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■ Billboard HOT100 January 25, 1964 01 There! I've Said It Again / Bobby Vinton (Epic) 02 Louie Louie / The Kingsmen (Wand) 03 I Want To Hold Your Hand / The Beatles (Capitol) 04 Surfin' Bird / The Trashmen (Garrett) 05 Popsicles And Icicles / The Murmaids (Chattahoochee) 06 Out Of Limits / The Marketts (Warner) 07 Hey Little Cobra / The Rip Chords (Columbia) 08 Forget Him / Bobby Rydell (Cameo) 09 Um, Um, Um, Um, Um, Um / Major Lance (Okeh) 10 Drag City / Jan & Dean (Liberty) これまで日本の洋楽チャートについて毎週いろいろ調査し、ウンウン唸りなが ら書いていたことに比べれば、ここら辺の年代のビルボードチャートを紹介する のは、個人的に好きだし物凄く楽なんです。ということで年頭からちょっと遊ば せていただくことにします。 東京オリンピックが開催された昭和39年、1月のこの週HOT100の1位を記録して いたのはボビー・ヴィントンの「ブルー・ファイア」でした。 ボビー・ヴィントンは1935年生まれですからエルヴィス・プレスリーと同じ 歳。なので年代的には“R&R第一世代”に当たるのですが、彼はダンスバンドの リーダーを父に持つ家庭環境に育ったせいか、より“トラディショナル”なキャ リアを選びました。なにしろ高校生の時からビッグバンドのリーダーを務めてい たといいますから、その筋金入りぶりは只者でない。しかし時は既に60年代、若 手ビッグバンドに市場ニーズはそうない。ということで彼はバラードシンガーと して独立することになりました。 1962年の「Roses Are Red (My Love)(米1位)」で首尾よくヒットを記録した 彼でしたが、そのキャリアが本格的に軌道に乗ったのは翌63年から。この年若き 日のバート・バカラックが提供した「 Blue On Blue(米3位)」が大ヒット、続 くR&Bソングのカバー「Blue Velvet」がナンバー1を記録するに至り彼はトップ アーティストの仲間入りを果たします。 と、ここまでが彼の1963年迄の略歴。1945年にバラードシンガー、ヴォーン・ モンローがナンバー1を記録した(59年にはサム・クックがヒットチャートの81 位にランクインさせてもいます)この「There! 〜」のカバーは再び1位となり、 1964年は“ボビー・ヴィントンの時代”となるのか?と一瞬思われたのですが、 そうはならなかったのは皆さんご存じのとおり。ただ、彼に限っていえば、70年 代半ばまで、コンスタントにヒットを放ち続ける人気アーティストの座を守り通 したのですが。
で、この曲の録音が凄くいい加減。演奏がドタバタしてるのはしょうがないと して、ギターソロの後の歌い出し間違いがそのままレコードに残っているし、ボ ーカルの発声がいい加減なため、その不明瞭な歌詞の中に実は卑猥な言葉が含ま れているのではないか?と大人たちが騒ぎだし、調査のため国の機関が乗り出し たなんて事態にまでなったとか。「大衆を不安に陥れるほどのいい加減さ」とい うのはちょっと凄い。それにも拘らずこの曲がロックの古典と評価されているの は「真に優れたR&Rは、思想も文学性も必要としない」ことの好サンプルである からなのでしょう。
10位はこの路線の一番人気、ジャンとディーン。ボーカルミュージックとして のサーフィン、そしてホット・ロッドの隆盛は、勿論ビーチ・ボーイズの成功に 因るところもあるのですが、何より彼らの「Surf City」のナンバー1ヒットが大 きかったように思われます。勿論ビーチ・ボーイズはこの時期あたりからこの2 人を上回るペースでヒット曲を量産し続け、一気にその差を広げていくのです が。
8位、こちらは典型的な男性アイドル、ボビー・ライデル。フィラデルフィア から登場し、60年代前半に同タイプのシンガーの誰よりも多くのヒット曲を生ん だ彼でしたが、この曲を最後に彼自身が“Froget Him”されてしまい、以降 TOP40に返り咲くことはありませんでした。 彼は確かに個性の強い歌手ではありませんが、逆に一旦はまるとこれが凄く中 毒性がありまして、当時ポップスを聴いていた世代でボビー・ライデルが大好き という人は、私が知っているだけでも結構います(世代は違いますが、私もそう です)。オールディーズの世界は奥が深い。残念ながら当時彼が所属していたカ メオ・レコードの作品は、悪名高きビジネスマン、アラン・クラインが権利を押 さえてしまっているため現在オフィシャルなCDで聴くことは出来ませんが、つい 先日同様に出し惜しみしていたサム・クック作品のCD化が実現したので、こちら もいずれ出してくれるだろう、と気長に待つことにしています。
と、いうことで様々な動きが見られる1964年1月。しかしこの週3位の「抱きし めたい」が翌週1位となり、その後約3ヶ月に亘ってビートルズがヒットチャート のトップを独占し続けると、音楽シーンはそれまでとは随分違ったものになって しまいます。そこら辺の話は来週できるはず。それではまた。
(2002.1.22)
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