TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart October 8, 1960

01 Tell Laura I Love Her - Ricky Valance (Columbia)
02 Only The Lonely - Roy Orbison (London)
03 Nine Times Out Of Ten - Cliff Richard (Columbia)
04 How About That - Adam Faith (Parlophone)
05 So Sad/Lucille - The Everly Brothers (Warner Bros.)
06 The Girl Of My Best Friend/A Mess Of Blues - Elvis Presley (RCA)
07 Apache - The Shadows (Columbia)
08 Walk, Don't Run - The Ventures (Top Rank)
09 Walk, Don't Run - John Barry Seven (Columbia)
10 Please Help Me I'm Falling - Hank Locklin (RCA)

 昭和35年10月、UKチャートのナンバー1はリッキー・ヴァランスの「ローラに 好きだと言ってくれ」でした。

 このコーナーでは今年の前半にイギリスの「ブリティッシュ・ビート・エラ」 と呼ばれる時期(1963〜66年)のチャートを紹介したことがありましたが、今回 はその仕切りなおし、1960年代のUKロックシーンを年末までかけて10年分たどっ てみたいと思っています。なおチャート情報は前回の「New Musical Express」 紙から「Record Mirror」に変更しています。

 それではチャートの方に話を移しましょう。1950年代アメリカには“リッチ ー・ヴァレンス”という伝説的なR&Rスターがいましたが、それとは何の関係も ないウェールズ出身の“リッキー・ヴァランス”は、この時代に活躍したアイド ルシンガーの一人。当時の大半のアーティスト同様、アメリカのポップスのカバ ーを得意としており、この曲はレイ・ピーターソンが本国で大ヒット(60年米7 位)させたものの焼き直し。ドラッグ・レースで事故を起こし、虫の息となった 主人公がガールフレンドへの想いを告げて息をひきとる・・という悲劇的な内容 は、50年代後半〜60年代前半に盛んに作られ“デス・ディスク”と名づけられて いる類いのポップスの代表作。当時20歳だったヴァランスは、現在もエンターテ イナーとして欧州や豪州、南アフリカなどを忙しくツアーして回っていそうです が(上の写真は近影)、イギリスのヒットチャートに残した足跡はこれ1曲のみでした。

 彼と併せて他のイギリスのアイドルたちも紹介しておきましょう。3位はオー ルタイム・ナンバー1アイドル、“イギリスのエルヴィス”クリフ・リチャー ド。実際のところエルヴィスとクリフはタイプの違うシンガーなので、比較され ることを嫌うファンもいるようですが、この“9割がた”という曲は特にエルヴ ィスの影響が強く窺えるロック・ナンバー。今年の来日公演でも彼は言ってまし たね「エルヴィスなくして、クリフなし。」と。そして4位にはアダム・フェイ スも登場。彼はアメリカでいえばボビー・ヴィータイプのシンガーで(ブレイク はアダム・フェイスのほうが早いのですが)、バディ・ホリーの線を細くしたよ うな歌い方を得意としました。「How About That」は如何にも60年代といった感 じのドリーミーなポップス。ロック本では「ビートルズ以前のイギリスのポップ スは、アメリカ音楽の焼き直しばかりで聴くに値しない。」という見方が一般的 なようですが、この時期の“ブリット・ポップ”のなんともいえない幸福感は、 これはこれで捨てがたいものがあると思います。

 続いてイギリスの音楽シーンにも多大な影響を与えたアメリカR&Rの巨人たち を紹介。2位はロイ・オービソンのブレイク作「オンリー・ザ・ロンリー」。テ キサス出身の彼は地元で発表したシングル「Ooby Dooby」が評判となってメンフ ィスのサン・レコードと契約を結び小ヒット(56年米59位)を記録。その後RCA に移籍と、エルヴィスと同じコースを歩みましたがヒットを生むことが出来ず。 59年にモニュメントに移ってようやく黄金時代を築きます。最初の大ヒットとな ったこの曲は彼のオペラっぽい歌声を活かしたバラードで、この曲をベースに約 20年後、J.D.サウザーの「You're Only Lonely(79年米7位)」が生まれたのは 有名な話。

 1960年代初頭は音楽のメロウ化が進んで“大人のロック”がヒットチャートで 受け入れられるようになり、兵隊から戻ってきたエルヴィスもオービソンと同路 線の「It's Now Or Never(60年米1位)」を歌うようになっていたので、彼のブ レイクは必然だったのでしょう。イギリスにおける彼の人気は本国を凌ぐ根強さ があり、アメリカでヒットが途絶えた後も60年代末までコンスタントにヒットが 生まれました。

 5位にはドナルドとフィリップのエヴァリー兄弟による「So Sad (To Watch Good Love Go Bad)(米7位)」と「Lucille(同21位)」のカップリングが。ナ ッシュヴィル出身の2人はカントリーのルーツを他のアーティストより色濃く持 ち、カントリーのハーモニー・スタイルをR&Rに持ち込んだことで大変に強い影 響力を持ちました。ボーカルにハーモニーを取り入れたロックグループで、彼ら に影響を受けていないものはないでしょう。イギリスでは特にその傾向が顕著 で、これから何年か後のUKチャートにはエヴァリー・スタイルのハーモニーや、 バディ・ホリースタイルのボーカルを得意とするバンドで溢れ返ることになりま す。今回登場している「ソー・サッド」は兄弟2人の手によるオリジナル曲。こ のしみじみ感が彼らの魅力の一つです。もう一方の「ルシール」はリトル・リチ ャードのカバー。彼らにしてはハードにロックしていますが、やはりオリジナル にはかないません。

 続いて6位には除隊後エルヴィスの「奴の彼女に首ったけ」と「メス・オヴ・ ブルース」のカップリング。「奴の彼女〜」はイギリス独自のシングルカット で、彼が兵隊から復帰した第一弾アルバム「Elvis Is Back!」収録曲。この曲の イギリスにおける評判を聞いたのか、アメリカでは彼ソックリに歌うシンガー、 ラル・ドナーがこれをカバーし、最高19位のヒットとなりました。一方の「メス 〜」はアメリカではナンバー1ヒット「It's Now Or Never」とのカップリングで リリースされ、最高32位を記録。こちらの方は先日発売されたリマスター・ベス ト第2弾「2nd To None」にも収録されています。

 7位〜9位にはインスト曲が並びます。まず7位はクリフの盟友シャドウズの代 表曲「アパッチ」。イギリスにおける彼らの人気は大変なもので、60年代を通じ て数多くのインスト・ヒットを飛ばしましたが、どういう訳かアメリカではまっ たく相手にされませんでした。この「アパッチ」もアメリカではデンマークのギ タリスト、ヨルゲン・イングマンによるカバーが大ヒット(61年2位)、日本で もベンチャーズがギターの弦を擦って「シュッシュッ」と矢を放つ音を効果的に 織り込むバージョンの方がお馴染みかも知れません。

 8位にはそのベンチャーズが。記念すべき初ヒット「ウォーク・ドント・ラン (米2位)」は当時日本でもイギリス経由でトップ・ランクレーベルから発売さ れましたが、そのときは大した評判にはならなかったようです。彼らはこの翌々 年所属するリバティ・レコードの日本発売を記念したショーケースでボビー・ヴ ィーらとともに初来日、その時は現在ベース担当のボブ・ボーグルがリードギタ ー、そしてドン・ウィルソンがリズムギターというギター・デュオ編成だったそ うですが、先日観に行った恒例の来日公演ではこの“初期型”編成による演奏を 何曲か聴かせてくれ(このシングルのB面曲「Home」まで披露するサービスぶ り!)、ちょっと得した気分になりました。

 イギリスにおける彼らはといえば、やはり“シャドウズの国”でギター・イン ストバンドは不利みたいだったようで、意外なほどに苦戦。60〜61年に数曲をチ ャートインさせたのみで、ヒットは続きませんでした。9位に入っているのはシ ャドウズと並ぶ“イギリス名物(?)”ジョン・バリーによるこの曲のカバー。 彼はその後「007」「ナック」といった映画のサントラで名を上げていくことと なります。

 最後10位はこれまで紹介した曲とはちょっと毛色の違ったカントリー、ハン ク・ロックリンの「迷わせないで(米8位)」。イギリスのヒットチャートは意 外なくらいカントリーに好意的で、60年代を通じて様々なカントリー・アーティ ストがチャートに登場します。ハンク・ロックリンは1950〜60年代のRCAレコー ド“ナッシュヴィル・サウンド”の黄金期を彩ったアーティストの一人で、この 「迷わせないで」と「Send Me The Pillow That You Dream On(夢を枕に)」は 多くのアーティストに取り上げられてカントリーのスタンダードになっていま す。あとチャートマニア的には彼が1958年に放ったヒット「ゲイシャ・ガール (米66位)」というのも気になるところですが、曲そのものは大したことはあり ません。


(2003.10.7)

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