得る作風に転向すべきなんじゃないか?」と考え始める時期にあったようです。この週では前年から数多くのダンスナンバーをヒットさせていたボビー・ライデルが、2年前にヒットした「Volare」をカバーしていますし(5位)、R&Rの第一〜第二世代のアーティストたちが挙って“転向”を模索していた音楽的過渡期にあったということができるかもしれません。

 R&Rの歴史を振り返る本を読むと、これら一連の出来事を“R&Rが死んだ”と捉えるむきもあるようですが、先週紹介したとおり新しい世代のアーティストは続々と登場してきますし、新しいR&Rもこの後途切れることなくヒットチャートに登場してきます。

 話を先に進めましょう。この週2位に入っているのは、あのヴェンチャーズ。「急がば廻れ」のタイトルで日本でも人気のあるこの曲で、彼らはメジャーシーンに登場しました。この2年ほど前から各地のインスト・ガレージバンドがヒットチャートに登場し、さながら“インスト・ブーム(見方によっては、これがR&R史上最初期のガレージ・ロック・ムーブメントかもしれません)”の様相を呈していましたが、ヴェンチャーズはその中では比較的ベテラン揃い。彼らは器用な技巧と確かなプロダクションで、この後10年以上に亘りアメリカのヒットチャートで成功を収めていきます。なお日本での人気が本格化するのはこれから約5年たってから。

 3位は、また出ましたチャビー・チェッカー。先週紹介した「Let's Twist Again」の中で「覚えてるかい?去年の夏を」と歌われているのは、この曲のナンバー1ヒットを指してのこと。この頃はまだ、ツイストは次々と生まれてくるダンスステップの一つに過ぎませんでした。なお「Twist」は元々この週7位に入っているハンク・バラードとミッドナイターズが前年発表したシングル「Teardrop On Your Letter(87位)」のB面に収録されていた曲。「Twist」が歴史的な大ヒットとなってハンク・バラードは随分悔しい思いをしたそうですが、ヒットチャートの流れから考えると、彼ら自身も“「Twist」効果”でポップ界における認知度が上がり、その後ダンスヒットを連発していった、と見ることもできるので、充分恩恵は被ったといえるのでは・・。彼ら版「Twist」もちょうどこの頃再浮上し、最高28位を記録していますし・・・。

 続いて4位に入っているのは“ナッシュビルのちびっ子”ブレンダ・リー。「ごめんなさい(直訳!)」はこの後彼女にとって初のナンバー1ヒットとなります。ブレンダ・リーが本拠としていたナッシュビルは当時、カントリーミュージックとポップミュージックのサウンドを融合させ、洗練させた“ナッシュビル・サウンド”全盛期。エルヴィスもナッシュビルで次々とヒットを生み出していましたし、この週9位に「Only The Lonely」を送り込んでいるロイ・オービソンも、ナッシュビルのサウンドをバックに数多くのヒットを生んだ一人でした。

 “R&Rの巨人”ロイ・オービソンの話を始めるとスペースがいくらあっても足りないので(私は彼をネタに2時間半DJタイムをやったことがあります)簡単に済ませるようにします。現在はディキシー・チックスの所属レーベルとして蘇っているモニュメント・レコードの最大のドル箱だった彼は、西部〜南部のロックフィーリングと、滑らかなオペラ的唱法(「It's Now Or Never」に通じるものもあります)で、この時代唯一無二の地位を築きました。初のメジャーヒットである(この週そういうのが多いですね。やはり“過渡期”だったのでしょう)この曲は、約20年後J.D.サウザーの「You're Only Lonely(79年7位)」でフィーチャーされました。

 残りの曲も手短に。5位は夏の定番「ビキニスタイルのお嬢さん」。“オールディーズ黄金時代”の代表的作品として、現在も各種コンピレーションに収録され続けている名曲です。8位はシンガーとしては短命に終わったドニー・ブルックス「Mission Bell」。彼はその後どういう訳かハーモニカプレイヤーとして業界で活躍、ビージーズのアルバム「Main Course」にも彼のクレジットがあるようなのですが、あのアルバムってハーモニカ聴けましたっけ?

 最後10位はポピュラー系女性シンガー、アニタ・ブライアントの「In My Little Corner Of The World」。“元ミス・オクラホマ”の肩書きを持つ彼女は、さしずめ“コニー・フランシスになれなかったあの時代の一人”といった印象。日本でも“オールディーズの女王”といわれ、未だ多くのファンを持つコニー・フランシス。しかし彼女の作品を注意深く聴いていくと、その基本的スタンスはむしろR&R以前のオーソドックスなポップスにあることが判ります。ただ、そのときどきに時代に則したサウンドのシングル作品を発表し続けたので、時代遅れな印象はまったくありませんでしたが。では、そのコニー・フランシスとアニタ・ブライアントの運命を分けたものは何だったのでしょう?本人のやる気とか、スタッフの方針とか色々考えられますが、そこら辺はいずれ突っ込んで考えてみたいと思っています。


(2000.8.22)

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