TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 July 25, 1964
01 Rag Doll - The 4 Seasons (Philips)
02 A Hard Day's Night - The Beatles (Capitol)
03 I Get Around - The Beach Boys (Capitol)
04 Memphis - Johnny Rivers (Imperial)
05 The Girl From Ipanema - Getz/Gilberto (Verve)
06 The Little Old Lady (From Pasadena) - Jan & Dean (Leberty)
07 Can't You See That She's Mine - The Dave Clark Five (Epic)
08 Dang Me - Roger Miller (Smash)
09 Wishin' And Hopin' - Dusty Springfield (Philips)
10 Keep On Pushing - The Impressions (ABC-Paramount)
昭和39年7月第4週、ビルボード誌シングル・チャートのナンバー1は、フォー・シーズンズの「悲しきラグ・ドール」でした。
今回は素晴らしいチャートですね。フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの歴史は長く、1950年代まで遡りますが、その彼らが“フォー・シーズンズ”名義でヒットチャートに登場したのは1962年のこと。R&Bレーベル「ヴィージェイ」からリリースされた「Sherry」はドゥ・ワップの強い影響下にありながら、その枠に収まりきらないヴァリの鋭いファルセットと、プロデューサー/ソングライターのボブ・クルーが得意とするラテン・リズムが見事にはまってヒットチャートのトップに立ちます。続いて「Big Girls Don't Cry(恋のやせがまん)」「Walk Like A Man(恋のハリキリ・ボーイ)」と立て続けにナンバー1ヒットを記録しますが、マイナー・レーベルではよくある話で彼らはこれら大ヒットにもかかわらず彼らは期待したような収入を得ることが出来ず、64年にメジャーのフィリップスに移籍。そこから発表した3枚目のシングルがこの「〜ラグ・ドール」でした。
フィリップスに移った彼らはレコーディング予算の大幅アップを勝ち獲ったのか、ヴィージェイ時代に比べて大がかりなサウンドを志向するようになっており、この曲でもロネッツの「Be My Baby」を思わせるようなドラムのイントロで始まる“疑似スペクター・サウンド”を聴かせていて、見事なキャリア・アップを果たした形となっています。なお「ラグ・ドール」というのはボロをまとったような貧しい身なりの女の子のことを表していて、その彼女に♪I Love You Just The Way You Are...(そのままの君が好きだよ)と歌い上げるフレーズは、それから10数年後“筋金入りのフォー・シーズンズファン”ビリー・ジョエルによって、その名も「Just The Way You Are(『素顔のままで』77年米3位)」として蘇ることになります。
さて、1964年といえば“ブリティッシュ・インヴェージョン”の年。その筆頭であるビートルズをはじめとしたイギリス勢を紹介してみましょう。2位の「ビートルズがやって来るヤア!ヤア!ヤア!」は、説明の必要もない彼ら初の主演映画主題歌。この年に入ってアメリカで畳掛けるようにヒット曲が生まれ、それに追い討ちをかけるように主演映画が公開されるというのは、制作側はそこまで意図してはいなかったのかも知れませんが、タイミングとして完璧だったのではないかと思われます。実際この映画をきっかけに楽器を手にしたというミュージシャンは多く、やはり映像の威力は大変なものがあるということなのでしょう。そして7位にはこの年のビートルズにとって最大のライバルだったデイヴ・クラーク・ファイヴの「カッコいい二人」、これはメンバーのデイヴ・クラークとマイク・スミスのペンによるストレートなR&Rナンバーで、グループのトレード・マークであるドラム・サウンドが派手にフィーチャーされていました。
ちょっと飛んで9位にはダスティ・スプリングフィールドの「ウィッシン・アンド・ホーピン」。この曲はディオンヌ・ワーウィック1962年のデビュー・アルバムに収録されていたバカラック・ナンバーで、彼女はこの後も多くのバカラック作品を取り上げていくこととなります。
対するアメリカ勢はフォ−・シ−ズンズに続いて3位にビーチ・ボーイズの「アイ・ゲット・アラウンド」。リーダーのブライアン・ウィルソンは“ライバル”ビートルズの登場に相当燃えたクチで、次々と名作ポップスを連発。この64〜65年が彼の創作性のピークとするポップス・ファンも多い(「Pet Sounds」はトゥー・マッチ)のも理解できます。彼はこの3年後アルバム「Smile」制作を機に長い長い“旅”に出てしまうのですが、そこから生還し、30年以上たってその「Smile」に決着をつけようなんてツアーに出ることを誰が予想したでしょうか?来日公演が楽しみですね。で、数曲おいて6位にはビーチ・ボーイズとともにこの時期サーフィン/ホットロッドで大いに売っていたジャン&ディーンの「パサディナのおばあちゃん」が。ホットロッド(車をテーマにした歌)を転化させて車をぶっ飛ばすおばあちゃんをテーマにヒット曲を作ってしまうというセンスには脱帽です。メンバーのジャン・ベリーは66年に自動車事故で瀕死の重傷を負い、その後数十年に亘って重度の後遺症を抱え、今年の3月に亡くなりました。カー・ソングでヒットを飛ばしたアーティストにとっては、大変皮肉な後半生でした。
4位にはアメリカのロックンローラー、ジョニ−・リヴァ−スが登場。イギリス勢がアメリカのヒットチャートを征服した際、50年代のR&Rを逆輸入する形で再認識させたという功績があり、これによってチャック・ベリーがヒットチャートに復活したりしましたが、アメリカ人アーティストではこのジョニー・リヴァースも「メンフィス」そして「メイベリン(64年米12位)」とチャック・ベリーナンバーを立て続けにヒットさせ、彼の再評価に一役買いました。
残り3曲には各々特徴が。パサディナからおばあちゃんがやって来たと思ったら、5位にはイパネマから娘がやって来ています。スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの共演アルバムはこの時期約2年間に亘ってアルバムチャートに登場し続け、この年のグラミー賞最優秀アルバムに選ばれる大ヒット作となりましたが、そこからシングルカットされたのが「イパネマの娘」。しかしこのシングルではジョアンのボーカルはバッサリとカットされ、二番を歌っていた彼の妻、アストラッドの拙い歌がフィーチャーされ、この曲で彼女は一夜にしてスターとなりました。で、あれから約40年、伝説的存在となったジョアン・ジルベルトの来日公演、昨年観に行かれた方も多いことと思われますが、演奏の素晴らしさはともかく、日本人とブラジル人の時間感覚の違いを見せつけられたコンサートでしたよね。とにかく吃驚しました。10月に再び実現する来日、前回観に行かなくて悔しい思いをされた方は是非とも出かけて欲しいものです。
8位はカントリー系のシンガー/ソングライター、ロジャー・ミラーの「ダング・ミー」。ノヴェルティ系の曲を得意とした彼ですが才能はそれだけにとどまらず、後年はマーク・トゥエインの「トム・ソーヤーの冒険」をブロードウェイ・ミュージカル化した「ビッグ・リヴァー」を手がけたりもしています。彼はイギリスでも人気が高く、65年に発表した「King Of The Road(米4位)」は並みいる強敵を押さえて全英ナンバー1を記録しました。最後10位はカーティス・メイフィールド率いるR&Bグループ、インプレッションズの「キープ・オン・プッシング」。3人組なのにファルセットが2人いるという珍しい編成の彼らは、この時代に社会的意識の高いメッセージソングを次々とポップチャートに送り込んだ希有な存在でした。
(2003.7.27)
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