TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 August 11, 1962

01 (02) Breaking Up Is Hard To Do / Neil Sedaka (RCA)
02 (01) Roses Are Red / Bobby Vinton (Epic)
03 (04) The Wah Watusi / The Orlons (Cameo)
04 (08) The Loco-Motion / Little Eva (Dimension)
05 (05) Ahab, The Arab / Ray Stevens (Mercury)
06 (06) Speedy Gonzales / Pat Boone (Dot)
07 (03) Sealed With A Kiss / Brian Hyland (ABC-Paramount)
08 (13) You'll Lose A Good Thing / Barbara Lynn (Jamie)
09 (16) Things / Bobby Darin (Atco)
10 (09) The Stripper / David Rose (MGM)

 この週のナンバー1はニール・セダカの「悲しき慕情」でした。「別れる(Breaking Up)のは辛すぎるから、仲直り(Making Up)しようよ」という云い回しは、その後「恋人との別れで一番いいことは、仲直りできること」と歌われるロネッツの「(The Best Part Of) Breakin' Up(64年39位)」やスタイリスティックスの「Break Up To Make Up(73年5位)」などでも見かけることのできる常套句です。なおこの曲、それから10年以上たった1975年に彼が再び録音してヒット(3位)、またこの曲とよく似た構成のシングル「可愛いあの娘(Next Door To An Angel)」も続くシングルとしてヒット(62年5位)と、“一粒で何度も美味しい”曲でもありました。

 今回は順番にダラダラと曲を紹介するだけではなく、この季節ならではという“夏物ヒット”を取り上げてみましょう。それが7位のブライアン・ハイランド「涙のくちづけ」。夏休みといえば一般に楽しいイメージが強く、ジェイミーズ「Summertime,Summertime(58年26位。この62年にもリバイバルし、最高38位を記録しています)」やコニー・フランシスの「Vacation(62年9位)」など楽しげなヒット曲が思い浮かびますが、そればかりでなく夏休みは様々なドラマが生まれます。

 日本ではあまり実感がないのですが、海外の夏休みは家族揃って数週間バケイションに出かけるという習慣が一般的のようで、そこでかの地の少年少女が直面する問題が“ボーイフレンド/ガールフレンドとの暫しの別離”。夏の真っ盛りにブライアン・ハイランドが悲嘆に暮れているのは、まさにこれ。バケーションに出かけても、考えるのはあの娘のことばかり。「毎日想いを手紙に書いて、くちづけで封印して、君の元へ送るよ・・。」という非常にセンチメンタルな内容。

 アメリカでこのテーマは結構一般的なようで、59年にはテンポスの「See You In September(23位)」がヒットしていますし、64年にはデイル・ワードがバイケション中の彼女から手紙を貰うという、逆の立場からの「Letter From Sherry(25位)」をヒットさせています。この季節になると毎年のように同じテーマのヒット曲が生まれていたようですね。

 彼女との再会を願ってひたすら9月の到来を待ちつづける人がいる一方、中にはバケイション先でひと夏の恋に落ちる、という歌もあって、このテーマもヒット曲として形になっています。近年では「夏休みに遊びに行ったおじいさんの農場で、バイトしてた大学生と初体験・・・」という内容のディーナ・カーター「Strawberry Wine(96年65位、カントリーでは1位)」なんて名曲も生まれています。また、とにかく夏休みは遊び呆け、新学期直前になって絶望的な気分になるというヒット曲も。57年ティミー・ロジャースの「Back To School Again(36位)」では、夏休みの終焉をまるでこの世の終わりがやってくるかのように歌い上げられています。彼はきっとモテなかったのでしょう・・。

 で、かくいう私ですが、今年の夏休み、まだ予定が決まっていません。いつ休みがとれるんだろう・・。クリフ・リチャードの「サマー・ホリデイ(63年英1位)」のように「誰にだって夏休みは来るんだ。ほんの1〜2週間・・。」なんて鼻歌まじりに遊びに出かけたいものですが・・・。

 残りの曲も簡単に紹介しておきます。2位のボビー・ヴィントンは日本でも人気のあるバラード系シンガー。彼は現在ミズーリ州ブランソンで自分の「ブルー・ヴェルヴェット劇場」を持ち、サマーシーズンは毎日昼夜二公演を行っているようです。彼のファンはブランソンに別荘を持たないと・・。3位はこの時代に多くのダンス系ヒットを生んだフィラデルフィアのカメオ・レコード所属、オーロンズの「Wah Watusi」。“ワトゥーシ”とはダンスのステップのようですが、どう踊るかは知りません。数年前にこの曲が突然TVCMに使われて驚いた覚えがあるのですが、オーロンズをはじめとするカメオ、そして系列のパークウェイ・レコードの作品は現在CDで聴こうと思っても聴けない状態にあります。かつてビートルズやローリング・ストーンズのマネージャーとしても知られたアラン・クラインが両社のマスターテープを押えており、絶対に使用を許可しないとか。彼は他にも再び市場から姿を消してしまったフィル・スペクター関連の音源、そしてサム・クックの一部の楽曲についても権利を持っているようで、オールディーズファンにとって彼は鬼門的存在。サム・クックは来月RCAから4枚組ボックスセットが出る予定で、クライン関連の問題がどこまで解決されているのか(音源は収録されるのか?)が注目されます。

 4位はカメオ/パークウェイを中心に盛りあがっていたダンスブームに当て込んで作られた曲。日本では「さぁさぁダンスのニューモード・・」と歌われたこの「ロコ・モーション」、当初はカメオ・レコード所属のディー・ディー・シャープのためにキャロル・キングとジェリー・ゴフィン夫妻が作ったのですが却下され、デモ・バージョンとして夫妻宅のベビーシッター(といっても素人ではなくて、スタジオシンガーもやっていたんですが)であるリトル・エヴァが歌ったバージョンがそのまま発売されて、この後ナンバー1を記録します。こんな経緯で生まれた曲なので勿論“ロコ・モーション”なんてダンスがあるはずはなく、ヒットしてから踊り方を聞かれたエヴァが大変困った、なんて逸話も残っています。

 5位、6位はノベルティ系。カントリー界の奇人、レイ・スティーヴンスの「アラブのアハブさん」は怪しげなチャルメラ(?)の旋律にのって奇妙な物語が展開される異曲。彼はこの後80年代に至るまでコンスタントにヒットを記録し続け(R&R以降の時代では恐らく最も多くノベルティ作品をヒットさせたアーティストでしょう)、70年代には「Everything Is Beautiful(70年)」「The Streak(74年)」をナンバー1ヒットさせました。これらの曲をビデオ化したコレクションが数年前に発売されたときは、100万本以上の売上を記録したとか。6位はパット・ブーンの「スピーディ・ゴンザレス」。50年代はエルヴィスと並ぶ人気を誇った彼も、この頃はこの曲や「悲しきカンガルー」など毛色の変わった作品でないとヒットは難しい時期にありました。

 8位はテキサス出身の女性R&Bシンガー、バーバラ・リンの「You'll Lose A Good Thing」。この時代のR&B名作の一つだと思います。9位は先週も取り上げたボビー・ダーリンの「初恋の並木道(なんでこんな邦題がついているんですか?)」。ブライアン・セッツァーはかなり熱心な彼のファンみたいで、前のアルバム「Dirty Boogie」では隠れた代表作「As Long As I'm Singing」を朗々と歌い上げていましたが、先日発売されたニューアルバム「Vavoom!」で今度は大ネタ「Mack The Knife」に挑戦。彼のなりきりぶり、ちょっと微笑ましいです。

 最後10位はデヴィッド・ローズの「ストリッパー」。普段は比較的お行儀のいい作品のアレンジや指揮を務めている彼が、スタジオで残った数十分を埋めるために即興的に録音したのがこのストリップのBGMを模したこの曲。こういうのが大ヒットするってのはヒットチャートの歴史ではよくあることです。今聴くとこれでも充分お行儀はいいほうですが。


(2000.8.8)

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