TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Cash Box Top 100 Singles: Week ending December 8, 1979

01 Babe - Styx (A&M)
02 No More Tears (Enough Is Enough) - Barbra Streisand & Donna Summer (Columbia)
03 Please Don't Go - KC & Sunshine Band (T.K.)
04 Escape (The Pina Colada Song) - Rupert Holmes (Infinity)
05 Still - Commodores (Motown)
06 Ladies Night - Kool & Gang (De-Lite)
07 Send One Your Love - Stevie Wonder (Tamla)
08 You're Only Lonely - J.D. Souther (Columbia)
09 Heartache Tonight - Eagles (Asylum)
10 Dim All The Lights - Donna Summer (Casablanca)

 昭和54年12月第2週、キャッシュ・ボックスチャートのナンバー1はスティクスの「ベイブ」でした。

 スティクスは60年代後半にシカゴで結成されたロックバンド。1974年の「Lady(米6位)」で名を知られるようになりましたが、本格的なブレイクを果たしたのはレコード会社をA&Mに変え、ギタリストにトミー・ショウが加入した1976年のこと。以降彼らはもの凄い数のヒットを放ってTOP40の常連的存在となり、この「Babe」で初のナンバー1を獲得しました。この曲はツアーに明け暮れる毎日の中、妻に会えない寂しさを歌ったもので「たとえどんなに離れていても、お前が俺には最後の女。」みたいな、どうも“みちのくチック”な感じが気になりますが、こういうテーマは当然のことながらラジオで大変な共感を呼ぶ訳で、これだけのヒットとなりました。

 それにしても、以前も書きましたが大型ロックバンドのボーカルって、どうしてみんなハイトーンなんでしょう?音響学的に解りやすく説明して下さる方募集します。「聴きゃあ判るじゃん。」の一言で終わってしまいそうな気もしますが。逆に90年代に入ると、若い世代のバンドからハイトーンなボーカルは減っていくんですよね。これは余談。なお彼らは80年代に入っても順調にヒットを生み続け、81年のアルバム「Paradise Theater」で頂点を極め、80年代半ばには一旦解散状態になります。90年代以降はメンバー間の微妙な人間関係を反映しながら、現在に至るまで何度か再結成を果たすことになりますが。

 2位はバーブラ・ストライザンドとドナ・サマーの異色共演「ノー・モア・ティアーズ」。この曲はドナ・サマーに「Last Dance(78年4位)」を提供し成功したソングライターのポール・ジャバラが、続いてストライザンドから依頼を受けて提供した「The MainEvent/Fight(79年3位)」をヒットさせたことが縁で実現したもの。レコーディングの際は“女王対決”ということで世代は違いながらもお互い大変なライバル意識だったそうで、どちらが相手より高い声が出せるか、長く声を出し続けられるかという壮絶な“メス同士”のバトルが繰り広げられたとか。あまりにも気張りすぎたドナ・サマーが、ボーカル録音中に椅子から転げ落ちたなんて逸話も見ましたが、本当でしょうかね。

 今聴いてみると派手さばかりが目立ってこれが名曲か?という感はありますが、時代の勢いもあってこの曲は翌週1位を記録。現在でも双方の気概はビシビシ伝わってきます。先日発売されたストライザンドの歴代デュエット作品集「Duets」にもしっかり収録されていますので、その味わい深い世界を今一度ご堪能下さい。あと、ドナ・サマーはこの週もう一曲10位に「Dim All TheLights」をランクインさせています。ここまでの2年間に3組のダブルアルバムを発表し、シングルをことごとくチャート上位に送り込んできた彼女でしたが、その超人的な活躍が実は殆ど彼女の懐を潤していないことに気づき、所属のカサブランカ・レコードと係争。翌年ゲフィン・レコードに移籍することとなります。

 1970年代も大詰めを迎えていたこの時期、ドナ・サマーをはじめ70年代半ばより続いた“ディスコ時代”を謳歌したアーティストたちは次の一手を考えなければならない状態にありました。3位のK.C.とサンシャイン・バンドはその典型。これまでダンスナンバーばかりシングルとして発表してきた彼らが初めてバラードをリリース。これが意外な反響を呼び大ヒットとなりました。が、この曲をもって彼らはチャートからフェイドアウト。所属していたT.K.レコードも80年代半ばに倒産しました。K.C.の方はソロとしてあと暫くヒットを放ちましたが、現在は再編サンシャイン・バンドを率いてオールディーズ・サーキットを巡業しているようです。

 続いて4位に入っているのはルパート・ホルムズのアダルトなロック「エスケイプ」。これは倦怠期に陥った恋人同士が、思いがけない方法でお互いの相性のよさを確認するという「絶対あり得ない恋の“ちょっといい話”」。サブタイトルの「ピニャ・コラーダ」はラムベースのカクテルで、これが物語のキーワードの一つとなっています。

 5位、6位には“ディスコ時代”を抜けて全盛期を迎えたR&Bバンドが。5位は“リッチー全盛期”のコモドアーズによる感動的なバラード「スティル」。彼ら、というかリッチーは他のグループに先駆けて音楽性をバラードに絞り込み、来るべき「ブラコン」時代に備えたのでした。6位は新生クール&ザ・ギャングの「レディース・ナイト」。70年代初頭から数々のファンクナンバーをヒットさせてきた彼らは、それまでかなり通好みな印象のあるバンドでしたが、ボーカルにジェイムス“JT”テイラーの加入と、プロデューサーにデオダートを起用したことをきっかけにポップな音楽性に大変身。この曲をきっかけに連続ヒットの山を築き、翌年には「Celebration」のナンバー1ヒットをものにすることとなります。

 7位にはこれら70年代後半のR&B界の動きに殆ど左右されることがなかった孤高の存在、スティービー・ワンダーが。70年代半ばまでの彼の作品には端々に怒りに似た感情の発露が見られましたが、この時期あたりから非常に穏やかな作風のものが大勢を占めるようになります。この曲も非常に穏やかなサウンドの中、スティービー意外考えられない、という彼ならではの音楽要素がぎっしり詰まった感じの作風。この時期彼はまだ20代ですが、既に円熟期を迎えたということなんでしょうかね。

 8位はこの時期を代表するポップスの一つ、J.D.サウザーの「ユア・オンリー・ロンリー」。西海岸ロック人脈の重要人物として様々なアーティストに作品を提供し、またサウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドの一員として「Fallin' In Love(74年24位)」というヒットも記録している彼が、このロイ・オービソンへのオマージュと思しき60年代スタイルの曲でソロとしては初めてTOP40入り。アーティストとしてはヒットの少ない彼ですが、81年にジェイムス・テイラーと組んで発表した「Her Town Too」など、いい感じで大変私は好きだったりします。

 で、最後9位にはそのサウザーも共作者として名を連ねているイーグルスの「ハートエイク・トゥナイト」がランクイン。前作「Hotel California」の大成功を受けて、大変なプレッシャーの中制作されたアルバム「The Long Run」は無事大ヒットを記録しましたが、メンバー間の人間関係はガタガタ、この作品をもってバンドはほぼ解散状態となりました。ある意味70年代の終焉を象徴する出来事であったといえるかもしれません。

(2002.12.10)

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