TOP10 HITS OF LAST CENTURY
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 前世紀のヒットチャートを紹介するこのコーナー、今週は70年代シリーズの第6回、1975年です。それでは今から27年前にフラッシュバック!

■ Cash Box Top 100 Singles: Week ending October 25, 1975

01 Bad Blood - Neil Sedaka (Rocket/MCA)
02 Island Girl - Elton John (MCA)
03 They Just Can't Stop It (The Games People Play) - Spinners (Atlantic)
04 Lyin' Eyes - Eagles (Asylum)
05 Miracles - Jefferson Starship (Grunt)
06 Low Rider - War (United Artists)
07 Who Loves You - Four Seasons (Warner Bros.)
08 Lady Blue - Leon Russell (Shelter)
09 Heat Wave - Linda Ronstadt (Asylum)
10 It Only Takes A Minute - Tavares (Capitol)

 昭和50年11月第1週のキャッシュ・ボックスチャート1位は、ニール・セダカの「バッド・ブラッド」でした。

 1960年代前半を代表するアーティストの一人であるニール・セダカの活躍は、過去のこのコーナーで幾度も取り上げてきました。シンガーとして多くのヒットを放つ一方、作曲家としても優れた作品を様々なアーティストに提供した彼は、しかし1964年のイギリス勢来襲によってチャート成績は暫し低迷。TOP40から遠ざかることになります。

 同年代の多くのアーティストはこれ以降音楽シーンの第一線に返り咲くことなく“オールディーズ”巡業の世界へと旅立ってしまうのですが、彼は違いました。その高い作曲能力で今度は職業作家として活躍、60年代後半以降もフィフス・ディメンションの「Workin' On A Groovy Thing(69年米23位)」やトム・ジョーンズの「Puppet Man(71年米14位)」など彼の作品はTOP40にランクインを続けました。セダカ自身もアーティストとしての一線復帰には常に意欲的で、この“低迷期”にも多くの作品をリリースし、日本ではその中から「Superbird」というヒットも生まれました。また他のアーティストへの提供作品も自らデモテープを吹き込んでいて、今年に入ってそれらの録音が「Let The Good Times In」というタイトルで初めてCD化されましたが、これが大変な名曲揃い。私個人的にはザ・フーの「My Generation」CD化を凌ぐ今年の再発大賞です。

 そんな彼のキャリアが再び上向きになり始めるのは1970年代に入ってから。イギリスでのコンサートで大好評を博した彼はかの地でレコード契約を結び、現地のミュージシャン(後に10CCとなるメンバーたち)をバックにアルバムを制作し、そこからカットされたシングルはヒットチャートにも顔を出すようになりました。

 この好調を何とかアメリカでのセールスに結びつけたいと考えたセダカが、そのバックアップを依頼したのがエルトン・ジョン。この週「アイランド・ガール」を2位にランクインさせている(間もなく1位になります)彼は、前回紹介したジョン・レノンの「真夜中をぶっ飛ばせ」の一件もありましたが、触るものすべてが黄金に姿を変えてしまうのではないか?と思われるくらいの活躍を見せた70年代半ばを送っており、その成功を更に幅広く、と設立した自身のレーベル「ロケット」から彼の作品を配給しようという話になりました。1972年に60年代のR&Rにオマージュを捧げた「Crocodile Rock(米1位)」で、ニール・セダカを思わせるフレーズを披露していた彼ですから、ピアノをぶっ叩きながらR&Rを歌う元祖“ピアノ・マン”の一人であるセダカの応援は当然の帰結だったのかも知れません。

 そんな経緯で1974年にアメリカでリリースされた「Laughter In the Rain(「雨に微笑を」米1位)」は、エルトンの後ろ楯という話題性に加え、現在も70年代屈指の名曲とされているほどの高評価を受けてヒットチャートを駆け上りました。明けてこの年にリリースされたこの「バッド・ブラッド」も、エルトンの印象的なコーラスもセールスポイントとなって再びナンバー1を記録。彼の“第二期黄金時代”は全盛期を凌ぐ成功を彼にもたらします。

 続いて3位に入っているのは70年代有数の人気R&Bグループ、スピナーズ。デトロイト出身の彼らは60年代後半にモータウン・ファミリー入りし、70年には「It's A Shame(最高15位)」のヒットも生まれましたが、その人気が本格的にブレイクしたのは70年代に入ってフィラデルフィアのプロデューサー、トム・ベルと出逢い、アトランティックに移籍してから。72年の「I'll Be Around(米1位)」、フィラデルフィア・ソウルのテーマ曲の一つといえる「Could It Be I'm Falling In Love(「フィラデルフィアより愛をこめて」米1位)」と大ヒットを連発して一躍トップグループの仲間入り。その後も物凄い勢いでヒット曲を連発し、シーンがディスコ・サウンドで席巻される70年代後半までその活躍は順調に続きました。この「ゲームズ・ピープル・プレイ」はリラックスムード漂うミドル・テンポのナンバーです。

 この週のチャートはR&B系の曲が少ないので、6位も一緒に取り上げておきます。ロサンゼルスのファンク・グループ、ウォーはそのデビューのきっかけが元アニマルズのエリック・バードンのバックバンドとしてだったというのもユニークでしたが(1970年に「Spill The Wine(米1位)という大ヒットが生まれました)、更にユニークだったのは当時R&Bの流れ的には“辺境”に位置したアメリカ西海岸の風俗を作風に盛り込んだ点。この「ロウ・ライダー」はチカーノ(メキシコ系アメリカ人)の若者が好んで乗る異常に車高の低い車(日本でも似たようなものを街中で見かけることがありますね)を題材にしたもの。これは後のヒップホップ文化に受け継がれていくことになります。

 さて、このチャートにはエリック・バードンとウォーの関係に似た経緯でデビューした二組のアーティストも登場しています。それが9位のリンダ・ロンシュタットと4位のイーグルス。西海岸の“爽やか系”ロックの代表的存在だったイーグルスは、この前年のアルバム「On The Border」あたりから一気にメジャー感を増し、この年の「One Of These Nights(呪われた夜)」以降は出すアルバムが軒並みナンバー1を記録する存在となりました。同アルバムに収録されていた「いつわりの瞳」は“前期”イーグルスの雰囲気が色濃く残ったナンバー。

 後にイーグルスのメンバーとなる何人かがデビュー当初活動を共にしていたリンダ・ロンシュタットは、その愛らしいルックスもあって70年代大変な人気を博した女性シンガーで、彼女の特徴は“カバーヒットの多さ”。このチャートに登場している「ヒート・ウェイブ」もマーサ&ザ・ヴァンデラス1963年のヒット(最高4位)のカバーですが、この頃の彼女の大ヒットはほとんどが60年代のヒット曲のリメイクでした。当時彼女の歌をきっかけにそれら60年代の名曲を知った音楽ファンも多かったようですが、カバーがやたらと多いというのは、なんとなくプロデューサー等製作陣が、そのアーティストに相応しい作品を与えることができないという“能力不足”を白状してしまっているようで、私はあまりいい印象がありません(最近のJ-POPシーンで横行する“カバー・ブーム”にもそれは言えると思います)。あ、別にピーター・アッシャー(彼女のプロデューサー)の悪口を言ったつもりではないのですが。素晴らしい仕上がりの作品も多いことですし。。

 5位に入っているのはイーグルスの一世代前にあたる(年齢はそれほど変わらないかも知れませんが)西海岸のロックバンド、ジェファーソン・スターシップ。1960年代半ばのサンフランシスコから「ジェファーソン・エアプレイン」の名で登場し“メジャー・レーベルと最初に契約したヒッピー・バンド”として「Somebody To Love(67年5位)」「White Rabbit(同年6位)」といったヒット曲を放ち、“Love & Peace”の社会革命を声高に叫ぶ一方でドラッグによる精神世界の探究を歌った力作アルバムを次々と発表した60年代を経て、リーダーのポール・カントナーを中心に近未来的な「〜スターシップ」に改名。ポスト・サイケデリック時代に再出航したのでした。

 このチャートに登場している「ミラクルズ」はナンバー1アルバム「Red Octopus」からのシングルカット。〜エアプレイン時代に一旦グループを離れ、その後復帰したマーティ・バリンが提供したこの曲は、アダルトな雰囲気漂うFMラジオ向けロック。なおこの曲、シングルでは3分台にまとめられていますが、アルバムでは7分近い大作。数年前再編された彼らが来日公演を行った際この曲はフルバージョンたっぷり演奏されたそうですが、続いてバリンがそれを上回る長尺でソロヒット「Hearts(「ハート悲しく」81年9位)」を思い入れたっぷりに歌った、という話を公演を観た方に聞いて大笑いした覚えがあります。

 7位はニール・セダカ同様“60年代組”のカムバック。ニュージャージー出身のフォー・シーズンズは、60年代はビーチ・ボーイズに負けないくらい多くのヒット曲を生んだボーカルグループでしたが、1960年代末には時代の流れもあってヒット曲が途絶えます。リードボーカルのフランキー・ヴァリはレコード会社を移籍して心機一転、1974年にソロとしてアダルト路線の「My Eyes Adored You(「瞳の面影」)」をリリースしたところこれがナンバー1を獲得する大好評に。続いてグループとしてもディスコ・サウンドを取り入れたこの「愛はまぼろし」をヒットさせ、完全に復活を果たしました。フォー・シーズンズの活躍はその後「December, 1963 (Oh, What A Night)(75年米1位)」、ヴァリのソロも「Grease(78年米1位)」と70年代を通じて続くことになります。

 わー、ごめんなさい。今回は全然時間がない。8位は南部ロックの立役者レオン・ラッセル。実娘をモデルにしたという「Lady Blue」は、彼にとって最後のTOP40ヒットになりました。最後10位はディスコ・シーンの人気グループ、タヴァレスの「愛のディスコティーク」。“ディスコ”については次回以降詳しく触れられるはず。


(2002.10.30)

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