TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 100 Singles: Week ending October 19, 1974

01 I Honestley Love You - Olivia Newton-John (MCA)
02 Can't Get Enough - Bad Company (Swan Song)
03 Beach Baby - First Class (UK)
04 You Haven't Done Nothin' - Stevie Wonder (Tamla)
05 Nothing From Nothing - Billy Preston (A&M)
06 The Bitch Is Back - Elton John (MCA)
07 Sweet Home Alabama - Lynyrd Skynyrd (MCA)
08 Jazzman - Carole King (Ode)
09 Whatever Gets You Thru The Night - John Lennon/Plastic Ono Nuclear Band (Apple)
10 Never My Love - Blue Swede (EMI)

 昭和49年10月第3週のキャッシュ・ボックスチャート1位は、オリビア・ニュートン・ジョンの「愛の告白」でした。

 1970年代を代表する女性シンガー、オリビアはイギリスのケンブリッジ出身。移住先のオーストラリアで芸能活動をスタートし、出演した当地のTV音楽番組でイギリスの老舗インスト・ロックグループ、シャドウズの面々と知り合います。当時シャドウズと交流を持っていたスタッフにはミュージシャン/プロデューサーのジョン・ファーラーがおり、更にシャドウズの盟友クリフ・リチャードの協力もあって70年代初頭に渡英した彼女は順調なキャリアを歩み始めました。

 シャドウズ組の全面バックアップによりリリースしたボブ・ディランのカバー「If Not For You(71年23位)」をヒットさせた彼女は、73年には「Let Me Be There(4位)」が大ヒット。人気歌手の仲間入りを果たします。この「愛の告白」は70年代に多くのMORヒットを生んだピーター・アレンと60年代の伝説的ソングライター、ジェフ・バリーの共作曲。これをナンバー1ヒットとし、彼女の“第一期黄金時代”は本格化しました。「愛の告白」は彼女のテーマ曲的存在のようでその後彼女は度々この曲をリメイク。1998年にはベビーフェイスがバックを務め、デヴィッド・フォスターがプロデュースしたバージョンがビルボード誌で最高67位を記録しています。

 なお、この時期の彼女のアメリカでの受け入れられ方は“女性ポップ・カントリーシンガー”。彼女はイギリス生まれのオーストラリア育ち、プロデューサーのジョン・ファーラーはオーストラリア人、更にアーティストとしてはアメリカのヒットチャートでまったく相手にされなかったシャドウズという面々がカントリーチャートを荒らしまくり、ナッシュビルで賞をかっさらってくるという“快挙”には痛快さを感じます。更にこの面々と、エルトン・ジョンも加わって“御大”クリフ・リチャードのアメリカでの大ブレイク、という事件が数年後起こるのですが、それもいずれこのコーナーで紹介したいものです。

 2位に入っているのはイギリスのブルース・ロックバンド、バッド・カンパニー。1960年代後半にイギリスで結成され、アメリカでも「All Right Now(70年3位)」が大ヒットした「フリー」を母体にしたこのグループは、ボーカルのポール・ロジャースを中心に強力なライブ・パフォーマンスを展開。ファーストアルバムからのカットであるこの曲は“ブルース・ロック”から“ロック”を取り除いてもいいのではないか?と思われるくらいスタンダード性を持ったブルースナンバー。多分今宵もアメリカの何処かのブルース・クラブでこの曲は演奏され、観衆の喝采を浴びていることでしょう。

 3位はロック色の強い今回のチャートではやや異色、イギリスのスタジオグループ、ファースト・クラスの「ビーチ・ベイビー」。ビーチボーイズ風のハーモニーを聴かせるこのグループの中心人物はイギリスのプロデューサー/ソングライター、ジョン・カーターと、1960年代に彼とアイヴィ・リーグやフラワーポット・メンといったグループで行動を共にしていたシンガーのトニー・バロウズ。バロウズは70年代数多くの企画物レコードに参加しており、その録音群はアメリカで「The Voices Of Tony Burrows」という一枚のCDにまとめられていますが、1970年の一時期などはエジソン・ライトハウスの「Love Grows(「恋のほのお」米4位)」、ブラザーフッド・オブ・マンの「United We Stand(13位)」、ピプキンズの「Gimme Dat Ding(7位)」、ホワイト・プレインズの「My Baby Loves Lovin'(10位)」といずれもバロウズの歌をフィーチャーした曲がほとんど間をおかず次々とヒットチャートの上位を賑わす、なんて珍事もあったほどの活躍を見せた人。「Beach Baby」の方は、日本では数年前バハ・メンによってリバイバル・ヒットもしました。

 続く4位にはスティービー・ワンダーの「悪夢」が。前回紹介したとおり前年の夏交通事故で瀕死の重症を負った彼は約1週間続いた昏睡状態の後驚異的な回復力でカムバック。数ヶ月後には方々のライブにゲストとして登場して観客を驚かせ、この年には「Fulfillingness' First Finale」を発表。あくなき制作意欲を見せつけました。この曲にはジャクソン5がコーラスとして参加していますが、その彼らも2年後には“社長の娘婿”ジャーメインを残して他社へ移籍。モータウン・ファミリーはますます形骸化していくことになります。そして5位にはビリー・プレストンの似た感じのタイトル「ナッシング・フロム・ナッシング」がランクイン。ラグタイム調のピアノをバックに歌われる古風なこの曲がこれほどのヒットになったことには、当時の彼の勢いが感じられてなりません。1960年代前半から様々なアーティストのバックでキーボードを演奏し、ソロアルバムも発表していた彼はハンブルグ時代から一緒に飲み歩いていたという旧知の間柄であるビートルズの「Get Back(69年1位)」などに抜擢され60年代後半一躍注目の的に。70年代に入ってA&Mと契約すると、ロックともR&Bとも定義し難い独特の作風(「You're So Unique(73年30位)」というヒット曲さえあります)で、数年間に亘って大ヒットを連発していきました。

 まったくの余談ですが、この週のチャート13位にはバックマン・ターナー・オーヴァードライヴの「You Ain't Seen Nothing Yet(「恋のめまい」最高1位)」もランクイン中。この“Nothing流行り”ってのは何でしょうね?ベトナム戦争とか、ウォーターゲート事件に対する庶民の虚無感とか、そのあたりに詳しい方がいらしたら是非とも(こじ付けで結構ですから)背景を解説していただきたいものです。

 6位にはエルトン・ジョンの「あばずれさんのお帰り」が。前年彼の最高傑作の一枚とされる力作「Goodbye Yellow Brick Road(黄昏のレンガ路)」をナンバー1に送り込んだ彼は、もしかしたら“スティービー・ワンダー全盛期”にあって作品内容に伴った成果(受賞)を挙げることが出来ず、一番割をくったアーティストなのかもしれませんが、この年はややリラックス気味な「Caribou」を発表。このR&Rナンバーと「Don't Let The Sun Go Down On Me(「僕の瞳に小さな太陽」最高1位)」のヒットを生みました。更に彼はこの週9位に入っているジョン・レノンの「真夜中を突っ走れ」にもゲスト参加。「この曲がナンバー1になったらライブにゲストで出す。」というレノンとの賭けに勝ったエルトンは彼をマジソン・スクエア・ガーデンのステージに引っ張り出す事に成功。結果的にそれはレノン生前最後のライブとなりました。

 コーナーは後半戦に入ります。7位はフロリダ出身のサザン・ロックバンドの雄、レーナード・スキナードのロックスタンダード「スウィート・ホーム・アラバマ」。70年代初頭に結成された彼らは当時南部の音楽シーンに注目していたプロデューサーのアル・クーパーと契約。ザ・フーのサポートして廻った全米ツアーの成功と、セカンド・アルバム「Second Helping」からカットされたこの曲でブレイクを果たしました。

 この曲が話題となったのは歌の一節で執拗にニール・ヤングを攻撃したことから。ヤングは1970年のアルバム「After The Gold Rush」に収録されている「サザン・マン」で、アメリカ南部の人々に根強い人種差別をはじめとした保守的な生活を改めてはどうか、というメッセージを投げかけたのですが、それに対し彼らは「ミスター・ヤングの歌を聴いた/ニールのおっさんが南部を中傷している歌を/でもニール・ヤングは知るだろう/南部じゃアンタなんかお呼びじゃないって。」と強烈に反論。この曲が演奏される度南部では大喝采を受けたのでしょう。その内容の是非はともかく、この曲は大ヒット。続いてファーストアルバムからの「Free Bird(25位)」もヒットとなり、彼らはその後飛行機事故で3人のメンバーを失うという悲劇に見舞われる1977年まで、トップ・ライブバンドとして活躍を続けていきます。

 なお今年アメリカで公開されたリーズ・ウィザスプーン主演のコメディ映画「Sweet Home Alabama(メラニーは行く!)」のサントラには、当然ながら同曲がテーマとして収録されていますが、今回それを歌っているのはジュエル。オリジナルとは違ったちょっとクールな語り口になっている様です。続く8位はキャロル・キングのアルバム「Wrap Around Joy」収録曲「ジャズマン」。1971年の大ヒットアルバム「つづれおり」以降ヒットアルバムを連発した彼女、意外にもシングルチャートでは結構苦戦が続きこの曲は72年の「Sweet Season(最高8位)」以来約2年半ぶりのTOP10ヒット。キャッシュボックス誌でその後ナンバー1を獲得するこの曲は、タイトルにどれほどの意図があったか判りませんが当時彼女が傾倒していたジャズ(“クロスオーヴァー”といった方がいいのでしょうか?)色の強いもの。そういえば彼女はこの前年「Corazon(27位)」というラテン・ジャズ調のインスト・ヒットまで発表していたのでした。

 最後10位はスウェーデンのポップグループ、ブルー・スウェード(本国では“Bjorn Skifs and Blablus”)の「かなわぬ恋」。この前年に録音したB.J.トーマス1968年のヒット「Hooked On A Feeling」のカバーに「ウガ・チャガ・ウガウガ(数年前「アリー・マイ・ラブ」のヒットで、日本でもダンシング・ベイビーとともによく知られるようになったあれです)」という奇妙なコーラスを加えたバージョンがヨーロッパ大陸を越えアメリカでもナンバー1ヒットとなった彼ら、バブルガム調の第2弾「Silly Milly(56位)」はハズシましたが、続く1967年にアソシエイションが大ヒットさせたバラードのカバーを成功させ再びTOP10入りを果たしました。ここではホーンなども交えてやや勇ましげな「かなわぬ恋」を披露しており、マジック・ランターンズの「Shame Shame(68年17位)」というヒット曲があるのですが、あれによく似た印象があります。


(2002.10.15)

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