TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 100 Singles: Week ending June 2, 1966
01 PAPERBACK WRITER - Beatles (Capitol)
02 STRANGERS IN THE NIGHT - Frank Sinatra (Reprise)
03 PAINT IT, BLACK - Rolling Stones (London)
04 HANKY PANKY - Tommy James & Shondells (Roulette)
05 RED RUBBER BALL - Cyrkle (Columbia)
06 YOU DON'T HAVE TO SAY YOU LOVE ME - Dusty Springfield (Philips)
07 COOL JERK - Capitols (Karen)
08 I AM A ROCK - Simon & Garfunkel (Columbia)
09 DID YOU EVER HAVE TO MAKE UP YOUR MIND? - Lovin' Spoonful (Kama Sutra)
10 SWEET TALKIN' GUY - Chiffons (Laurie)
昭和41年7月第1週、キャッシュ・ボックスチャートのナンバー1はビートルズの「ペイパーバック・ライター」でした。
前年65年末にリリースされた「We Can Work It Out(米1位)」と「Day Tripper(米5位)」のカップリング・シングルと、アルバム「Rubber Soul」のリリースをもって後に“中期”と呼ばれる時期に突入したビートルズは、その後シングル・リリースの度に作品を複雑化。シングル作品毎に作ったメンバー(主にジョンとポール、たまにジョージ)の作風がはっきりと現れるようになります。この「Day Tripper」ではポール・マッカートニーがリード・ギターと印象的なフレーズのベースの両方を担当、複雑なコーラスも絡ませて非常にユニークなR&Rを生み出しました。一方シングルのカップリングに収録されていた「Rain(米23位)」ではジョン・レノンの実験精神が全開、テープの逆回しを効果的に使用するなど、来るべき“サイケデリック”な時代のポップスを提示しました。
「ペイパーバック・ライター」は現在上映中の映画「永遠のモータウン」の中
でテンプテーションズの「My Girl(65年米1位)」と並んで“音楽史上最も印象的なギター・フレーズ”を持った曲の一つとして挙げられていましたが、今回のチャートには偶然にも「永遠のモータウン」で披露されていた曲が登場しているので、続いて紹介しましょう。7位「クール・ジャーク」のキャピトルズはデトロイト出身のR&Bグループで、ギタリストのドナルド・ストアボールが作ったこのダンスナンバーは“ノーザン・ビート”が印象的でしたが、これが実はモータウンのハウス・バンド、ファンク・ブラザーズがレーベルに内緒で録音したアルバイトであったことが映画で明らかにされていました。映画の中ではブーツィ・コリンズが歌っていたこの曲、トッド・ラングレン73年発表のアルバム「A
Wizard, A True Star」で披露されたメドレーのバージョンも印象的でしたが、10月に決定した彼の来日公演では、この曲を聴くことはできるのでしょうか?あ、その前にお盆の時期に実現するファンク・ブラザ−ズの渋谷でのライブ、こちらで先に聴きたいものですが。
さて、ビートルズを筆頭に1964年以来アメリカのヒットチャートを荒らしまく
ったイギリスのビート・バンドたち。しかし66年に入るともはや“イギリス出身”という看板だけではヒットを放ち続けることは困難になってきており、多くのグループは全米チャートから姿を消していくこととなりました。時代の流れに合わせ、音楽性を深化させていった一握りのグループのみが“サイケデリック”の時代に駒を進めていきますが、その時代を生き抜いたイギリスのアーティストが3位と6位に登場。3位ローリング・ストーンズの「黒くぬれ」はひたすら不機嫌さを歌にし続けた彼らが、カラフルな“サイケデリック”の風潮に早くも「そんなもの黒く塗りつぶしてしまえ!」とアンチテーゼを投げかけている曲。ブライアン・ジョーンズによるシタールの音色が非常に印象的で、以降68年頃までシタールはヒット・ポップスに欠かせない要素の一つとなります。
6位ダスティ・スプリングフィールドの「この胸のときめきを」はイタリア産
のカンツォーネ。彼女は非常に器用なシンガーで、いにしえの“ゴールデン・ポップス”から最新のR&Bサウンドまで何でもござれの録音を残していますが、彼女の制作スタッフの一人として作品を提供していたのが兄のトム・スプリングフィールド。彼が手がけたポップ・フォークグループ、シーカーズの活躍は以前このコーナーでやった60年代のUKチャートシリーズで詳しく紹介しているのでバックナンバーをご参照いただきたいと思いますが、その彼が68年に発表した唯一のソロアルバム「Sun Songs」が先日国内盤でCD化されました。これが非常にユニークなボサ・ノヴァ/ラテン・アルバムになっていまして、その手のポップスに興味のある方には是非ともご一聴を薦めたい一枚です。“本格派”を期待するとちょっとがっかりするかも知れませんが。
かつての怒濤の勢いから、方向転換の時期に入ったイギリス勢。それらに対抗
するようにヒットチャート上の勢力を広げていったのがアメリカのフォーク・ロック系アーティストでした。この週5位に入っている「レッド・ラバーボール」のサークルはペンシルヴァニア出身のポップグループで、大手のコロンビアからデビューする際にマネージメントをビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインに託し、グループ名もジョン・レノンにより命名と、随分とそちら方面の手を借りての登場となりました。この当時ホットな存在になりつつあったポール・サイモンが、64〜65年のイギリス滞在時にシーカーズのブルース・ウッドリーと共作した「レッド・ラバーボール」は非常にポップなナンバーで、この時代のポップスのマスターピース。サイモンとガーファンクルがこの曲をアルバムに収めることはありませんでしたが、90年代に入ってライブ・バージョンがCD化され、ファンを喜ばせました。
8位には当のサイモンとガ−ファンクルの「アイ・アム・ア・ロック」が。偶発的なヒットとなった「サウンド・オブ・サイレンス(米1位)」により突如“フォーク・ロックアーティスト”となった彼らは以降独自のスタンスでフォーク・ロック作品を発表。“サイケデリック”の時代にも対応して60年代後半に最も成功を収めたグループの一つに成長していきます。9位はこの時期驚異的な勢いでヒットを連発していたラヴィン・スプーンフルの「心に決めたかい」。リーダーのジョン・セバスチャンを中心としてフォーク・ロックの枠に収まり切らない幅広い“アメリカン・ミュージック”を提示した彼らに名曲は多く、彼らの殆どのアルバム(+ジョン・セバスチャンのソロ・アルバム)が現在日本盤で入手可能なので、機会があったら揃えて聴いてみていただきたいものです。この曲は彼らの人気がやや過熱状態にあった時期に発売されたシングルで、3枚のTOP10ヒットと2枚のアルバムが発表された後に何故かファースト・アルバムからシングルカットされた小品。演奏時間は2分ちょうど、短かっ!でも最高2位までいきま
した。
残り3曲を簡単に。2位はフランク・シナトラの「夜のストレンジャー」。ロック系のアーティストに占領された全米チャートで、依然気を吐いていたのがこの時期の彼。ベルト・ケンプフェルト作のこの曲に加え、やや悪ノリぎみに吹込まれた「That's Life(米4位)」、娘ナンシーとの共演「Somethin' Stupid(67年米1位、作曲はヴァン・ダイクの兄カーソン・パークス)」と“人生の秋”を過ぎて“我が世の春”を謳歌しました。4位「ハンキー・パンキー」のトミー・ジェイムスはオハイオ州出身のポップ・シンガー。この曲は元々1963年、彼が高校生だった時に吹込んだもので、3年後にピッツバーグのDJが再発見しローカル・ヒットとなったことからジェイムスは当地でションデルズを再編。これが全国的に火がついて人気グループに伸し上がりました。通常この手の偶発的なヒットは後が続かないものですが、ジェイムスはリッチー・コーデルという有能なソングライティング・パートナーを得てポップな名曲を次々と生み出し、モンキーズやバッキンガムズにひけをとらぬ当代随一のポップ・アーティストになります。
最後10位はガール・グループ、シフォンズの「スイート・トーキング・ガイ」。60年代前半に隆盛を誇った“ガール・ポップ”はビートルズの登場によってほぼヒットチャートを一掃されてしまいますが、例外的に生き残った何組かのうちの一つが彼女たち。これはトーケンズという有能なバックアップを得た賜物だと思われますが、彼女たちが残した作品に名曲は多く、私はこの前年に発表した“サイケデリック・ガール・ポップ”「Nobody Knows What's Goin' On (In My Mind But Me)(65年米49位)」など特に好きですけれども、この「スイート・トーキング・ガイ」もどことなく郷愁をそそられるメロウなナンバーで非常
にいい感じ。彼女たちのコンプリート・レコーディングスみたいなCDが出たらまっ先に買い求めたいところですが、何処か企画してくれないものでしょうか。。
(2004.7.7)
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