TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 August 21, 1961

01 (01) Tossin' And Turnin' / Bobby Lewis (Beltone)
02 (05) Wooden Heart / Joe Dowell (Smash)
03 (06) Michael / The Highwaymen (United Artists)
04 (03) Last Night / Mar-Keys (Satellite)
05 (02) I Like It Like That / Chris Kenner (Instant)
06 (11) You Don't Know What You've Got (Until You Lose It) / Ral Donner (Gone)
07 (07) Pretty Little Angel Eyes / Curtis Lee (Dunes)
08 (04) Dum Dum / Brenda Lee (Decca)
09 (08) Let's Twist Again / Chubby Checker (Parkway)
10 (10) School Is Out / Gary (U.S.) Bonds (Legrand)

 この週のナンバー1はボビー・ルイスの「Tossin' And Turnin'」でした。1960年代前半のヒットチャートはR&Rが下火となり、64年にビートルズが登場するまで甘口のポップスが大勢を占める・・・という説明が一般的になっていますが、このチャートを見ればそれがウソであることは明白でしょう。確かに50年代半ばに登場した多くのロックンローラーたちはその役割を終えてヒットチャートから遠ざかっていきましたが、その次の世代のアーティストが次々とヒットチャートの上位に登場し、新たなるムーブメントを興し始めていたのです。

 特にこの時期のR&B界の動きは非常に興味深いものがあり、63年あたりまで続くダンスブームに乗ったノリのいいR&Rが流行る一方で、後に“ソウル・ミュージック”と呼ばれる、もっとディープでファンキーなフィーリングを持った作品もチャートに顔を出すようになってきています。前者に当てはまるのが1、9、10位、後者が4、5位あたりになるでしょうか。この2つの流れを見てみましょう。

 まず前者、生命力溢れるダンスミュージックとしてのR&Rの代表格が3曲。軽快なビートにのって「君のことを考えると夜も眠れなくて、一晩中ベッドで寝返りをうってばかり・・」と歌われる「Tossin' And Turnin'」は、結局この年の年間ナンバー1となりました。この曲はその後イギリスのアイヴィー・リーグによるその名も「Tossing & Turning(65年83位)」の発想の源となり、73年にはフィラデルフィアのバニー・シグラーの手によってフィリー・ソウル仕立てで甦っています(97位)。9位は“ミスター・ツイスト(彼はタイトルに「Twist」とついた曲を7度ヒットチャートに送り込んでいます)”チャビー・チェッカー。「もう一度」と言っているのは勿論、前年にナンバー1となった「The Twist」を受けてのこと。翌62年に「The Twist」は再びヒットチャートのトップに立ち、ツイスト・ブームはその頂点を迎えます。そして10位はゲイリーUSボンズの「学校はダサい(訳間違ってます?)」。このシングルに続いて彼は「School Is In(学校はイカす)」もリリースしましたが、こちらは最高28位とあまり評判を呼びませんでした。

 続いてR&Bの新しい流れを感じさせる2曲。4位メンフィスのマーキーズ「Last Night」はその後60年代後半から70年代前半にかけて音楽界を席巻する“スタックス・サウンド”のルーツ的な一曲。このグループに参加していたスティーブ・クロッパー及びドナルド“ダック”ダンはブッカーT&MG'sに加入、翌62年の「Green Onion」の大ヒット、そして一連のオーティス・レディングのレコーディングあたりを皮切りに鉄壁のアンサンブルを披露していきます。5位「I Like It Like That(65年にはデイヴ・クラーク・ファイブがリバイバル)」のクリス・ケナーは、彼自身既に若手ではなかったものの、ファッツ・ドミノやヒューイ・スミスなどの50年代マナーのニューオリンズR&Bとは一味違うゴツゴツとした手触りのサウンドを聴かせました。彼のこの曲や、彼のバージョンはマイナーヒットに終わりましたが「Land Of 1000 Dances(ダンス天国)」、そしてほぼ同時期にヒットチャートに登場してきたリー・ドーシー、彼らの曲の制作を担当していたアラン・トゥーサンや後のミーターズの面々など、徐々に“ニューオリンズ・ファンク”の担い手が顔を揃え始めています。

 こうしたR&Bの新しい流れの中、過去5年に亘ってR&Rのキングの座を守り続けていたエルヴィスはどうしたんでしょう?この週彼の曲はTOP10内にありませんが、彼の“影”は色濃く現れています。それが2位のジョー・ダウェルと6位のラル・ドナー。2位の「Wooden Heart」は元々エルヴィスの主演映画「G.I.ブルース」の挿入歌。エルヴィス陣営がこの曲をシングルカットしないことを見越して発表されたカバーが、この翌週見事ナンバー1を獲得します。そういえば日本では60年代エルヴィスの代表曲の一つと見なされている「G.I.ブルース」もアメリカではシングルカットされていませんし、ビートルズもそうでしたがトップアーティストのアルバムは、他のアーティストにとっては商売のタネとなる“宝の山”といった印象がありますね。6位のラル・ドナーは、ヒットチャート上で最も巧みにエルヴィスの歌声を模倣してみせたシンガー。最大のヒット曲であるこの「You Don't Know 〜」をはじめ5曲をヒットチャートに送りこんだ彼は、エルヴィスの死後81年に制作された伝記映画「This Is Elvis」でエルヴィス役のナレーターに起用されました(随分洒落の解る制作スタッフだったんですね)。

 残りの曲も紹介しておきましょう。3位「漕げよマイケル」のハイウェイメンは、大学生のフォークグループ。58年にキングストン・トリオがブレイクして以降、こざっぱりとしたファッションのモダンフォークグループが数多くヒットチャートに登場しましたが、彼らはその最大の成功例の一つといえるでしょう。グループ自体は短命に終わったものの「漕げよマイケル」の「ハーレールーーーーヤ」という掛け声は、現在も世界中で親しまれています。7位のカーティス・リーはいわゆる“甘ったるい”とされるティーン・アイドルの一人。R&Bグループ、ハローズ(ちょうどこの頃、彼ら自身の「Nag(最高25位)」もヒット中でした)の楽しいコーラスが聴けるこの曲、そして続く「Under The Moon Of Love(46位)」を手がけたのは、当時まだ修行中だったフィル・スペクター。彼はこの年の後半に自身のレーベル、フィレスを立ち上げ、“ウォール・オブ・サウンド”で一時代を築きます。最後8位は先日惜しくも閉鎖されてしまったカントリーの名門レーベル、デッカから登場したアイドル、ブレンダ・リー。この時代、ナッシュビルから沢山の魅力的なポップスが生まれていますが、そこら辺の詳細は来週何かの曲に絡めて触れたいと思います。


(2000.8.17)

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