TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ CASH BOX TOP 100 SINGLES: Week ending June 16, 1962
01 I Can't Stop Loving You - Ray Charles (ABC-Paramount)
02 Stranger On The Shoe - Mr. Acker Bilk (Atco)
03 Palisades Park - Freddy Cannon (Swan)
04 The Stripper - David Rose & Orchestra (MGM)
05 It Keeps Right On A-Hurtin' - Johnny Tillotson (Cadence)
06 The One Who Really Loves You - Mary Wells (Motown)
07 Second Hand Love - Connie Francis (MGM)
08 (The Man Who Shot) Liberty Valance - Gene Pitney (Musicor)
09 Playboy - Marvelettes (Tamla)
10 Snap Your Fingers - Joe Henderson (Todd)
昭和37年6月第3週、キャッシュ・ボックスチャートのナンバー1は、レイ・チャールズの「愛さずにいられない」でした。
レイ・チャールズ・ロビンソンは1930年アラバマ生まれ。5歳で緑内障を発症し、7歳で完全に失明。10歳で父を、15歳で母を亡くした彼は音楽の道に進むきっかけを得たフロリダの盲学校を中退。当地でバンドを結成し、プロのミュージシャンとして活動を始めました。レコード契約を結んだのは彼が活動拠点をシアトルに移した1948年で、翌年には“マキシン・トリオ”名義で「Confession Blues」をR&Bチャートの2位に送り込むことに成功。当時はナット・キング・コールスタイルのスムーズな歌を聴かせていましたが、次第にR&B色を強め、アトランティック・レコードと契約を結び、自己のバンドを結成した1954年にチャールズはブレイク・ポイントを迎えます。
55年のR&Bナンバー1ヒット「I've Got A Woman」以降ヒット曲の山を築き始めた彼は59年の「What'd I Say(R&B1位/POP6位)」でポップスの世界でもその名を知られるようになり、メジャーのABCパラマウントから移籍の誘いを受けます。これにのった彼は60年代を通じてメインストリームの世界でヒット曲を連発、アメリカを代表するエンターテイナーの一人となりますが、その地位を完全に確立したといえる作品がアルバム「レイ・チャールズ、カントリー・アンド・ウェスタン・ソングを歌う」。アルバムチャートのトップを3ヶ月以上独走したこの作品は、彼がカントリーのスタンダードをナッシュヴィル・サウンドやビッグ・バンドをバックに歌うというもので、そのもっとも象徴的な曲がこの「愛さずにいられない」でした。
この曲はカントリー系のシンガーソングライター、ドン・ギブソンが1958年にヒット(C&W7位/POP81位)させたものでしたが、レイ・チャールズ盤が出て以降は完全に彼の歌。ストリングスを中心としたサウンド、そしてあの歌声、完璧なレコーディング。先週彼が亡くなったというニュースを聞いて、家に帰ってまず聴いたのは、やはりこの曲でしたね。しみじみと。「カントリー・アンド・ウェスタン・ソングを歌う」をひとしきり聴いて、その後アトランティックで最後のアルバム「The Genius Of Ray Charles」を続けて聴くと。それが私なりの追悼でした。
レイ・チャールズ追悼さえ書ければ今回は目的を果たしたも同然なので、これで終わりにしてしまってもいいのですが、それでは「Flash Back」にならないので、残りの曲もおおまかに紹介しておきましょう。まずはこの週2位と4位に登場している2曲のインスト・ナンバーから。2位「白い渚のブルース」の“ミスター”アッカー・ビルクは、イギリスのジャズ・クラリネット奏者。当時イギリスではニューオリンズ・スタイルの伝統的なジャズが“トラッド・ジャズ”と呼ばれて大変盛り上がっており、そのシーンのトップランナー的な役割を果たした彼は全英チャートに10曲以上のヒットを残したばかりでなく、この曲ではビートルズに先駆けアメリカのHOT100で最初にトップに立ったイギリス人アーティストにまでなってしまいました。クラリネットの音色が非常にのどかなインスト曲です。4位「ザ・ストリッパー」のデヴィッド・ローズは、ベテランのバンド・リーダー/アレンジャー。かつてジュディ・ガーランドと夫婦だったこともある彼は流麗なストリングを売り物(「Holiday For Strings(44年2位)」というヒットもあります)にしていましたが、ある舞台用にストリップの場面のBGMを作曲したところこれが変なウケ方をしてナンバー1に。彼にとって最も奇妙な代表曲となりました。
次は3位、5位、8位に登場しているティーン・アイドルをご紹介。3位「恋のジェット・コースター」のフレディ・キャノンは50年代後半から60年代半ばにかけて物凄い勢いでヒット曲を連発したロックンローラー。その熱唱系のボーカルと、爆発するようなドラム・サウンドは彼に“Boom Boom”というニックネームを与えるほどの熱さ。この曲は彼にとって実に15曲目となるチャートヒットで、デビュー当初「Tallahassee Lassie(59年6位)」「Way Down Yonder In New Orleans(59年3位)」「Chattanooga Shoe Shine Boy(60年34位)」と“ご当地ソングシリーズ”で売り出した基本に立ち返ったのか、ニュージャージーの遊園地を題材にした歌(間奏ではジェットコースターと客の嬌声のSE入り)でした。
続く5位「涙ながらに」のジョニー・ティロットソンは、フレディ・キャノンに比べると随分とスマートな感じのシンガー。自作の「涙ながらに」はもはや“古典”といっていいかも知れない立派なカントリー・バラードで、カバーヒットが殆どないのが不思議なくらい。この当時日本では殆ど知られていなかった彼は翌63年に、本国では60年代初頭にリリースされていた「キューティ・パイ」や「ポエトリー」が立て続けにヒットしてすっかりお馴染みの存在となり、本国での人気が下火になり始めた時期には日本語の録音も盛んに行って「涙くんさよなら」や「バラがさいた」など“ルーツ・オブJ-POP”的な作品を残しました。ここら辺のCD化って、現在は無理なんでしょうかね?そして8位はジーン・ピットニーの「リバティ・バランスを撃った男」。日本では「ルイジアナ・ママ(61年キャッシュ・ボックスチャート88位)」で知られる彼が、当時盛んに取り上げていたバカラック&デヴィッドのペンによる西部劇主題歌でした。
ついでに女の子アイドルも紹介しておきましょう。7位コニー・フランシスの「セコハン・ラヴ」はナッシュヴィルで録音されたポップ・カントリーですが、作曲はなんとあのフィル・スペクター。スペクターとこの曲の詞に提供したハンク・ハンターは都合3曲を共作し、残る「Oh, Yeah, Maybe, Baby」と「I Love You Eddie」はクリスタルズが録音しましたが、ヒットを記録したのは「セコハン・ラヴ」のみでした。「Oh, Yeah, Maybe, Baby」なんて、後の“スペクター・サウンド”的なドラムと、彼のニューヨーク修行時代を思わせるストリングスが融合した感じで、結構面白いんですけどね。
そして6位と9位にはモータウン勢が。6位は初期モータウンの女王メリー・ウェルズの「ワン・フー・リアリー・ラブズ・ユー」、当時の彼女のヒット曲の中でも、最もドリーミーな仕上がりといえる一曲です。最近モータウンというと、どうしても映画「永遠のモータウン」に触れない訳にはいきませんが、現在上映中の渋谷の映画館ではもうすぐレイト・ショーに切り替え、ファンク・ブラザーズの来日公演も正式に決定してしまったので、ライブを盛り上げるためにも、是非とも映画を観ておきましょう。なお「永遠のモータウン」サントラの“デラックス・エディション”にはファンク・ブラザーズによる「ワン・フー・リアリー〜」のカラオケ・バージョンが収録されてるので、一聴をお薦め(詳細はミーンタイム・ホームページの「Editor's Pick」コーナーをご覧下さい)。9位はマーヴェレッツの「プレイボーイ」、モータウン勢の中ではもっともオールディーズ的な楽しみ方のできる味わい深い作品が多いと、マニアの間で密かに人気の高い彼女たち、ライバルのマーサ&ザ・ヴァンデラスはオリジナル・アルバムのCD復刻がすべて果たされたので、今度は是非とも彼女たちのCDの到着を待ちたいところです。
最後10位はレイ・チャールズ同様ナッシュヴィルで制作されたR&B、ジョー・ヘンダーソンの「スナップ・ユア・フィンガーズ」。しかしこちらはストリングスはなし、ピアノを中心としてコンボ編成プラス、ホーン・セクションといった感じで、当時非常に人気のあったR&Bシンガー、ブルック・ベントンを思わせる作風です。余計な情報かも知れませんが“カントリーの都”ナッシュヴィルで生まれたR&Bを集めたCD「Night Train To Nashville: Music City Rhythm & Blues 1945-1970」というのが先日発売されまして、なかなか味わいのある作品が多数収録されていました(勿論この曲も聴けます)。興味のある方は探し出して聴いてみてください。
(2004.6.15)
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