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■ CASH BOX TOP 100 SINGLES: Week ending November 6, 1976
01 Rock'n Me - Steve Miller (Capitol)
02 Disco Duck (Pt. 1) - Rick Dees & Cast Of Idiots (RSO)
03 The Wreck Of The Edmund Fitzgerald - Gordon Lightfoot (Reprise)
04 If You Leave Me Now - Chicago (Columbia)
05 Muskrat Love - Captain & Tennille (A&M)
06 She's Gone - Daryl Hall & John Oates (Atlantic)
07 (Don'n Fear) The Reaper - Blue Oyster Cult (Columbia)
08 More Than A Feeling - Boston (Epic)
09 Beth - Kiss (Casablanca)
10 Fernando - Abba (Atlantic)
昭和51年11月第1週のキャッシュ・ボックスチャート、ナンバー1はスティーヴ・ミラーの「ロックン・ミー」でした。
60年代後半サンフランシスコからスティーヴ・ミラー“ブルース”バンドとしてシーンに登場した彼らは、当初ボーカルにボズ・スキャッグス(この週のチャート30位にブレイク作「Lowdown」がランクイン中)を擁し、ブルースロック道を邁進していましたが、70年代に入るとより親しみやすいポップロックを演奏するようになり「The Joker(73年1位)」で大ブレイク。それから約3年のインターバルをおいて発表したアルバム「Fly Like An Eagle」からはタイトル曲など数々のヒットが生まれてさらなる成功を収めました。「ロックン・ミー」も冒頭のギターでリスナーの耳をがっちり捕らえるタイプのキャッチーなロックナンバーです。
続いて2位は日本でもお馴染みのラジオDJ、リック・ディーズのディスコ・ノベルティ「ディスコ・ダック」。ディスコサウンドにのせてドナルド・ダックのような声でまくし立てるこの曲は、彼の地元メンフィス以外で大ヒット(当地の彼のライバルDJが、この曲をラジオで流す筈ないですよね)、全米ナンバー1を記録。彼はその後より条件のいいラジオ局に招かれて現在の地位の足がかりをつかみました。それにしても、もし当時「リック・ディーズTOP40」が存在したら、この曲は一体何週間1位を続けたんでしょう??
1976年というと“ディスコ時代”がいよいよ本格化し始め、この年のチャートはかなりの数のディスコナンバーにトップを占められることになるのですが、この週に限っていえば「ディスコ・ダック」を除くと概ねメロウなナンバーが大半であることに気づきます。この週3位に入っているのは、カナダ出身のシンガーソングライター、ゴードン・ライトフットの「エドマンド・フィッツジェラルド号の難破」。古くからアメリカの音楽界では船の事故が歌の題材になることがあり、1920年代にはタイタニック号の沈没をネタにした歌が多く生まれたそうですし、1950年代には「The Wreck Of The John B(「Sloop John B」のタイトルでも知られています)」なんて曲もありました。この曲も古〜い史実についての歌のような印象がありますが、実はこれ、この前年1975年11月に五大湖で起こり、船員29名全員の命を奪った海難事故を歌ったもの。
ちょうど事故から一周年ということでこの曲はラジオで頻繁に流され、この翌週にはチャートの1位を記録。以降もこの曲は毎年11月10日の追悼式で必ず演奏され続けているそう。ただし現在ライトフットが9月以来入院生活を送っているようなので、式に彼が登場するようなことはなさそうですが。日々のニュースのインパクトがいちいち強すぎて、昨年の「えひめ丸」の一件さえ記憶の彼方に追いやられてしまいそうな私たちにとっては、ちょっと身につまされる一曲かも知れません。
4位はシカゴの「愛ある別れ」。60年代後半に“ブラスロック”の形態で華々しく登場し、政治色の強いメッセージをアルバムに込めて発表し続けた彼らは、1974年の「Wishing You Were Here(最高9位)」あたりからホーンや激しいギターサウンドを控え、ピーター・セテラのハイトーンなボーカルを中心に穏やかなバラードを売り物としていきます。この曲はその中で最も成功した一曲で、この路線はバンドの精神的支柱であったギタリストのテリー・キャスの事故死(78年)を経て、復活を果たす80年代により強く打ち出されることになります。
続く5位はこの時代のポップスの代表的存在、キャプテン&テニールの「マスクラット・ラヴ(恋のデュエット)」。“アダルト版カーペンターズ”としてA&Mレコードから売り出されたこの夫婦デュオは、様々なアーティストの作品を取り上げ、それらをヒットチャートの上位に送り込みましたが、これはアメリカが73年にヒットさせた(33位)曲のカバー。ただし彼らは単なる“カバー屋”ではなく、奥方のトニー・テニールのペンによる「The Way I Want To Touch You(75年3位)」「Do That To Me One More Time(79年1位)」といった、二人の夫婦生活を歌ったとしか思えないようなヒット曲も見逃せません。6位には次代のスター、ホール&オーツの「追憶のメロディ」。彼らはRCAから発表した「Sara Smile(76年6位)」でブレイクし、翌77年の「Rich Girl(1位)」で人気グループとなりますが、この曲はそのリリースの間隙をついて古巣アトランティックが再リリースしたシングル(オリジナルは74年52位)。彼らの活躍はこの先いやってほど取り上げることになるので、今回はサラっと流します。
そして7位、8位、9位には如何にも70年代的な大型ロックバンドが登場。まずはハードロックバンド、ブルー・オイスター・カルトの「死神」。いきなり「死神」ですか。彼らは“アメリカ版ブラック・サバス”を目指して立ち上げられたプロジェクトだそうで、なのでかなり意識的にヘヴィ・メタルとか、悪魔崇拝とか、そういったイメージを打ち出していた模様。ただ、ボーカルの声質が結構ソフトなので、今聴くとヘビメタ嫌いな方にもそれほど抵抗はないと思われます。この曲もかなりラジオを意識したようなメロウな曲調で、後半登場するギターソロがなければ誰もハードロックバンドとは思わないでしょう。ともかくこの曲及びアルバム「Agents Of Fortune」のヒットで彼らはメジャーバンドの仲間入りを果たしました。
余談ですが彼らがこの翌年発表したアルバム「Spectres」の中に「ゴジラ」という曲がありまして。来年“元”ジャイアンツの松井選手が大リーグで活躍する姿がブラウン管に登場すると、BGMとして頻繁にこの曲を耳にすることになるかもしれません。8位はマサチューセッツ工科大学出のトム・ショルツが作り上げた“理系サウンド”ボストンの「宇宙の彼方へ」。この曲を収録した彼らのファーストアルバムはたちまち1000万枚を超えるセールスを記録し、一大センセーションを巻き起こしましたが、彼ら(というより“彼”ショルツ)がロック史で知られているのはその“完璧主義”ぶり。この2年後に発表したセカンドアルバムが前作を下回るセールスに終わった(それでもナンバー1を記録)ことに対しショルツは「思うようにレコーディングに時間がかけられなかった分だけ、セールスが落ち込んだんだ。」とレコード会社を告訴。驚くべきことにその裁判に勝った彼は以降1986年、1994年と「8年周期(かなり後付けっぽい気がしますが)」でアルバムをリリース。ということは今年2002年が次の“8年目”になるのですが、どうやら新作がリリースされるようです。もうすぐヒットチャートに登場するはずなので、楽しみに待つことにしましょう。
9位にはこの時代を代表するロックアイドル「キッス」が。ハードロックにグラムロック的な禍々しさを加味し、漫画化したような彼らの世界は、批評家には酷評されたようですが若年層を中心に熱狂的なファンを生みました。彼ら最大のヒットであるこの「ベス」は、これまたラジオ向きなバラード。日本でもカップリングの「デトロイト・ロック・シティ」とともにラジオで盛んにかけられたようです。そして最後10位はアバの「悲しきフェルナンド」。北欧産のポップスもアメリカのラジオで受け入れられ、年末には「Dancing Queen(1位)」が爆発します。
(2002.11.5)Flashback Homecopyright (c) 2000-2003 by meantime, all rights reserved. |