TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart February 19, 1972

01 Son Of My Father - Chicory Tip (CBS)
02 Telegram Sam - T.Rex (T.Rex)
03 Have You Seen Her? - The Chi-Lites (MCA)
04 Look Wot You Dun - Slade (Polydor)
05 Mother Of Mine - Neil Reid (Decca)
06 American Pie - Don McLean (UA)
07 I'd Like To Teach The World To Sing - The New Seekers (Polydor)
08 All I Ever Need Is You - Sonny and Cher (MCA)
09 Storm In A Tea Cup - The Fortunes (Capitol)
10 Let's Stay Together - Al Green (London)

 昭和47年2月第3週、UKチャートのナンバー1はチコリーの「恋の玉手箱(米91位)」でした。

 「恋の玉手箱」の物語は、まずジョルジオというイタリア出身のアーティスト からスタートします。1970年に日本でも「ルーキー・ルーキー」というヒットを持つ彼は、ドイツのコンポーザー2人と「Nachts Scheint Die Sonne」という作品を共作、自らドイツ語で歌いヨーロッパ各国でヒットさせました。シンセサイザーのフレーズが非常に耳に残るこの曲を英語でカバーすることを思いついたのがイギリスのロックバンド、チコリー・ティップで、シンセのフレーズもそのままにこの曲を録音しイギリスで大ヒット、UKチャート史上初めてナンバー1に輝いた“シンセ・ポップ”となりました(但しシンセを弾いていたのはバンドのメンバーではなく、エンジニアのクリス・トーマス)。

 イギリスに於けるヒットの話を聞きつけたジョルジオは、今度はチコリーの詞を逆にイタダいた英語バージョンをアメリカでリリース。チコリーもそれに追従しましたがHOT100ではジョルジオが圧勝(最高46位)、チコリーは殆ど話題になりませんでした。イギリスに於けるチコリーはその後数曲のヒットを放つにとどまりましたが、70年代後半に解散するまでにどぎついメイクの“グラム・ロック”バンドに変貌、ブームの渦中に飛び込んでいった姿が現在では主に記憶されているようです。彼らは数年前に再結成を果たし、現在もイギリス各地で懐かしのレパートリーを披露しているようです。

 一方ジョルジオの方はその後ジョルジオ・モロダーとして“ミュンヘン・サウンド”を確立、70年代後半にドナ・サマーを世界一の売れっ子に仕立て上げ、以降80年代までトップ・プロデューサーの地位にとどまりました。「恋の玉手箱」は彼にとって英語圏に於ける名刺がわりのヒットとなった訳です。

 続いて2位に入っているのはこの時期のUKチャートというとまっ先に思い浮かぶ存在、T.レックスの「テレグラム・サム(米67位)」。アシッド・フォークデュオ“ティラノザウルス・レックス”として音楽シーンに登場したマーク・ボランとミッキー・フィンの2人は1970年後半にグループ名を簡略化し、第一弾としてリリースした「Ride A White Swan(英2位/米76位)」で人気に火がつき、その後立て続けに「Hot Love(71年英1位/米72位)」「Get It On(英1位/米10位)」「Jeepstar(英2位)」と大ヒットを放ってUKチャートに“T.レクスタシー”旋風を巻き起こしました。

 今回登場している「テレグラム・サム」は彼らが設立した“T.レックス・カンパニー”からリリースされた第一弾シングルで、最高傑作とされるアルバム「ザ・スライダー」収録曲。これも全英ナンバー1を記録しましたがレーベルの運営は予想以上に難しかったようで次のシングルからは大手のEMIに販売を依託。ともあれT.レックスにとってキャリアのピークを記録することとなる1972年は幕を開けたのでした。あともう一曲このチャートには“グラマラスな(この時期はまだそうでもなかったかも知れませんが)”ロックバンドが登場しています。それが4位「恋の赤信号」のスレイド。60年代末に元アニマルズのメンバー、そしてジミ・ヘンドリックスのパートナーであったチャス・チャンドラーに見い出された彼らはこの曲の前に出されたシングル「Coz I Luv You(71年英1位)」でブレイク、グラム・ロックブームを代表するグループとなりました。T.レックスの“T.レクスタシー”は約2年で燃え尽きてしまいましたが、対するスレイドの方は1971年〜74年の足掛け4年にわたって12曲連続TOP5ヒット(うち6曲がナンバー1)という離れ業を記録。しかしイメージ的にT.レックスにはかなわないのは、ひとえにルックスのせいなのでしょう(失礼)。「恋の赤信号」は“ハードポップ”な彼らのサウンドとは幾分違った親しみ易いナンバーでした。

 順位を戻して3位にはシカゴのボーカルグループ、チャイ・ライツの「恋はつめたく(米3位)」。70年代にR&Bチャートで30曲以上のヒットを放った大物グループである彼ら、全盛期の米ブランズウィック・レコードの録音は先日「The Complete The Chi-Lites on Brunswick」のタイトルで2組全4枚のCDにまとめられましたが、その「Vol.1(「恋はつめたく」も収録)」には今回のミーンタイム年間投票でも人気の高かったビヨンセの「Crazy In Love」で彼らの「Are You My Woman?(70年米72位)」がサンプルで使用されている旨のステッカーが大々的に貼られていました。ってのはあまり関係ないですね。イギリスに於ける彼らは70年代半ばに人気が本格化し、イギリス独自のシングルカット「Too Good To Be Forgotten(74年英10位)」がヒット、更に本国ではR&Bチャート最高50位に終わった「You Don't Have To Go」が最高3位を記録するなど、独自の評価を確立していたようです。

 もう一曲R&Bものを。10位のアル・グリーン「レッツ・ステイ・トゥゲザー(米1位)」は70年代ソウル名曲中の名曲。彼が昨年出したアルバムはなかなか評判がよかったようですが、そこではこの「〜トゥゲザー」をプロデュースしたウィリー・ミッチェルと久々のコラボレーションというR&Bファンには嬉しいプレゼントが用意されていました。で、話はどんどん脱線していくのですが、このアルバムリリースに先駆けた数ヶ月前、とあるTV番組で映画監督の井筒和幸とウルフルズのトータス松本がメンフィスに出かけ、そこでウィリー・ミッチェルとアル・グリーンに逢うという企画が放送されました。土曜日の午後に殆ど何の予告もなく放映された番組でしたが、予想以上に多くの人が観ていたみたいで、一時期音楽系のお店に飲みに行くと必ずといっていい程「あれ、観た?」「観た観た。」という会話が聞かれた程。あの企画、ワンショットで終わらせるには惜しいものでしたね。せめてアル・グリーンの来日につなげてくれればいいのに。さすがにウルフルズにツアーサポートを務めてくれとまでは言いませんが。

 今度は5位、日本でもお馴染みニール・リードの「ママに捧げる詩」。1960年生まれというから当時11歳(現在43歳?)のニール少年はメリー・ホプキンなども成功のきっかけを掴んだオーディション番組「Opportunity Knocks」を勝ち抜いてデビュー。あからさまな“お子様路線”が当たって本国ばかりでなく日本を含む世界中でヒットを記録しました。当然のごとく彼のキャリアは長続きしませんでしたが、この時代を知る多くの人にとって思い出深い一曲となっているようです。

 残りの曲はドンドンいきましょう。6位はドン・マクリーンの「アメリカン・パイ(米1位)」。R&Rの歴史をシングル両面(約8分)でたどったこの曲は「バディ・ホリーが死んだ時にR&Rは終わった」という有名なメッセージが歌われていますが、イギリスではこれに大変な共感が集まったのか、その後独自にホリーのカバー「Everyday」がシングルカットされ、73年に最高38位を記録しています。余談が続きますが一方アメリカではやはり73年にホリーのレパートリー「Fool's Paradise」がシングルカット、こちらの方はヒットチャート入りすることはありませんでした。もう一曲アメリカもの、8位のソニー&シェール「恋のなかの恋(米7位)」は60年代から活躍している元ヒッピー夫婦デュオが約4年ぶりに放ったヒット。“サマー・オブ・ラヴ”の時代以降ヒットに恵まれなかった彼らは前年夏に一ヶ月TVのバラエティ・ショーを任され、その好評を受けて年末に「ソニー&シェール・コメディ・アワー」としてレギュラー化。そこから早速ヒットが生まれた形となっています。この成功が2人のキャリア(後の二人の別れにも?)に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。

 7位はニュー・シーカーズの「愛するハーモニー(米7位)」。このシリーズ60年代の回にイヤというほど登場したポップ・フォークグループ、シーカーズは60年代末に解散しましたが、メンバーのキース・ポトガーが“ニュー”シーカーズを結成して成功を引き継ぎました。この曲はコカ・コーラのCMのメロディを元に作られたもので、元のCMを歌っていたナッシュビルのボーカルグループ、ジョーダネイアーズのシングルが日本で発売されてヒットを記録したことを過去のメルマガで紹介したことがありました。そこら辺はバンクナンバー参照ということで。最後9位は60年代から活躍を続けているフォーチュンズ。彼らに最初のヒット「You've Got Your Troubles(64年英2位/米7位)」を提供したロジャー・クックとロジャー・グリーナウェイが面倒見よくも手がけているこの曲は、彼らにとって最後のチャートヒットとなりました。


(2004.2.17)

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