TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart January 11, 1969

01 Lily The Pink - The Scaffold (Columbia)
02 Build Me Up Buttercup - The Foundations (Pye)
03 Ob-La-Di-Ob-La-Da - The Marmalade (CBS)
04 Albatross - Fleetwood Mac (Blue Horizon)
05 The Urban Spaceman - The Bonzo Dog Doo Dah Band (Liberty)
06 Sabre Dance - Love Sculpture (Parlophone)
07 Ain't Got No; I Got Life/Do What You Gotta Do - Nina Simone (RCA)
08 Something's Happening - Herman's Hermits (Columbia)
09 Son Of A Preacher Man - Dusty Springfield (Philips)
10 For Once In My Life - Stevie Wonder (Tamla Motown)

 昭和44年1月第2週、UKチャートのナンバー1はスキャッフォールドの「リリー・ザ・ピンク」でした。  以前も紹介したことがありましたがスキャッフォールドは1960年代の前半にリヴァプールで結成されたトリオ。メンバーにポール・マッカートニーの実弟マイク・マクギアもいましたが彼らはビートグループではなく、主に舞台でコメディを演じるような集団だったらしく、1966年にレコードデビューを果たす前にTVのバラエティ・ショーに出演するなど、既にそれなりに顔を知られた存在だったようです。  その彼らがヒットチャートに登場するようになるのが1967年、この前取り上げた「Thank U Very Much(英4位/米69位)」からで、翌年のクリスマスシーズンにリリースされたこの「Lily 〜」は見事ナンバー1を獲得。古いラグビーの応援歌を元に作られたというこの曲(当時発売されたシングルではトラディショナルにメンバーたちがアイディアを加えたというクレジットになっています)、「ピンクの百合を口にすれば人類は安泰ぃ〜」なんてドラッグをキメてハイになったような奇妙なテンション。1968年という年は、そんな年だったのかも知れません。

 で、この変なテンションに通じる作風のヒットがもう一曲、5位のボンゾ・ドッグ・ドゥ・ダー・バンド「恋のスペースマン」。彼らもやはり当初はコメディなどを上演していたようなのですが、やがてユニークな形態のロックバンドに発展。彼ら唯一のメジャーヒットであるこの曲は、どこか気の抜けたサウンドにのって「僕宇宙人。早いよ。飛べるよ。。」というすっかり“ゴキゲン”なナンバー。1968年という年は、そういう年だったんでしょうね。1967年にフラワー・ムーブメントが峠を越し、ビートルズをはじめアーティストたちはよりシンプルなR&Rへの回帰をはじめ、60年代末アメリカでは50年代のR&Rがリバイバルしたり、なんてことがあったようなのですが、イギリスでもシンプルなR&R、そしてよりトラディショナルなスキッフルだとかそういった類いのサウンドが見直された時期だったのかも知れません。どことなく色合いの似たこの二組のメンバーの何人かはやがて合流し、1970年代に「グリムス」名義で何枚かのアルバムを発表します。

 順位を戻して2位と3位には当時ならではのイギリスのポップグループが登場しています。2位「恋の乾草(米3位)」のファウンデーションズは人種も国籍も様々なメンバーからなるポップR&Bグループ。現在は“ビーチ・ミュージックの古典”との評価も高い「〜乾草」はこの時期物凄い数のヒットを生み出していたソングライター/プロデューサーのトニー・マコウレイとマンフレッド・マンのマイク・ダボが共作したナンバー。この独特なビートはもしかしたらイギリスだからこそ生まれたものなのかも知れません。3位はビートルズ・ナンバーを忠実にカバーしたマーマレードの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」。ビートルズの通称「ホワイト・アルバム」に収録されたもののシングルカットされなかったこの人気曲は多くのカバーが生まれ、日本では当時ベッドロックス(英20位)のバージョンが人気を呼んだようですが、本国では彼らが突出して人気を博しナンバー1を記録、“UKチャートのトップに立った初のスコットランド出身グループ”の称号を得ました。マーマレードがアメリカのチャートに登場するのはそれから1年後のこと、ビージーズそっくりの作風に仕上げた「リフレクション・オブ・マイ・ライフ(万華鏡)」が最高10位を記録し、ポップスファンの記憶の片隅に残ることになります。

 4位に入っているのはブルースロック時代のフリートウッド・マック「アルバトロス」。ギタリストのピーター・グリーンが中心となっていた時期の代表曲です。話はそれますがピーター・グリーンという人はその後薬物が原因で精神を患い一時期“絶対戻って来れない人”リストの筆頭的存在だったのですが、そんな彼でも復帰を果たしましたね。時間の流れを感じます。

 続いて6位には変わり種、ラヴ・スカルプチュアの「剣の舞No.1」が。これはタイトルから推察される通りハチャトリアンの「剣の舞」をハードロック化したもの(インスト)。ラヴ・スカルプチュアは別にインストバンドではないのですが、ステージの余興として披露したこの演奏が大ウケとなりシングル発売が決定。見事大ヒットして彼らはこの曲『一発屋』として人々の記憶に残されることになります。が、実はこの曲のリードギターを弾いているのはあのデイヴ・エドモンズで、この後延々とロック史に名を残し続ける彼のキャリアの出発点ともなったのでした。彼はライブのアンコールでこの曲を演ってくれたりすることはあるんでしょうかね?7位にはジャズ・シンガー、ニーナ・シモンが。両A面として出されているこのシングルはアメリカでのヒット2曲をカップリングしたもので「エイント・ガット・ノー(米94位)」は物凄い数のカバーヒットが生まれたロック・ミュージカル「ヘアー」からの曲、一方「愛を信じて(米83位)」はジミー・ウェッブの作品で、ウェッブを見い出したジョニー・リヴァースや、彼のレーベル「Soul City」からデビューしたアル・ウィルソンが吹込んでいたもののカバーでした。結構ソウル色強し。

 残りは簡単にいきましょう。8位はUKビートブームの生き残り、ハーマンズ・ハーミッツの「恋はハプニング(米130位)」。彼らやデイヴ・クラーク・ファイヴなどはアメリカでの人気が下火になると、本国に戻ってイギリス人好みの作品を発表するようになり、70年代の声を聞くまで何とか人気アーティストとして生き長らえることに成功しました。この曲はイタリアのポップスのカバーだそうで(今回初めて知りました)、メローな雰囲気がいい感じです。一方9位のダスティ・スプリングフィールドは「アメリカ撤退組」を後目にまだまだ勝負に出ていた時期。この「プリーチャー・マン(米10位)」は彼女がメンフィスに乗り込んで制作した「Dusty In Memphis」のキー・トラックで、現在も度々サントラなどに使用される傑作です。

 最後10位はスティービー・ワンダーの「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ(米2位)」。この曲に関してはモータウンの元社長、ベリー・ゴーディの自伝に面白いことが書いてありました。モータウンに持ち込まれた「新曲」であったこの曲、ちょっとクラシック・ポップっぽい作風だったのでこの曲のために古めかしい名前の出版会社を作ってそこから歌を出し、シカゴ中のクラブシンガーにこの曲を歌うよう売り込んだのだとか。その評判が次第に業界に届くようになり、フランク・シナトラやトニー・ベネットが録音するようになった頃には誰もがこれは何十年も前に書かれたスタンダードなのだと思い込んでいたという。だから当時スティービーも「珍しくこんな歌を取り上げて。」なんてことを言われたのかも知れませんが、実はれっきとしたモータウン製の新曲だったのでした。どうでもいい話ですが。


(2004.1.13)

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