TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart April 8, 1978

01 Matchstalk Men and Matchstalk Cats and Dogs - Brian and Michael (Pye)
02 Denis - Blondie (Chrysalis)
03 Wuthering Heights - Kate Bush (EMI)
04 Baker Street - Gerry Rafferty (UA)
05 I Wander Why - Showaddywaddy (Arista)
06 If You Can't Give Me Love - Suzi Quatro (RAK)
07 I Can't Stand The Rain - Eruption (Atlantic)
08 Follow You Follow Me - Genesis (Charisma)
09 Ally's Tartan Army - Andy Cameron (Klub)
10 I Love The Sound Of Breaking Glass - Nick Lowe (Rader)

 昭和53年4月第2週、UKチャートのナンバー1はブライアンとマイケルの「Matchstalk Men and Matchstalk Cats and Dogs」でした。

 また厄介な曲が全英ナンバー1の週に当たってしまいました。この曲を作り、歌ったブライアン・バークとマイケル・コールマンの2人の経歴を今回探し当てることが出来なかったので(“ブライアンとマイケル”じゃネットで検索しようがない)、周辺情報で固めてみることにします。この曲の題材となったのはイギリスの高名な画家、L.S.ローリーの絵画で、彼は巨大な建築物の周りにマッチ棒のように細長い(Matchstalk=Matchstickのようです)人々を多数配置する構図を得意としており、その様子がなんとなくほのぼのしたこの歌になりました。この曲はまず当時放送されていた土曜朝の子供向け人気番組「Multi-Coloured Swap Shop」で話題となり、その後チャートのトップまで上昇。ブライアンとマイケルの2人はこのナンバー1ヒット以降ヒットチャートに登場することはありませんでしたが、この曲でコーラスをつけていた少年合唱団、セント・ウィニフレッズ・スクール・クワイアの方は2年後の1980年末に再びUKチャートに登場、「There'e No One Quite Like Grandma」がナンバー1を記録します。。

 ・・と、これくらいで勘弁して下さい。ここからが本編です。時代も78年まで来ると、登場するアーティストの顔ぶれもずいぶん変わってきます。この週2位に入っているのは“ニューウェーブの時代”を象徴するポップ・グループ、ブロンディの「デニスに夢中」。ニューヨークで結成された彼らは76年にレコードデビューを果たしましたが、この曲はセカンドの「Plastic Letters」からのカット。1963年にランディ&ザ・レインボーズが放ったヒット(米10位)をバンドサウンドで料理したこのシングルで本国に先駆けイギリスでブレイクし、続いてイギリス人のプロデューサー、マイク・チャップマンを起用したサード・アルバム「Parallel Lines」からのウェル・メイドなポップソング「ハート・オブ・グラス(79年米1位/英1位)」でボーカルのデビー・ハリーは時代の寵児となります。

 続いてマイク・チャップマンつながりで6位のスージー・クアトロ「涙のヤングラブ(米45位)」を紹介しておきましょう。“サディスティック・ロックの女王”のキャッチフレーズ(日本だけか)でロックシーンに登場した彼女は、チャップマン制作の元1973年以降グラム・ロックブームのUKチャートをヒステリックなロックで荒らしまくりましたが、この時期にはやや落ち着いてポップ路線に転向。この曲もアコースティック・ギターが軽快なポップ・ロックですが、チャップマンが時代の流れを読んでデボラ・ハリーに肩入れするようになったからかこれが彼女にとって最後のUKTOP10ヒットになってしまいました。翌79年にはクリス・ノーマンとのデュエット「Stumbilin' In(米4位/英41位)」で念願の母国におけるTOP10ヒットも記録しましたが、後が続かずスージー・クアトロは次第に“70年代”というイメージの中に閉じ込められていくこととなります。

 3位は音楽的にはニューウェーブではないかも知れませんが、その後80年代にかけて彼女に続く様々な女性キャラクターが多数登場したことを考えると、時代の先駆者的存在だった“元祖不思議ちゃん”ケイト・ブッシュの「嵐が丘」。今でもTVなどで耳にする度ハッとさせられるこの歌声、このサウンド。彼女を見つけ出しいきなりこんな作品を作ってしまったピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアも凄いし、「The Kick Inside」というタイトルのアルバムに「天使と小悪魔」なんて邦題をつけてしまった日本のレコード会社も凄い。因みにこの曲はUKチャート初の女性アーティストによる自作曲ナンバー1ヒットなのだとか。まだそんな時代だったんですね。

 そして4位は元スティーラーズ・ホイールのジェリー・ラファティ「霧のベイカー・街(米2位)」。スティーラーズ・ホイールは「Stuck In The Middle With You(73年米6位/英8位)」のヒットで知られていますが、この曲が売れ始めた頃にはラファティは既にバンドを辞めていたそうで、続くヒットの必要のため呼び戻されましたが結局グループは大成せず。以降4年間レコード契約を求め続けた彼はこの年にようやくユナイテッド・アーティスツからのレコード・リリースの機会を得、サックス・ソロのフレーズが耳に残るこの“AOR”でヒットチャートに復活しました。5位は前回も紹介したR&Rリバイバル・バンド、シュワディワディ。今回入っている「アイ・ワンダー・ホワイ」はディオンとベルモンツのヒット(58年米22位)のカバーで、前年からの彼らの都合7曲に及ぶ連続TOP5ヒットは、この年いっぱい続きます。

 7位にはディスコもの、エラプションの「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン(米18位)」アン・ピーブルズのソウル・クラシック(73年米38位)をユーロ・ディスコ化したこの曲のプロデュースはボニーM.でお馴染みのフランク・ファリアン。ボーカルのプレシャス・ウィルソンはその後ソロとして86年に「I'll Be Your Friend」のR&Bヒットも放っています。そして8位にはジェネシスが。プログレ・バンドとして70年代を生き抜いた彼らでしたが、ピーター・ガブリエルが、そしてスティーヴ・ハケットが脱退して3人組に。「And Then There Were Three(そして3人が残った)」というそのものズバリなタイトルが付けられたアルバムからカットされたポップな「フォロー・ユー・フォロー・ミー(米23位)」はアメリカでも彼らに初のTOP40ヒットをもたらし、グループは新たな活路を見い出すことになります。もはや時代遅れか?と思われたジェネシスは、ニューウェーブの時代を越して“80年代最大のポップ・バンド”に君臨することとなるのですが、この曲はその分岐点的存在といえるでしょう。

 9位アンディ・キャメロンの「Ally's Tartan Army」というのはサッカーもの。この年はアルゼンチンでワールドカップがあり、そこに出場したスコットランド代表を応援したものだとか。なお“アリー”というのは当時チームの監督を務めていたアリー・マクロードのことで“タータン・アーミー”はスコットランド代表の通称。これ以上の説明はいらないですよね。最後10位は日本でも大人気、ただこの当時は多分あまり知名度のなかったニック・ロウの「(I Love The Sound Of) Breaking Glass」。デイヴ・エドモンズやエルヴィス・コステロらとのコラボレーションを通じてUK“通好み”ロックの一つの流れを作った彼の、この時期の彼の代表的なヒットといえば翌79年に生まれる「Cruel To Be Kind(『恋する二人』英12位/米12位)」の軽快なポップロックをまず思い浮かべますが、こちらはニューウェーブ・ムーブメントを意識してか、かなりヒネッた感じの作り。こんなコーナーでニック・ロウを紹介できたことをまずはよしとしましょう。


(2004.4.13)

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