TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Billboard HOT100 March 15, 1969

01 Dizzy / Tommy Roe (ABC)
02 Proud Mary / Creedence Clearwater Revival (Fantasy)
03 Everyday People / Sly & The Family Stone (Epic)
04 Build Me Up Buttercup / The Foundations (Uni)
05 Traces / Classics IV feat. Dennis Yost (Imperial)
06 Crimson And Clover / Tommy James & The Shondells (Roulette)
07 This Girl's In Love With You / Dionne Warwick (Scepter)
08 Indian Giver / 1910 Fruitgum Co. (Buddah)
09 Time Of The Season / The Zombies (Date)
10 This Magic Moment / Jay & The Americans (United Artists)

 昭和44年3月第3週のチャートでナンバー1を記録していたのは、トミー・ロ ウの「ディジー」でした。

 1969年というと「ウッドストック」の年。“社会派”のロックだとか、いろ んなスタイルの音楽が登場してシーンを賑わせていた・・という印象があるの ですが、このチャートを見ると意外なくらいポップな曲が大勢を占めています ね。当時“トレンディ”だったロックというと、2位と3位、あと少々苦しいけ ど6位と9位・・くらいですかね。そこら辺の紹介からはじめましょう。

 2位のC.C.R.「プラウド・メアリー」は、彼らが実質的にブレイクを果たし た大ヒット。ロック史上有数の大スタンダードともいえるこの曲でしたが、残 念ながらナンバー1は獲得できず。しかも負けた相手がトミー・ロウですか ら、これは悔いが残るところ(?)。彼らはその後約1年半の間に最高2位を都 合5回(!)、更に3位と4位を1回ずつと、驚異的なペースで大ヒットを量産し ましたが、結局1位はとれずじまい。よほど当時ビルボードのチャート編集者 に嫌われていたのでしょうか?

 続く3位はスライ&ファミリー・ストーンの「エブリデイ・ピープル」。こ ちらは見事ナンバー1を獲得しましたが、この当時の彼の音楽はまだ“ファン キー”というよりは非常に“ロックっぽいソウル”という印象が強いような気 がします。人種融合を楽天的に歌うこの曲は“ウッドストックの季節”の気分 に非常にマッチしたでしょうし、実際この年の夏に開催された「ウッドストッ ク」では、より狂躁的な「I Want To Take You Higher(69年米60位。ウッド ストックの記録映画が上映された翌70年に再ヒットし、最高38位を記録)」で 会場を大いに沸かせました。

 しかし、翌年の「Thank You Falettinme Be Mice Elf Again(米1位)」あ たりからその作風はシニカルなものとなり、皮肉にもそこからスライ流のファ ンクは、麻薬的魅力をたたえるようになるのでした。。

 余談ですが、1960年代我が国で洋楽アーティスト名に“&”が入る場合は、 “と”と表記するのが一般的だったようですが、この頃から“&”は“&” または“アンド”と表記されるようになります。当時を知る方によれば、CBS ソニーがコロンビア系の音源を扱い始めた1968年に“サイモンとガーファンク ル”が“サイモン&ガーファンクル”に表記替えになったあたりがはしりでは ないか?とのこと。確かにスライもCBSソニーから出ていますし“ブラッド、 スウェットとティアーズ”なんて表記は、少なくとも私は見たことがありませ ん。一方でレコード会社によっては相変わらず“と”表記を使い続けるところ もあり、この年も“ゼーガーとエヴァンス”なんて大ヒットを生んだデュオが いましたし、全米ヒットではありませんが“ヘドバとダビデ”なんてアーティ ストもいましたよね。

 まったく意味のない話になりましたが、次に紹介するのは6位のトミー・ジ ェイムス“と”ションデルス。彼らは1966年に「Hanky Panky(米1位)」の偶 発的な大ヒットにより世に紹介された“一発屋系”バンドでしたが、その後プ ロダクション・チームに恵まれてポップなヒット曲を連発。この時代有数のヒ ットメーカーに成長しました。この頃になるとジェイムスはアーティストとし ての創作意欲に溢れた独自の世界を築こうとアプローチを始め、その成果がこ の「クリムソン“と”クローバー」。この時期のサイケデリックな雰囲気をよ く伝えた名曲です。

 標準以上の才能を持ちあわせていたジェイムスは、この曲と同名のアルバム と、続くコンセプチュアルな「Cellophane Symphony」、そこから生まれた 「Crystal Blue Persuasion(米2位)」と68〜69年にかけて意欲作を連発。現 在それらが“ロック名盤”として語られる機会はありませんが、一聴の価値は あるものばかりです。70年代以降彼はソロアーティストとして活動しました が、この時期を超える成功を収めることはありませんでした。

 そして9位は、どういう訳か先日ロッド・アージェントとコリン・ブランス トーンの“初来日”が実現してしまったゾンビーズ「ふたりのシーズン」。 1964年にデビューし、ビートルズを筆頭とするブリティッシュ勢の中で、飛び 抜けてクールなサウンドを奏でていた彼らは「She's Not There(64年米 2位)」や「Tell Her No(65年米6位)」といったヒット曲を生みましたが、 その後は鳴かず飛ばず。現在は60年代屈指の名盤とされているラストアルバム 「Odessey & Oracle」を完成させた67年には、ボーカルのブランストーンなど は真剣にサラリーマンへの転職を考えてバンド脱退を決意していたそうなので すが、皮肉にもそれから1年以上たってこの曲がアメリカで大ヒット。彼らに は“再結成”ツアーのオファーも舞い込みましたが、ロッド・アージェントが 既に次のプロジェクト“アージェント”をスタートさせていたことから、それ は実現しませんでした。ただ、ブランストーンとアージェントのコラボレーシ ョンはその後30年以上に亘って続いており、前述の“吉祥寺の夜”につながっ ていくことになります。

 さて。残る6曲は滅茶苦茶ポップ。遅くなりましたが1位のトミー・ロウか ら。彼は1962年にバディ・ホリーに強く影響された「Sheila(米1位)」でシ ーンに登場したロックシンガー。1964年のブリティッシュ・ブーム時にその活 動は停滞しましたが、1966年に後の“バブルガム・ロック”の先駆的作品と見 なされているポップな「Sweet Pea(米8位)」で復活。以降バブルガム路線を 邁進し、その最大のヒットとなったのがこの「ディジー」。当時ダンヒル・レ コードでグラス・ルーツなどを成功させていたP.F.スローンとスティーヴ・バ リのコンビによるこの作品は、トミー・ロウが当時既に30近いオッサンである ことを忘れさせるキャッチーな佳曲でした。

 4位はイギリスの多国籍バンド、ファウンデーションズ「恋の乾草」。弾む ようなR&Bビートが楽しいこの曲を作ったのは、近年一部で崇拝に近い再評価 がなされているトニー・マコウレイ。これは文句なしに名曲です。5位はこれ また“ソフトロック”なクラシックス・フォー「トレーセス(恋の足あと)」 彼らはCD時代に入ってから、まともなベスト盤が発売されない代表的なアーテ ィストの一つでしたが、噂で近日中にオーストラリアでキャリア全般を総括す る決定版ベストが、遅れてアメリカでインペリアル時代に焦点を絞ったCDが発 売されるらしいとの情報を得ました。一体どんな作品群を耳にすることができ るのでしょう?今から楽しみです。

 7位はディオンヌ・ワーウィックの「ディス・ガール」。これは前年ナンバ ー1を記録したハーブ・アルパートの「This Guy's In Love With You」の性別 ひっくり返しカバー。アメリカのポップスを聴いていると、この手って結構あ るのですが、単純にHeとSheを取り替えただけでは、歌の世界が変にならない んですかね?男が女の歌を歌い、女が男の歌を歌うことに特に抵抗を感じない (演歌の世界にそれは顕著)日本では、かえって違和感を覚えますよね。続く 8位は“本家バブルガム”1910フルーツガム・カンパニーの「インディアン・ ギヴァー」。この時期どういう訳かカウシルズの「Indian Lake(68年米10 位)」とか、ドン・ファードンの「(The Lament Of The Cherokee) Indian Reservation(68年米20位)」とか、あとエレクトリック・インディアンの 「Keem-O-Sabe(69年米16位)」なんてのがあったりと、変に“インディアン 流行り”なんですよね。これも時代の気分なのでしょうか?

 最後10位はジェイとアメリカンズの「ディス・マジック・モーメント」。 1960年代後半はサイケデリック・ムーブメントが盛り上がる一方で、かつての 古き佳きR&Rが見直される風潮があり、多くのリバイバルヒットが生まれた時 期でもありました。中でも成功を収めたのが何週間か前このコーナーにも登場 したヴォーグスで、グレン・キャンベル初期のマイナーヒット「Turn Around, Look At Me(61年米62位)」を蘇らせたり(68年米7位)、ボビー・ヘルムズ の「My Special Angel(57年米7位)」を再びTOP10に送り込んだり(68年米7 位)しました。

 この流れに他のグループが追従しないはずがなく、前回登場したレターメン もR&Rクラシックをメドレー化して成功しましたし、トーケンズもスティー ブ・ローレンスの「Portrait Of My Love(61年米9位)」を取り上げるばかり でなく(67年36位)、弟分としてハプニングスをデビューさせて、懐かしのポ ップスを現代的にアレンジした作品を次々と発表しました。ボーカルグループ として最大の成功を収めていたフォー・シーズンズでさえも、シュレルズの 「Will You Love Me Tomorrow(60年米1位)」をカバーしたくらいですから (68年24位)、この風潮が如何に影響力を持っていたかが窺い知れます。

 と、なると、同じくボーカルグループであるジェイとアメリカンズもそれに 同調しない訳にいかない。彼らがこの時期に発表した2枚のアルバム「Sands And Time」と「Wax Museum」は全編がオールディーズのカバーという企画物。 これが好評を博し、ドリフターズのリメイク「This 〜」は、彼らにとって 久々の大ヒットとなりました。

 ここでもう一つ余談。アメリカンズのメンバーだったケニー・ヴァンスは、 現在ニューヨークでドゥー・ワップグループ、プラノトーンズを率いて活 躍中のようですが、彼が音楽監督を務め、そのタイトルに一部の音楽ファンに 愛され続けている彼の名曲「Lookin' For An Echo」が冠された映画が「奇跡 の歌」のタイトルで4月に東京で公開されるようです。オールディーズ好きの 方は必見、と早くも前評判の高いこの作品、単館上映ですので上映日程をしっ かり確認してお出かけください。


(2002.3.13)

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