TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ 洋楽ラジオ・チャート1969年間(その2)

11.悲しき天使/メリー・ホプキン
12.ジェラルディン/ブーツ・ウォーカー
13.しあわせの朝/クリフ・リチャード
13.ゲット・バック/ビートルズ
15.バッド・ムーン・ライジング/クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
15.ディス・マジック・モーメント/ジェイとアメリカンズ
17.イン・ザ・ゲットー/エルヴィス・プレスリー
18.シュガー・シュガー/アーチーズ
19.孤独の世界/P.F.スローン
20.プラウド・メアリー/クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル

11位 Those Were The Days - Mary Hopkin('68米2位/英1位)
 アップル・レコードを立ち上げたビートルズが、そこから最初にデビューさせたのがウェールズ出身のメリー・ホプキン。TVのオーディション番組を勝ち抜いた彼女をポール・マッカートニーに推薦したのはモデルのツィギーで、その素朴な雰囲気に成功を見たマッカートニーは彼女をロンドンに呼び寄せ「悲しき天使」を録音。この曲はロシア民謡「Darogoi Dlimmoyo」を元にしたフォーク・ソングでアメリカのジーン・ラスキンが62年に英語詞をつけ、彼が1966年にロンドンのクラブで披露したその場にマッカートニーが居合わせたことがカバーのきっかけとなっている。同時に発売されたビートルズの「ヘイ・ジュード」を蹴落とし全英ナンバー1に輝くという予想外の成功を収めたこの曲は、新しい洋楽アイドルの誕生を強烈に印象づけた。
12位 Geraldine - Boots Walker
 “ブーツ・ウォーカー”ことルー・ゼラートは1966年にナポレポン14世(!)が1966年に大ヒットさせ物議を醸した精神薄弱者の独り言「They're Coming To Take Me Away, Ha-Haaa!(狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ・・)」を更にパロディ化した「They're Here('67米77位;こちらは異星人との遭遇を歌っている)」を小ヒットさせた“一発屋”で、日本ではブーツの靴音(?)が鳴り響く「ジェラルディン」が、哀愁漂うマイナー・メロディが大いにウケて大ヒットに。この曲は我が国が誇るヘビメタ・バンド「ラウドネス」が80年代初頭にカバーしており(詞は日本語)、ファンの間では根強い人気があるらしく2004年に彼らが発表したリメイク・アルバム「Rock Shocks」でも再び録音。あのメロディはメタルでも結構イケるらしい。
13位 Early In The Morning - Cliff Richard
 「しあわせの朝」を作ったマイク・リーンダーは1960年代にはマリアンヌ・フェイスフルを、70年代にはゲイリー・グリッターを成功させたプロデューサーで、ジョージ・マーティン以外で唯一ビートルズ作品のアレンジャーを務めた(「Sgt. Pepper's」収録の「She's Leaving Home」)男としても知られている。この曲を英米でヒット('69米12位/英8位)させたのはイギリスのポップ・ロックバンド、ヴァニティ・フェア(19世紀イギリスの小説家サッカレーの「虚栄の市」から名前がとられている)だったが、日本では何故かクリフ・リチャード盤が独自にカットされ大ヒット。彼の数多いヒット曲の中でも我が国では代表的なものとして親しまれており、数年前の来日公演でもサプライズ(他国では演奏されなかった)で披露された。
13位 Get Back - The Beatles with Billy Preston('69米1位/英1位)
 67年を頂点にバンドの箍(たが)が弛んでいったビートルズは、メンバーのソロ作品の寄せ集めといっていい2枚組の通称「ホワイト・アルバム」を68年に発表、グループのまとまりのなさに危機感を覚えたポール・マッカートニーは、続くアルバムをスタジオ・ライブで制作することを提案した。しかし反目しあうメンバーたちの共同作業が上手くいくはずがなく、人間関係の緩衝材としてスタジオに連れてこられたのが、ハンブルグ時代の旧友ビリー・プレストン。当時レイ・チャールズのツアー・メンバーだったプレストンは「ゲット・バック(バンドに対するマッカートニーの願いか?)」にゴスペル・フィーリングをもたらし、その貢献の高さは彼の名がレーベルにクレジットされるという異例の待遇に表れている。
15位 Bad Moon Rising - Creedence Clearwater Revival('69米2位/英1位)
 カリフォルニア出身のバンド「ゴリウォグス」が“CCR”に省略される長たらしい名称に変えた理由は、友人の名前(実際は“Credence”だったそうだが、クレームがつけられることを避け“Creedence”とした)+オリンピア・ビールのキャッチコピー+“自己の再生”という殆ど思いつきに近いものだったようだ。「バッド・ムーン・ライジング」は彼らのサード・アルバム「Green River」からカットされたもので、そのギター・サウンドは、1950年代にエルヴィスがサン・レコードで残した録音で聴かれるスコッティ・ムーアの演奏にヒントを得たもの。寓話のような詞の世界は戦前の映画「悪魔とダニエル・ウェブスター(2001年にアンソニー・ホプキンス主演でリメイクされている)」を元にしているのだとか。
15位 This Magic Moment - Jay & The Americans('68米6位)
 1960年代後半はサイケデリック・サウンドが流行した一方でシンプルなR&Rが再評価される“R&Rリバイバル”の動きもあり、ヴォーグスやハプニングスといったグループがオールディーズの名曲を新しいサウンドで甦らせた。60年代前半に“白人版ドリフターズ”としてデビューしたジェイとアメリカンズもこの流れに乗ってカバーアルバム「Sands Of Time」を発表、シングルカットされたこの曲は“本家”ドリフターズが1960年にヒット(米16位)させたもののリメイクだった。なおグループのメンバーだったケニー・ヴァンスは現在もプラノトーンズを率いて活躍中、彼らが音楽を担当した映画「Looking For An Echo(奇跡の歌)」のサントラでは、プラノトーンズ版「This Magic Moment」を聴くことができる。
17位 In The Ghetto - Elvis Presley('69米3位/英2位)
 60年代半ば以降、すっかり時代遅れな存在となっていたエルヴィスは前年暮れのTVスペシャル(通称“カムバック・スペシャル”)の成功で再び世間の注目を浴び、ヒットチャートでも復活。これに続いて企画されたのが彼のキャリアのスタート地点であるメンフィスで10数年ぶりにレコーディングを行う「エルヴィス・イン・メンフィス」で、当時“ヒット・ファクトリー”と化していた当地の「アメリカン・レコード・スタジオ」で録音された作品群は、彼のキャリアの頂点といって差し支えない名作揃いとなった。「イン・ザ・ゲットー」は新進ソングライター、マック・デイヴィスの作品で、「カムバック・スペシャル」で披露された「If I Can Dream(『明日への願い』'68米12位/英11位)」に続く社会派ソングである。
18位 Sugar, Sugar - The Archies(69米1位/英1位)
 66〜68年にかけて大成功を収めたモンキーズは、アメリカのTV業界と音楽業界がタッグを組んで生み出した「お人形バンド」だったが、年月がたつとメンバーたちに自我が芽生え、プロデューサーのドン・カーシュナーに公然と楯突くなどコントロールが難しい状態に陥ってしまった。これに懲りたのかカーシュナーが次に送り出したグループはなんとアニメのキャラクターが結成したバンド!当然のことながら文句一つ言わない彼らはスタジオ・ミュージシャンの手により黙々と(?)ヒットを生み出した。「シュガー・シュガー」でボーカルを務めているのはセッション・シンガーのロン・ダンテで、彼はこの翌年カフ・リンクス名義で「Tracy('70米9位/英4位、洋楽年間チャート80位)」のヒットも放っている。
19位 From A Distance - P. F. Sloan('66米109位)
 60年代半ばのフォーク・ロックブーム時にスティーヴ・バリとコンビを組み、専業ソングライターとして数々のヒットを生んだP.F.(フィル・フリップ)スローンは、ボブ・ディランの作風に心酔し自らシンガーソングライター風の作品を発表。「孤独の世界」は1966年リリースで当時日本でもちょっとだけヒットしたが(年間89位)、レコードの発売元が変わり「ダンヒル・シリーズ」の一環で再発売されたこの年に大ヒットを記録した。この曲を例外に本国でも日本でもたいした実績を残すことが出来なかった彼だが「Eve Of Distruction(明日なき世界)」「Secret Agent Man(秘密諜報員)」「Where Are You When I Needed You(冷たい太陽)」といった作品は古典的名曲として、ラジオのプレイリストに残り続けている。
20位 Proud Mary - Creedence Clearwater Revival('69米2位/英8位)
 【1970年、俺とバンドは週末になるとアズベリー・パーク郊外のクラブで、1回50分の演奏を一晩に5ステージやっていた。喧嘩が起こらない日はまずないような物騒な店だったが、誰もがお気に入りのCCRの「プラウド・メアリー」が演奏される3分と7秒の間だけは店内が同志愛に満ち溢れた雰囲気になる。この曲のお陰で何度も俺たちは客から殴られそうな状況を切り抜けることができたんだ。】ブルース・スプリングスティーンの有名なスピーチ(93年)が残されているこの曲はCCRの出世作(初TOP10ヒット)であり、アメリカ中のバンドがこれを取り上げた。71年にはR&Bのアイク&ティナ・ターナーが強烈なアレンジでカバーしており(米4位、洋楽年間チャート124位)、ロック・スタンダードの仲間入りを果たしている。


(2006.2.28)

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