TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart March 15, 1975

01 If - Telly Savalas (MCA)
02 Bye Bye Baby - The Bay City Rollers (Bell)
03 Make Me Smile (Come Up And See Me) - Steve Harley and Cockney Rebel (EMI)
04 Only You Can - Fox (GTO)
05 The Secret That You Keep - Mud (RAK)
06 My Eyes Adored You - Frankie Valli (Private Stock)
07 Pick Up The Pieces - The Average White Band (Atlantic)
08 Please Tell Him That I Said Hello - Dana (GTO)
09 There's A Whole Lot Of Loving - Guys and Dolls (Magnet)
10 I'm Stone In Love With You - Johnny Mathis (CBS)

 昭和50年3月第3週、UKチャートのナンバー1はテリー・サバラスの「イフ」でした。

 「Flashback」で“ミスター・コジャック”を取り上げることになるとは思いませんでしたが、チャートはチャート、いつも通りいってみましょう。サバラスは1924年ニューヨーク生まれ。第2次世界大戦に従軍した後コロンビア大学を経て国営放送V.O.A.(The Voice Od America)に入社、1950年代は裏方として働いていたようですが次第に演技の道に興味を持つようになり59年に劇団に入団。バート・ランカスターに認められて出演した1961年の映画「Birdman Of Alcatraz(終身犯)」でアカデミーの助演男優賞を獲得し、以降はその一度見たら忘れられないルックスを活かして主に悪役として諸作で強烈な印象を残しつつ、73年に始まったTVシリーズ「刑事コジャック」で大スターとなりました。

 ・・と、ここまでの彼の経歴に音楽はまったく登場しませんね。このコジャック人気に便乗したのか、アメリカのMCAは彼と契約しアルバム「Telly」をリリース。これは数々のヒット曲のインストにサバラスによる詞の語りをのせたもの(一部歌っているところもあり)で、まさに俳優が勢いで出してしまった珍品という趣。今回の「イフ」もブレッドの大ヒット(71年米4位)を“語った”もので、コジャック人気があったとはいえ、こんなレコードをヒットチャートのナンバー1に圧し上げてしまうイギリス人の気持ちがよく解りません。アルバム「Telly」は現在“あの俳優が出していたこんな恥ずかしいレコード”として、モンド的なコレクターズ・アイテムになっているようです。

 続いて2位はベイ・シティ・ローラーズの「さよならベイビー」。前回紹介した「想い出に口づけ」で本格的なブレイクを果たした彼らは、その後イギリスで“シングルを出せば必ずTOP5ヒット”という人気過熱状態となり、この曲あたりで日本にもその人気は飛び火、さらにこの年の後半に「サタデイ・ナイト」で全米制覇と“タータン・ハリケーン”は世界を覆い尽くすこととなります。このシングルはフォー・シーズンズ1965年のヒット(米12位)のカバーですが、今回のチャートにはそのオリジナル、フランキー・ヴァリが登場しているので、話をそちらに移しましょう。

 フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズはニュー・ジャージーで結成されたドゥ・ワップの影響を強く受けたボーカルグループ。60年代半ば、ビートルズをはじめとするイギリス勢がアメリカのヒットチャートを席巻した時もビーチ・ボーイズと並んで彼らと互角に張り合える人気を誇った存在で、グループとして、またはヴァリのソロ名義で60年代の10年間に50曲近いヒットを放ちましたが、70年代に入りモータウンと契約するとその人気は低迷。約5年間ヒットチャート上のブランクが生じます。当時モータウンは本拠地をロサンゼルスに移し、社長のベリー・ゴーディはソロになったダイアナ・ロスの売り込みに必死と、フォー・シーズンズをサポートする態勢にはなく、結局何の実りもないまま契約は解消、レコーディングされながら陽の目を見なかった「瞳の面影」がヴァリの手許に残りました。このテープを持って再契約に奔走した彼は新設のプライベート・ストックからこの曲のリリースにこぎ着け、それが全米ナンバー1ヒットを記録するという華々しい復活を遂げました。続いて彼はフォー・シーズンズの再編も画策、折よくイギリスではモータウン時代に録音していた「Night」がノーザン・ソウルシーンの評価もあってヒットを記録し(最高7位)、グループはワーナーと契約。その後の再ブレイクの手がかりを掴むこととなります。

 飛ばしてしまった3位はこの時期のUKチャートには珍しい(?)知性派ロック・アーティスト、スティーヴ・ハーレーとコックニー・レベルの「メイク・ミー・スマイル(76年米96位)」。ジャーナリスト出身だというハーレーは73年にコックニー・レベルを結成。当初はグラム・ロックブームの影響を強く受けた様子でしたが、彼ら唯一のナンバー1ヒット「メイク・ミー・スマイル」では非常に強い影響下にあるボブ・ディランやジョージ・ハリスン、あと聴き方によってはトム・ペティとか・・、なんとなく「トラヴェリング・ウィルベリーズ」のメンバーにいても何の違和感も感じさせないような音楽性を聴かせています。彼自身この後強い影響力を持ったアーティストとして80年代を生き抜き、代表曲「メイク・ミー・スマイル」は度々リバイバル・ヒットを記録しています。

 4位には風変わりなロックグループ、フォックスが登場。フォックスは60年代にドリフターズの「Under The Boardwalk(『渚のボードウォーク』64年米4位/英45位)」をはじめ、ロニー・ダヴの「One Kiss For Old Times' Sake(『想い出のワン・キッス』65年米14位)」、ハーマンズ・ハーミッツの「This Door Swing Both Ways(『ドアがスイング』66年米12位/英18位)」といったいい感じの“オールディーズ・ヒット”を生んだソングライター、ケニー・ヤングが結成したバンドで、ブリティッシュ・トラッド系のグループで歌っていたという女性シンガー、ヌーシャ・フォックスがグループの顔でした。妖艶なルックスのヌーシャから発せられるカマトト・ボイス(表現古っ!)と、レゲエっぽいビートがなんともひとひねりある雰囲気を醸し出していて、私は今回初めて聴いたのですが、これは思わぬ収穫でした。この曲が収録されている彼らのファーストアルバムの評を見ると「10ccを思わせる・・」といった表現がよく見られますが、私はむしろ、アルバム後半の流れなどはカート・ベッチャーの「カリフォルニア・ミュージック」に通じるものを感じました(マイナーな比喩申し訳ない!)。ソフトロックファンも注目していいグループだと思います。

 5位にはこの時代の人気グループ、マッドが登場。彼らは“グラム・ロックブーム”の後期に登場したバンドで、このところこのシリーズ何回か続けて名前が登場しているプロデューサー・チーム、ニッキー・チンとマイク・チャップマンが提供した「Dynamite(73年英4位)」「Tiger Feet(74年英1位)」でブレイク、以降3年間ノスタルジックなR&RでUKチャートTOP10の常連となりました。この「The Secret That You Keep」もチン&チャップマンの作品ですが「Dynamite」や「Tifer Feet」のような軽快なR&Rではなく、どこか腑抜けた“僻地のプレスリー”風の作品。彼らはグラム・ロックとその後盛り上がるR&Rリバイバル〜ネオ・ロカビリーという流れの橋渡し的存在となったグループだったといえるかも知れません。

 残り4曲はテンポを上げていきましょう。7位はイギリスが誇るホワイトR&Bバンド、アヴェレージ・ホワイト・バンド。スコットランド出身の彼らは1973年にデビューを果たしましたが、その後大平洋を渡って老舗レーベル、アトランティックと契約し、当時はビージーズを復活させたことで、そして現在はノラ・ジョーンズのプロデューサーとして注目されるベテラン、アリフ・マーディンの制作で一級のR&Bを披露。「ピック・アップ・ザ・ピーセス」はアメリカのR&Bチャートで5位、HOT100ではナンバー1の大ヒットとなりました。現在も“フリー・ソウル”のスタンダードとして頻繁に耳にする一曲です。続く8位のデイナはアイルランドの女性シンガー。1970年に発表した「All Kinds Of Everything」がユーロヴィジョン・コンテストでグランプリを獲得し、その勢いでUKナンバー1に輝いた彼女が約5年ぶりにTOP10に返り咲いたのがこの「Please Tell Him That I Said Hello」でした。70年代を人気歌手として過ごした彼女はその後クリスチャン・ミュージックに転向。97年にはアイルランドの大統領選に出馬して3位の得票数を得たとか。

 9位にはガイズン・ドールズの「There's A Whole Lot Of Loving」が。彼らは元々スタジオ・プロジェクトとして吹込まれたこの曲のプロモーションのために集められた男女6人組だったそうで、これはさしずめニュ−・シ−カ−ズ風のイージーリスニング・ポップ。大ヒットとなったためグループは活動を継続し、以降3年間UKチャートに登場し続けました。78年後半にはグループから男女2人が独立し、ニューウェーブ・ポップデュオ「ダラー」を結成。より大きな成功を収めることになります。残されたグループの方は4人組のままヨーロッパ大陸に活動の場を移し、主にオランダで人気を博したばかりでなく「世界歌謡祭」出場のため来日も果たしたそうです。

 最後は珍しい、ジョニー・マティスの「愛のとりこ」。この曲は1973年に彼がフィラデルフィアに乗り込み、トム・ベルのプロデュースで制作したアルバム「I'm Coming Home」に収録されていたものですが、何故かこの時期にイギリスでヒット。これはスタイリスティックスのヒット曲(72年米10位/英9位)のカバーで、この頃イギリスではスタイリスティックスが物凄い人気になっていたため、レコード会社が便乗盤を発売したのかも知れません。ともあれ、マティスにとっては63年の「What Will Mary Say(米9位/英12位)」以来12年ぶりのUKヒットとなりました。


(2004.3.16)

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