TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart March 9, 1974

01 Jealous Mind - Alvin Stardust (Magnet)
02 Devil Gate Drive - Suzi Quatro (RAK)
03 The Air That I Breathe - The Hollies (Polydor)
04 You're Sixteen - Ringo Starr (Apple)
05 Rebel Rebel - David Bowie (RCA)
06 Remember (Sha-La-La-La) - Bay City Rollers (Bell)
07 Wombling Song - The Wombles (CBS)
08 Billy, Don't To Be A Hero - Paper Lace (Bus Stop)
09 The Most Beautiful Girl - Charlie Rich (Epic)
10 Jet - Wings (Apple)

 昭和49年3月第2週、UKチャートのナンバー1はアルヴィン・スターダストの「ジェラス・マインド」でした。

 アルヴィン・スターダストの経歴はかなり古く、1960年代前半は“シェーン・フェントンとフェントーンズ”名義で何曲かのヒットを飛ばした結構線の細い感じのロックンローラーでした。フェントンのチャート上での活躍は約1年間で終わってしまいましたが、それでも彼は諦めずに活動を継続。約10年後の1973年にグラムロック・ブームに便乗して再登場、ジーン・ヴィンセント風の皮ジャンでキメたモミアゲ野郎“アルヴィン・スターダスト”として「My Coo-Ca-Choo(英2位)」で華々しくカムバックを果たしました。

 グラムロックはその容姿はともかく、サウンド的にはシンプルなR&Rが基本になることが多かったようですし、ゲイリー・グリッターのような妙なオッサンも大変な人気を博していたので、ベテランとはいえグリッターよりは若かった(グリッター40年生まれ、フェントン42年生まれ)彼がこのような路線を打ち出したのもなんとなく理解できる気がします。デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」から拝借したという説もある(ルックス的には“スターにしきの”がより近い感じですが)新しい芸名で彼はヒット曲を連発、30過ぎのオッサンが悩ましくアハアハ言ってるこのロックナンバーは見事UKチャートのトップに輝きました。“ザ芸能”といった感じの彼はその後80年代半ばまでヒットチャートをしぶとく生き残り、現在も1950年代スタイルのR&Rショーを各地で精力的に展開しているようです。

 ついでにオリジナルの“スターダスト”氏にもご登場願いましょう。この週5位に入っているのがデヴィッド・ボウイの「愛しき反抗(米64位)」。このメルマガが発行される現在来日中である彼、私も武道館にその勇姿を拝みに行きますが、今回のツアーはどの日も大体この曲で幕を開けるようですね。ヒット曲満載のステージのようなので、楽しみです。この曲はアルバム「ダイアモンドの犬(余談が多くて恐縮ですが、現在オンエアされている彼出演のミネラルウォーターのTVCMでは、彼の“ダイアモンド犬”姿を観ることが出来ますね)」収録曲で、ギターのフレーズが非常に印象的なロックナンバー。彼の“グラム時代”はここら辺でそろそろ終わりを迎え、このアルバムのツアーのため赴いたアメリカで新しいサウンドにめぐり逢い、次のフェーズに進むこととなります。

 続いて飛ばしてしまった2位は“昭和のアヴリル・ラヴィン(?)”スージー・クアトロ。ミシガン州出身のアメリカ人である彼女は60年代に姉妹で“スージー・ソウルとプレジャー・シーカーズ”というバンドを結成。各地のクラブ出演や、時にはベトナム慰問にも出かけたりしていたそうですが、1971年にイギリスのプロデューサー、ミッキー・モーストの目にとまって渡英し、スイートなどに作品を提供してグラム・ロックシーンで一山当てていたプロデューサーコンビ、ニッキー・チンとマイク・チャップマンの2人が立ち上げたレーベル「RAK」からリリースした「キャン・ザ・キャン(73年英1位/76年米56位)」がナンバー1を記録し、たちまちスターの座に駆け上りました。今回登場している「悪魔とドライヴ」は彼女2曲目のナンバー1ヒット。このわめき散らす感じが個人的にはカンベンですが“サディスティック・ロックの女王”のキャッチフレーズがつけられていたという当時の日本でも好評だったこの曲は、初期の彼女の代表作となりました。

 その次3位は雰囲気ガラッと変わって“60年代の生き残り”ホリーズの「やすらぎの世界(米6位)」。70年代に入ってからの彼らはリードボーカルのアラン・クラークが一時グループを離脱したり、レーベルを移籍したりと不安定な状態に陥りましたが、クラークが復帰して録音したこの曲の大ヒットで一時的ながら息を吹き返しました。「やすらぎの世界」はこの前年に彼らのアイドルであるエヴァリー・ブラザーズのフィル・エヴァリーがアルバム「Star Spangled Springer」用に吹込んだもの(オリジナルは72年発表のアルバート・ハモンド版)を聴いて取り上げたそうで、恐らくこの大ヒットがきっかけとなったのでしょう、フィル・エヴァリーはこの年と翌75年にイギリスでアルバムを制作。1967年エヴァリ−兄弟に「Bowling Green(米40位)」を提供したテリー・スレイターがプロデュースを務めたこの2作はまるで「Each Time」期の大滝詠一の“やり過ぎ感”を彷佛させるような非常に凝ったサウンドで、その筋のポップスファンには結構楽しめる内容になっています。

 さて。ホリーズに続いてこの週の4位と10位には元ビートルズの2人が登場。まず4位「ユ・ア・シックスティーン(米1位)」はアルバム「Ringo」からカットされたジョニー・バーネット1961年のヒット(米8位/英3位)のカバー。元ビートルズの残り3人が挙って参加した「Ringo」は、その3人が当時発表したどのアルバムより多くのシングルヒットを生むことに成功しました。で、この曲の間奏でカズーを吹いていたという10位ポール・マッカートニーの「ジェット(米7位)」は、彼の最高傑作の一つといわれるアルバム「Band On The Run」の先行シングル。この曲のタイトルは、当時彼が飼っていた犬の名前に因んだものなのだとか。

 6位と7位にはいわゆる“バブルガム・ミュージック”が登場。6位はいよいよ出てきたベイ・シティ・ローラーズ。彼らの歴史は意外と古くて、その母体がエジンバラで結成されたのは1967年のこと。スコットランド一帯をツアーして回るうちレコード契約を獲得、1971年にジェントリーズ(65年米4位)のカバー「Keep On Dancing(朝まで踊ろう)」がヒットを記録(英9位)しましたがその後ヒットが続かず低迷していたところに、同じくエジンバラ出身のレスリー・マッコーエンがリードボーカルで参加、我々が思い浮かべるところの“BCR”が誕生しました。ドリーミーなティーンポップ「想い出に口づけ」がヒットして以降3年間(4年間?)、彼らは世界規模の一大センセーション“ローラー・マニア”を巻き起こすことになります。

 7位「ウォンブリング・ソング」のウォンブルズとは、当時朝の子供向けTVシリーズに登場していたぬいぐるみ(着ぐるみ)たちのことで、近年でいえば「テレタビーズ」のようなものと考えていただけばいいと思います。ルックス的には「ムーミン」のスニフと「セサミ・ストリート」のビッグバードを足して2で割った感じか?プロデューサー/ソングライターのマイク・バットがスタジオで作り出したウォンブルズ名義の作品の数々はかなり高品質のポップで、この当時のベイ・シティ・ローラーズにまったくひけをとりません。TV人気もあって結局ウォンブルズは8曲ものヒットを生み、その後バットは人気プロデューサーとして活躍。現在はコンテンポラリー・クラシック系の女性グループ「ボンド」を手がけているそうです。

 8位も見方によっては“バブルガム”でしょうか、ペーパー・レースの「悲しみのヒーロー(米96位)」。この曲を作ったミッチ・マレイはビートルズのセカンド・シングル候補となった「How Do You Do It?(結局ジェリーとペースメーカーズが吹込んで63年に全英1位を記録)」を書いたベテラン・ソングライターで、南北戦争を舞台としたこの曲を録音するためにTVのオーディション番組を勝ち抜いたペーパー・レースを採用、見事これだけのヒットとしました。彼はこの成功をアメリカでも展開しようと目論みましたが、契約先を探しているうちにアメリカのバンド、ボ・ドナルドソンとヘイウッズがこの曲をリリースしてしまい、ヘイウッズ盤はなんと全米ナンバー1を記録。さぞかし悔しい思いをしたことと思いますがマレイ及びペーパー・レースはめげずに今度はアル・カポネの時代を舞台にした「ザ・ナイト・シカゴ・ダイド」をリリース。これが全米1位となって見事リベンジを果たしたのでした。

 最後9位はこのチャートでは相当異色の存在チャーリー・リッチの「朝やけの少女(米1位)」。“シルバー・フォックス”の愛称で呼ばれる彼は1960年にメンフィスのサン・レコードから「Lonely Weekend(米22位)」のヒットを放ったカントリー系のベテランシンガー。イギリスは伝統的にポップカントリーの強い国のようですから、こういう曲がヒットするのは当然なのでしょう。余談になりますがこの曲のソングライターの一人ノロ・ウィルソンは現在なおカントリーのトップ・プロデューサーとして活躍中。つい先日アルバムチャートのナンバー1に輝いたケニー・チェズニーの「No Shoes, No Shirt, No Problems」も、ウィルソンが手がけた作品です。


(2004.3.9)

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