TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 January 30, 1965
01 Downtown / Petula Clark (Warner)
02 You've Lost That Lovin' Feelin' / The Righteous Brothers (Philles)
03 The Name Game / Shirley Ellis (Congress)
04 Love Potion Number Nine / The Searchers (Kapp)
05 Hold What You've Got / Joe Tex (Dial)
06 How Sweet It Is To Be Loved By You / Marvin Gaye (Tamla)
07 This Diamond Ring / Gary Lewis & The Playboys (Liberty)
08 Come See About Me / The Supremes (Motown)
09 Keep Searchin' / Del Shannon (Amy)
10 All Day And All Of The Night / The Kinks (Reprise)
昭和40年1月最終週、ヒットチャートの1位を記録していたのはペトゥラ・クラ
ークの「恋のダウンタウン」でした。
先週紹介した1964年のチャートは、ビートルズが天下を獲る直前のものでした
が、その後1年に亘って猛威をふるった“イギリス勢の来襲”は幾多のビートバ
ンドばかりでなく、様々なタイプのイギリスのアーティストをアメリカに紹介す
る結果となりました。
例えば“イギリスのエルヴィス”クリフ・リチャードもこの時期「It's All
In The Game(64年米25位)」で59年の「Living Doll」以来のTOP40入りを果た
しましたし、“イギリスのシナトラ”マット・モンローというどう考えても場違
いな人までもが「Walk Away(64年米23位)」でヒットチャート上位に進出。ま
たスタイルはビートバンドでしたが、その音楽性は20世紀前半イギリスのミュー
ジック・ホールスタイルというヘンな人、イアン・ホイットコムなんてのまでア
メリカでヒットを記録しました。そういえば彼、数年前に映画「タイタニック」
が大当たりした時“「タイタニック」の頃流行っていた音楽集”という“新作”
を発表していました。しぶとい。。
で、そんな中アメリカに紹介されたのがペトゥラ・クラーク。「Downtown」は
ティーン・ポップとしてほぼ完璧な出来の作品なので意外な感じがありますが、
彼女は当時既に30歳を過ぎていたベテラン。レコードデビューはエルヴィスより
早い(!)。彼女はソングライター/プロデューサーのトニー・ハッチとコンビ
を組み、この後アメリカでも次々とヒットを生み出していくばかりでなく、ヴォ
ーグスの「You're The One(65年米4位)」やクリス・モンテスの「Call Me(66
年米22位)」など後のヒットの“種”となる録音を次々と残していくこととなり
ます。
今回のチャートに登場しているブリティッシュ勢(4位、10位)を一緒に紹介
しておくことにしましょう。4位のサーチャーズはやはりトニー・ハッチが世に
送り出したビートバンド。しかし彼は「Sugar And Spice(63年英2位)」を変名
で提供した以外は彼らへ曲提供はせず、バンドは他のアーティストのカバー作品
を次々と発表しました。多くのロックバンドはビートルズに倣い、次第に自作曲
(若しくはプロの作曲家による新曲)比率を上げていったのですが、カバーに固
執したサーチャーズは比較的短期間でヒットチャートから姿を消すことになりま
す。しかし残された作品はどれも非常にセンスがよく、耳に心地よいものが沢
山。実際私は「一番好きなブリティッシュグループは?」と訊かれたら迷うこと
なく彼らの名前を挙げるのですが、そこらへんの話は長くなるのでやめときま
す。10位はロック史的にはサーチャーズより遥かに重要な存在のキンクス。
「You Really Got Me(64年米7位)」に続いてこの曲でも、他のバンドとは一味
違ったサウンドを聴かせていました。
アメリカのヒットチャートに大攻勢をかけたイギリス勢。それに対し当初は劣
勢だったアメリカのアーティストたちも、65年に入ると徐々に反撃を始めます
(この週2、7、9位)。2位のライチャス・ブラザーズ「ふられた気持ち」は、プ
ロデューサーであるフィル・スペクターの最高傑作との声もある名曲。以前書い
たことがありましたが、バリー・マンとシンシア・ワイル夫妻が書いたこの曲
は、その後様々なアーティストに取り上げられ、数年前に著作権管理機関BMIが
「20世紀でもッとも電波にのった曲」に認定するほどのスタンダードとなりまし
た。
フィル・スペクターが自身のレーベルを軌道に乗せ、ヒット曲を連発し始めた
のは1962年のこと。その後この時点までトッププロデューサーの地位を守り続
け、彼自身「ビートルズ何するものぞ」の意気があったのではないかと思われま
すが、この頃から彼の気まぐれな性格が裏目に出始めることになります。“青い
眼のソウル・ブラザー”ライチャス・ブラザーズがこの年の夏発表したシングル
は、自信作のオリジナル「Hang On You(米47位)」でしたが、ラジオ局はこち
らではなくB面に収録されていたカバー「Unchained Melody(米4位)」を盛んに
かけてヒットチャートにランクインさせました。ご存知のとおりこの曲は90年代
にリバイバルする大スタンダードとなったので、当時のDJたちの耳が確かだった
ということなのですが、これを愉快に思わなかったスペクターは彼らに対する熱
意が削がれ、続くシングルもスタンダードのカバー「Ebb Tide(米5位)」を発
表。翌年には彼らをそれまでに録音した作品の権利ともどもヴァーヴ・レコード
に売り飛ばしてしまいました。
なおも自分の可能性を信じていたスペクターは、続いてこれまで以上の思い入
れでアイク&ティナ・ターナーの「River Deep-Mountain High」を制作しました
が、ラジオ局はこれをボイコット(66年米88位)。完全にやる気を無くした彼は
レーベルをたたんで暫く休業。60年代末に第一線に返り咲いたのは、皮肉にも
“ビートルズのプロデューサー”としてでした。
7位はいち早く“ビートルズ以降のアメリカのポップス”を打ち出したゲイリ
ー・ルイスとプレイボーイズ「恋のダイアモンド・リング」。ゲイリーはコメデ
ィアン、ジェリー・ルイスの息子という「2世タレント」でしたが、バンドスタ
イルでデビューし、プロが作ったこの曲(作曲はアル・クーパー、アレンジはレ
オン・ラッセル)で大ヒットを飛ばしました。ある意味後のモンキーズなど“バ
ブルガム”と呼ばれるアーティストのプロトタイプといった感じ。彼らはその後
も名曲揃いの連続TOP10ヒットを約2年間に亘って発表していきます。9位のデ
ル・シャノンは60年代前半から活躍するシンガーソングライターですが、ビート
ルズの時代になっても人気は衰えず、逆にこの年はイギリスのピーター&ゴード
ンに「I Go To Pieces(米9位)」を提供するなど、すっかりイギリス勢を取り
込む活躍を見せました。彼はこの頃から本国よりイギリスで人気を博すようにな
り、60年代後半にかの地で残した録音群はソフトロックファン必聴のちょっとし
た聴き物なので、一聴をお奨め。
この年はイギリスとアメリカのポップス対決ばかりでなく、R&Bの世界でも新
しい動きが見られます。残る3、5、6、8位を紹介しましょう。3位のシャーリ
ー・エリスはニューヨーク出身の女性シンガー。前年「The Nitty Gritty(米8
位)」を大ヒットさせ、この曲も好成績を収めます。これはシェリー、トニー、
ビリー、マーシャ・・と人の名前をビートに乗せて言葉遊びをしていく楽しいナ
ンバーで、曲調は今でいうと“モッド・ソウル”といった感じでしょうか。た
だ、彼女の本領はルース・ブラウンタイプのブルース/ジャズっぽい方だったら
しく、彼女の作品集を聴いてみると意外にスタンダードナンバーが多かったりも
しますが(なにしろ彼女の旦那さんはジャズ・ミュージシャンのレイ・エリスですし)。それはそれで楽しめるんですけどね。5位のジョー・テックスは、現
在あまり省みられることのない“ソウルの巨人”。テキサス出身の彼が歌うサザ
ン・スタイルのナンバーは、どれもソウルフルで、ファンキーで、同時代のどの
R&Bアーティストにも負けないカッコよさがありますし(要チェックです)、ま
た誰にも負けないくらい多くのヒットを記録した人でもありました。いずれ彼の
地位向上企画をやることにしましょう。
最後の2曲、6位と8位はモータウン産。モータウンはこの前年シュープリーム
スの大ブレイクでヒットチャートの一角を占めるようになり、65年からはR&Bの
本流の一部となります。現在モータウン・サウンドというと8位の「Come See
About Me」的なビートの強い曲調がすぐ連想され、また人気もあるようですが、
個人的にはむしろ5位の「How Sweet It Is」のような、ゆったりとして軽くはず
むようなビートにより惹かれたりします。この「ズッタン、ズッタン・・」とい
う小節の2拍4拍にアクセントがつくリズムは、後に“ビーチ・ミュージック”と
呼ばれるようになり、現在も南北キャロライナ州で根強い人気を誇っているよう
です。
(2002.1.30)
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