TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ ポピュラーシングルチャート1963年9月度

1. 太陽の下の18才/ジミー・フォンタナ(Victor)
2. ヘイ・ポーラ/ポールとポーラ(Philips)
3. 悲しき雨音/カスケーズ(Warner Bros.)
4. ミスター・ベースマン/ジョニー・シンバル(Kapp)
5. キューティ・パイ/ジョニー・ティロットソン(London)
6. アイ・ウィル・フォロー・ヒム/リトル・ペギー・マーチ(Victor)
7. 恋のバカンス/カテリーナ・ヴァレンテ(London)
8. さすらいのマーチ/ニニ・ロッソ楽団(Globe)
9. 禁じられた恋の島/エリオ・ブルーノ楽団(Victor)
10. 渚のデイト/コニー・フランシス(MGM)

 邦楽チャートでは石原裕次郎の「赤いハンカチ」がトップを独走していたこの頃、ポップス花盛りといった感のあるポピュラーチャートのナンバー1はイタリアのジミー・フォンタナ「Twist No.9」でした。この曲はカトリーヌ・スパーク主演の映画「太陽の下の18才(Diciottenni al Sole)」サントラからのカット。

 この頃は世界中でツイストブームが盛り上がっており、どの国で作られた青春映画のサントラにもツイストナンバーは収録されていました。で、この曲、作曲は現在映画音楽の巨匠として世界中で盛んにボックスセットが編纂されているエンニオ・モリコーネ。音楽的にはツイストとはいい難い曲調ですが、クールにスイングする演奏にのってツイストを踊るための9ヶ条が歌い上げられるこの雰囲気が、なんともいい感じ。以前仲間内のパーティでDJを務めた際、私はこの曲、使わせていただきました。なお同映画のサントラには同じくモリコーネ作のジャンニ・モランディが歌う「サンライト・ツイスト(Go-Kart Twist)」も収録。こちらはチープなサウンドが印象的な正調(?)“ツイスト・イタリアーノ”です。

 この月のヒットチャートには本国での活動と並行して日本語のレコーディングも盛んに行い、場合によっては本国以上に息の長い活躍を続けたアーティストが何組か登場しています。まず2位のポールとポーラ「Hey Paula」は、いわずと知れた全米ナンバー1ヒット。彼らのアメリカにおける成功は約一年間と短命でしたが、日本ではその後もポールことレイ・ヒルデブランドが二代目ポーラを伴ったり、初代ポーラ、ジル・ジャクソン(ソングライターとしても活躍しました)と来日時だけリユニオンしたりと(なんとビジネスライクな!)、暫く活躍を続けていたようです。この曲は田辺靖雄と梓みちよ(現在は彼女に代わり、奥様の九重祐三子がデュエット相手を務めています)のカバー盤もヒットしました。5位のジョニー・ティロットソンは、所属がケイデンスというマイナー・レーベルであったにも拘わらず(日本ではイギリス経由でロンドン・レーベルから発売されていました)、日本で成功を収めた稀有なシンガー。この曲や「ポエトリー(Poetry In Motion)」など非常にキャッチーな曲調と、可愛い感じのルックス(80年代後半にリック・アストリーが登場したとき、まず最初に思い浮かべたのは彼でした)が日本人にウケたのでしょう。彼はその後メジャーのMGMに移籍、本国でポップカントリー調の作品をヒットさせる傍ら、日本では「涙君さよなら」「バラが咲いた」など日本語ナンバーを吹き込み、60年代後半まで活躍しました。

 3人目は“リトル”ペギー・マーチ。フランク・プルーセルとポール・モーリアというフランスのイージーリスニング巨匠二人が共作し、当時大量のフランス語録音を残しているペトラ・クラークが歌った「Chariot」の英語版としてアメリカで3週間トップを独走したこの曲をはじめ、ペギー・マーチは本国で5曲のヒットを放っていますが、60年代半ば以降はむしろヨーロッパや日本での人気の方が高く、各国で多くの作品を残しています。69年の名曲「忘れないわ」を含む、当時の日本録音30曲が詰め込まれた興味深いCD 「日本語で歌うペギー・マーチ」が現在入手可能なので、興味のある方はご一聴を。

 3位のカスケーズ「Rhythm Of The Rain(米3位)」と4位の「Mr. Bass Man(米16位)」も日本で非常に人気の高い曲。「悲しき雨音」は現在でも梅雨どきになると必ずといっていいほどラジオから流れてきますが、この人気は日本が突出したものなのか?というとそういう訳ではなく、本国アメリカでも昨年末発表された著作権管理団体「BMI」の歴代ランキング(いずれ詳細をご紹介します)で9位に入るほどのラジオ・エアプレイを記録しているそうです。「ミスター・ベースマン」の方はR&Bグループ、コースターズのベースシンガー、ベニー・ブライトの「ボンボボン・・」というフレーズが楽しいドゥ・ワップ賛歌。シンバルはこの後本国ではマイナーヒットが続き、68年にデレク名義で発表する「Cinnamon(米11位)」までTOP40から遠ざかることになりますが、日本では続いて非常によく似た曲調の「僕のマシュマロちゃん」がヒットしました。

 7位〜9位はイタリアのアーティスト。女性シンガー、カテリーナ・ヴァレンテの「恋のバカンス」は、そう、ピーナッツのあの「恋のバカンス(邦楽チャートではこの月9位)」。宮川泰がアンドリュース・シスターズの「素敵なあなた(Bei Mir Bist Du Schoen)」からヒントを得て作ったというこの曲は、日本が誇る60年代ポップス名曲の一つ。約10年ほど前、日本がまだ景気が良かった頃に盛んに制作された(現在も作られてますけど)「洋楽アーティストが歌うJ-POP」のハシリといえるかもしれません。8位はお馴染みニニ・ロッソ、映画「前進か死か」のテーマ曲「Concerto Disperato」。彼の作品の聴きどころは勿論、誰にでも聞き覚えがあるあの高らかに鳴り響くトランペットの音色に尽きるのですが、今聴き返してみると意外にも彼のちょっと拙い感じのボーカルが妙な魅力を醸し出していることにも気づきます。初期の彼の作品にはどれもボーカルのパートがあり、その“ヘタクソがいい気になって歌っている”感じがまるで“田舎のルイ・プリマ”的雰囲気を持っていてつい耳を奪われてしまう、そんな気持ちになってしまいます。彼の作品群は時としてセンチメンタルな方向に流れ過ぎてしまうため、現在聴くとちょっとキツいかな?と感じることが多く、またデビューから数年たつと作風はすっかりパターン化されてしまい、その魅力は急速に失われてしまうのですが、彼の初期の作品が持つ“なんかヘンな感じ”、ほのかな如何わしさ、退屈寸前のベタさは、今後研究の余地があるかも。

 9位はイタリア映画「L'isola di Arturo (Arturo Island)」のテーマ曲。映画の内容について海外のデータベースを検索したところ、返ってきた粗筋は次のとおりでした。「少年の目の前に突然現れた魅力的な若い継母。父の旅行のため家族で住む島に二人きり残された義理の母子は・・・。」これは70年代に「青い〜」の邦題で盛んに日本公開されたB級青春洋画のテイスト(“テレビ東京14時台の「洋画劇場」風”というローカルな比喩で解っていただけるでしょうか・・?)を強く感じさせる映画みたいです。曲の方はアコースティック・ギターやトランペットが主旋律を繰り返すやや単調なインスト。マイナー調のメロディが当時の日本人の琴線をくすぐったのか?

 最後10位はコニー・フランシスの「Follow The Boys(米17位)」。彼女のセイラー服姿が印象的な同名映画の主題歌は、あきらかに2年前にヒットした「ボーイ・ハント」の二番煎じ(但し作曲はニール・セダカではありません)で、これは日本人が好きそうな曲調です。


(2000.9.26)

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