TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 February 17, 1968

01 Love Is Blue / Paul Mauriat (Phillips)
02 Green Tambourine / The Lemon Pipers (Buddah)
03 Spooky / Classics IV (Imperial)
04 I Wish It Would Rain / The Temptations (Gordy)
05 (Theme From) Valley Of The Dolls / Dionne Warwick (Scepter)
06 (Sittin' On) The Dock Of The Bay / Otis Redding (Volt)
07 Goin' Out Of My Head/Can't Take My Eyes Off You / The Lettermen (Capitol)
08 Nobody But Me / The Human Beinz (Capitol)
09 Judy In Disguise (With Glasses) / John Fred & His Playboy Band (Paula)
10 I Wonder What She's Doing Tonite / Tommy Boyce & Bobby Hart (A&M)

 昭和43年2月のこの週、ヒットチャートの1位を記録していたのは、なんとポ ール・モーリアの「恋はみずいろ」でした。

 ポール・モーリアについてはこれまでもこのコーナーで何度も紹介してきて いるので、細かいところは省略しましょう。この「恋はみずいろ」は、前年ヨ ーロッパのソング・コンテスト“ユーロヴィジョン”に出品された曲ですが、 モーリアのカバー盤がアメリカで大当たりし、予想外の大ヒットとなりまし た。

 この前年1967年はヒッピー/サイケデリック・ムーブメントの盛り上がりが 頂点に達し、ビートルズの「サージェント・ペパーズ」がその夏を代表するヒ ットアルバムとなったりしましたが、翌68年はそのピークを過ぎた倦怠感の (というか、パワーが余計な方向に働く)ようなものがシーンの様々な箇所に 見え隠れするようになり、その流れの一つがポール・モーリアのようなイージ ー・リスニングのヒットチャート台頭だったような気もします。但し、以前も 書いたように“ロック革命”の潮流は“革命”とは無縁なポップス全般の底上 げにも貢献してこの時期イージーリスニングの傑作が多数生まれ、それらが現 在全世界で盛んに発掘されていることを考えれば、この言い方はある一面を表 しているだけなのかも知れませんが。

 ポール・モーリアがアメリカのヒットチャートで活躍した時期はほんの2〜3 年で終わりましたが、その後日本で全盛期を迎えたのは以前紹介したとおり。 現在なお、10代の少年少女までもが「チャラララララ〜ン♪」と「オリーブの 首飾り」を口ずさみながら手品のマネをする光景が見られる訳ですから、彼の 我が国における浸透ぶりには驚嘆させられるばかり。また「恋はみずいろ」の 方も、我が国ではオリジナルのヴィッキーのバージョンもよく聴かれたようで すし、日本語カバーも生まれました。アメリカでもカバーが色々と作られまし たが、私がお薦めしたいのはR&Bグループ、デルズが「I Can Sing A Rainbow」という曲とメドレーで発表したもの(69年米22位)。ここでは「〜 みずいろ」の“絶叫バージョン”が楽しめます。

 もう一曲、イージー・リスニングものをご紹介。ソフトなコーラスが売り 物、この週7位のレターメンのこの曲は、リトル・アンソニーとインペリアル ズの「アウト・オブ・マイ・ヘッド」とフランキ・ヴァリの「君の瞳に恋して る」をメドレーにしたもの。この時期何故かやたらとヒット曲のメドレー盤が 作られましたが(デルズもそうでしたね)その流行の発端は彼らだったのか も。このバージョンを手始めに「君の瞳〜」は30年以上に亘ってカバーされ続 け、現在も80年代の他愛無いポップスをマニアックに蘇らせることに非凡なセ ンスを発揮する、日本のTommy february6のバージョンがTVで流れています。

 さて、この時期“倦怠感”の現れの、もう一つの例を挙げてみましょう。こ の時期ドラッグの影響か奇妙な曲がヒットチャートに多く登場し、またそうい う曲はラジオでも大変ウケたらしく、ヒットチャートのトップに立つものも幾 つかありました。前年の後半にはストロベリー・アラーム・クロックという如 何にもな名前のバンドが「Incense And Peppermints」という語呂のよさだけ で決めたようなタイトルの曲をナンバー1ヒットにしましたし、その後ナンバ ー1となったビートルズの「Hello Googbye」も考えてみるとなんか変な歌詞 (B面の「I Am The Walrus(僕はセイウチ)」はなおさら)・・とそんな“変 な”時期にやはり生まれたナンバー1ヒットがこの週2位と9位の2曲。

 2位のレモン・パイパーズは前年のブルース・マグースに代表される“商業 サイケ”の一つとして売り出されたのでしょう。しかしこの曲を制作したジェ リー・カセネッツとジェフ・カッツの「スーパーK」コンビがその後、1910フ ルーツガム・カンパニーやオハイオ・エクスプレスといった“バブルガム・ミ ュージック”を量産して一世を風靡したため、ちょっと毛色の違った彼らも現 在はその流れの中で捉えられています。・・それはそれでいいのか。単体で評 価されるようなバンドでもないし。

 9位のジョン・フレッドとプレイボーイ・バンドは南部出身のロックバン ド。「グリーン・タンブリン」同様「サージェント・ペパーズ〜」的なストリ ングスが印象的なこの「ジュディのごまかし」はそもそもビートルズの「Lucy In The Sky With Diamonds」の“In The Sky”を“In Disguise”と聴き間違 えたという“ソラミミ”なところから発想を得たといういい加減なものでした が、奇妙でポップなサウンドが受け入れられました。この曲の印象が強い(と いうか多くの人はこの曲しか聴いたことがない)ため彼らのCDは現在“バブル ガム”のコーナーに置かれていることが多いのですが、アルバムを聴いてみた らこれがかなり立派なブルースロックでビックリ。流石名門ブルースレーベル 「ポーラ」から作品を発表しているだけあります。その手がお好きな方はご一 聴を。

 残りの曲を順にいきましょう。3位のクラシックス・フォーも南部出身のグ ループ。この「スプーキー」ではちょっと骨のあるロックサウンドを聴かせて いますが、その後彼らはボーカルのデニス・ヨーストを中心にメロウな方向へ 向かい、現在は“ソフトロックの古典”の評価を得ています。なおバンドメン バーの何人かはその後アトランタ・リズム・セクションを結成することになり ますが、それではこの「スプーキー」がリメイクされ、79年に最高17位を記録 します。

 4位はテンプテーションズの「雨に願いを」。曲り角に差しかかっていたモ ータウン・サウンドはこの時期様々な実験作を生み出していましたが、テンプ テーションズも例外ではありませんでした。このしっとりとしたバラードを大 ヒットさせた後、彼らはプロデューサー、ノーマン・ホイットフィールドの下 “サイケデリック・ソウル”路線を邁進、この年後半の「Cloud Nine」のナン バー1ヒットを皮切りに新たなる黄金時代を築いていくこととなります。5位の ディオンヌ・ワーウィックは、ロック、ソウルともに変革期にあったこの時期 に“穏健派”として多くのバカラック作品をヒットチャートに送り込みまし た。この曲は珍しくバカラック作ではありませんが、皮肉にも彼女にとってこ の時点最大のヒット(最高2位)となったのでした。余談ですが「Valley 〜」 が主題歌に採用された同名映画に主演していたのは、ヒッピー幻想に終止符を 打ったチャールズ・マンソンによる惨殺事件(69年8月)の犠牲となった女 優、シャロン・テート。

 6位はオーティス・レディングの「ドック・オヴ・ザ・ベイ」。60年代後半 を象徴する存在のR&Bアーティストだった彼でしたが、前年の12月に飛行機事 故で死亡。その3日前に録音されたこの曲は彼にとって最初で最後のナンバー1 ヒットになりました。8位のヒューマン・ビーンズ「ノー・ノー・ノー」はこ の時期を代表する一発ヒット。この曲をはじめ60年代半ば〜後半はどういう訳 かアイズリー・ブラザーズの初期のレパートリーが様々なアーティストに盛ん に取り上げられ、そのもっとも有名なものがビートルズの「Twist And Shout (64年米2位)」ですが、他にもルルの「Shout(64年英7位)」、アウトサイ ダーズの「Respectable(66年米15位)」など、当時の彼らが「Twist And Shout(62年米17位)」しかTOP40入りさせることが出来なかったことを考える と、かなりの確率でカバーがヒットに結びついていました。

 最後10位はソングライターコンビ、ボイス&ハートの「あの娘は今夜」。彼 らはモンキーズのメインライターとして多くの名曲を生んでいた2人で、アー ティストとしてもそこそこの成功を収めました。この曲は中でも最大のヒット を記録したもので、端切れのよいアコースティックギターが印象的。いい曲書 くんですけどねぇ。アルバムになると訳のわからない“アーティスティック” な方向に奔っちゃって、作品の価値を下げるんですよねー。この時期だから仕 方がないか。

(2002.2.20)

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