Presented by meantime
日本でもディスコ・ブームが顕在化してきたこの頃、アメリカではそのムーブメントを象徴するような大ヒットが生まれます。ポップとR&Bチャートの両方を征したこの月4位の「The Hustle」を送り出したのは、他ならぬスタイリスティックスのアレンジャー、ヴァン・マッコイ。彼が当時流行していたステップ「ハッスル」を題材に、フルート(?)と爽やかなコーラス、そしてお約束の朗々としたトランペットが曲を駆け抜けていくポップなダンスナンバーを作ったところ、これが大当たり。マッコイの優れた嗅覚が生み出したメガヒットといえますが、日本においてはスタイリスティックスの恩恵が大だったことは、そのアーティストクレジットを見れば明らか(本国では“ソウル・シティ・シンフォニー”名義でした)。更に我が国ではこの曲と同じアルバムに収録されていた「Disco Baby(この月6位)」もヒットしました。
続いてこの月のチャートに登場しているディスコナンバーを順に紹介していきましょう。まず2位はK.C.&ザ・サンシャイン・バンドの「That's The Way (I Like It)(米1位)」。「ザッツァウェイ、アハアハ・・」と喘ぎ声のようなフレーズが延々と続くこの曲を大当たりさせた彼らは、アメリカ南部のR&Bとカリブ海の音楽がミックスされた“マイアミ・サウンド”を売り物にしたTKレコードで最もコマーシャルな部分を担当していましたが、その音楽性の高さ(私は彼らを一流のR&Rバンドと考えています)は、時代に便乗したキワモノ、と切り捨てられても仕方がないこの曲が、20数年を経た現在もなお色褪せることなく、新しい世代のリスナーにインスピレーションを与え続けているという事実が証明しています。
続いて5位の方は、今度はちゃんとした(?)キワモノ、バンザイの「Chinese Kung Fu(米98位)」。前年の大ヒット「吼えろ!ドラゴン」の影響大なカンフーものながら、グループ名は「万歳!」という西洋人の東アジア観を如実に表しているこの作品は、フランスのスタジオグループによる録音。元々「ディスコティーク」という言葉自体フランスから生まれているからか、この時代はフランス生まれの正体不明なダンスナンバーが世界中で次々とヒットしました。そういえばこの曲、日本では故ジャンボ鶴田の入場テーマにも使われていたそうですね。なんだか力が入らなそう。。そして、フランスの次はドイツ。7位のシルバー・コンベンション「フライ・ロビン・フライ(米1位)」はミュンヘンのダンスシーンから生まれたインターナショナル・ヒット。ディスコミュージックの最大の功績は、国籍も、人種も、言語も関係なく、気の利いたビートとキャッチーなフックが作れれば世界の何処でも受け入れられ得るという音楽のユニバーサルな可能性を提示した点にあるのではないかと思います。その意味では、何百年か先に“20世紀で最も重要な音楽”と評価される可能性もありますね。
そしてフランスからもう一曲、これはディスコに含めて語るべきものではないと思いますが、勢いでいっちゃいます。8位のポール・モーリア「El Bimbo」はフランスで盛んに競作され、英語圏では“ビンボー・ジェット”なるスタジオバンドによってヒットしたダンスナンバー(米43位/英12位)。しかし日本では圧倒的にモーリア盤がヒットしました。
日本では古くから多くの海外オーケストラがヒットチャートを賑わせていましたが、70〜80年代にかけては、ポール・モーリアがずば抜けて安定した人気を誇りました。その理由を十分な資料が入手できない中あれこれと推察してみたのですが、とりあえずポイントは以下のものではないでしょうか。
ダンスつながりでもう一曲、9位に登場しているのはファンク界の怪人、ジミー・キャスター・バンチ「King Kong(米69位)」。ラテン色豊か且つ極端にキャラクター化された彼の音楽は当時アメリカでも異彩を放っていましたが、日本でこの曲がヒットしたのはもっと異色。多分前年にヒットした「ソウル・ドラキュラ(ホット・ブラッド)」や「ソウル・フランケンシュタイン(キャプテン・ダックス)」に続く“モンスターもの”として盛んにかけられたのでしょう。
残るはあと2曲になりました。3位に入っているのはベイ・シティ・ローラーズの「Saturday Night(米1位)」。“ローラーズ・マニア”は翌年日本で大変なことになるので、今回はあまり触れません。ただ、イギリスではヒットを記録していない曲をアメリカ用のシングルに選び、ヒットチャートの1位に送り込んだアリスタ・レコードの社長、クライブ・デイビスの目の確かさにだけは言及しておきましょう。彼はこの調子で昨年までアリスタをトップレーベルとして運営し、退任後設立した新レーベル、Jレコードでは“男版モーニング娘。”オー・タウンを早速成功させるなど、老いてなおその勘は衰えるところを知らず。彼の業績もいずれ何らかの形でまとめたいところ。
最後10位は現在も効果音として頻繁に使用されるジョン・ウィリアムスの「Main Title (Theme From "Jaws")(米32位)」。この「ジョーズ」をはじめとして、この頃はジェットコースター級のアトラクション・ムービーが次々と生まれた時代でした。
(2001.1.24)Flashback Homecopyright (c) 2000-2003 by meantime, all rights reserved. |