TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ Record Mirror Singles Chart April 21, 1979
01 Bright Eyes - Art Garfunkel (CBS)
02 Some Girls - Racey (RAK)
03 Cool For Cats - Squeeze (A&M)
04 Shake Your Body (Down To The Ground) - Jacksons (Epic)
05 Pop Muzik - M (MCA)
06 Hallelujah - Milk & Honey (Polydor)
07 The Logical Song - Supertramp (A&M)
08 Silly Thing/Who Killed Bambi - Sex Pistols (Virgin)
09 Goodnight Tonight - Wings (Parlophone)
10 The Runner - Three Degrees (Ariola)
昭和54年4月最終週、UKチャートのナンバー1はアート・ガーファンクルの「ブライト・アイズ」でした。
これまた意外なアーティストがUKナンバー1になっていますね、ご存じアート・ガーファンクルは1970年のサイモンとガーファンクル解散後この年までに4枚のアルバムを発表し、その「天使の歌声」は英米で幾つものヒットを放ちました。本国アメリカでは最初のシングル「All I Know(73年米9位)」が彼にとって唯一のTOP10ヒットですが、イギリスでは「I Only Have Eyes For You(75年米18位)」とこの曲がチャートの1位に輝き、また違った人気を誇っていたようです。「ブライト・アイズ」はイギリス製のアニメーション映画「Watership Down(ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち)」の主題歌で、作曲は何週間か前に紹介した「ウォンブルズ」の生みの親、マイク・バット。アメリカでは大したヒットにはなりませんでしたが(アダルト・コンテンポラリーチャート最高29位)、イギリスでは映画人気と、山の彼方から聴こえてくるような美しいサウンドと歌声が人々の心を捉え、6週間チャートのナンバー1を独走、ミリオンセラーを記録しました。
2位に入っているのはポップ・ロックグループ、レイシー。これはプロデューサーのミッキー・モーストが見つけてきたバンドで、所属レーベルがこれまで何度か出てきた「RAK」というだけで、ある程度サウンドが読めてしまう感じ。スージー・クアトロまでは言いませんが、マッドと何処が違うの?という中庸ポップス。彼らは78年の「Lay Your Love On Me(英3位)」と今回登場している「Some Girls」をTOP10に送り込みましたが、80年代の声を聞く頃にはチャートから姿を消していました。続く3位はレイシーと比べたら全然重要なグループ、スクイーズ。パブ・ロックとニューウェイブの中間的雰囲気を醸し出していた彼らは1977年に元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルのプロデュースでデビューを果たしましたが、彼のもとを離れて録音したセカンド「Cool For Cats」で本格的にブレイク。シンセ・ビートが印象的なこの曲は彼らの長いキャリアを通じて最大のヒットの一つとなりました。ただ、スクイーズが本領を発揮しUK随一の“通好みポップ・バンド”となるのは80年代に入ってからのことなので、これは多くのファンにとって“前史”的なヒットなのかもしれません。
ニューウェーブ、そしてパンクとくればその流れを象徴するバンド、セックス・ピストルズも今回チャートの8位に登場しています。彼らが「Anarchy In The UK(英38位)」でデビューしたのが76年末、その後ヴァージンに移籍して「God Save The Queen(英2位)」以降ヒットを連発するのが77年の夏ですから紹介がずいぶん遅くなってしまった印象は否めません。なにしろ彼らは78年初頭のアメリカツアーで空中分解し、ジョニー・ロットンはバンドを脱退。マネージャー/プロデューサーのマルコム・マクラーレンは形骸化したピストルズをいろんな形(元列車強盗をボーカルに据えたり・・)で継続しようとしましたが当然のことながら商業的に低迷することに。約一年後にベーシストのシド・ヴィシャスがガールフレンド殺害容疑の保釈中にドラッグのオーバー・ドースで死亡した“話題性”にのってリリースした「Something Else(79年英3位、リードボーカルはヴィシャス)」で“ヒット・グループ”としての彼らは実体のないまま暫し復活、続く“お前はくだらない奴だ”とひたすら歌っているこの「Silly Thing」もヒットを記録しました。誰がボーカルをとっているのか知りませんが“ポップ・パンク”としてはよく出来ている曲だと思います。日本の多くの“パンク・バンド”は、この空虚さをお手本にしているようですね。
1979年のUKチャートと聞けば、多くの音楽ファンはピストルズ以下ニューウェーブ一辺倒な顔ぶれを思い浮かべると思いますが、実態はどうも違うようです。ここで最大勢力を誇っているのは“ディスコ”、その系統の曲を紹介していきましょう。4位はジャクソンズの「シェイク・ユア・ボディ(米7位)」。70年代半ばにモータウンを離れ、改名した彼らは全盛期ほどではないにしても相変わらずヒットを放ち続け、ディスコの時代を生き延びました。まだ“黒かった”マイケル・ジャクソンのボーカルも絶好調、彼はこの数ヶ月後にソロアルバム「Off The Wall」を発表し“キング・オブ・ポップ”の称号を得るに至る怒濤の80年代に突入していくこととなります。
さて、ジャクソンズが前述の通りモータウンを離れた際は、移籍先での第一弾アルバムの制作を当時モータウンのライバル的存在だったフィラデルフィア・インターナショナルに依頼しましたが、そこで花形女性グループとして人気を誇っていたのがこの週10位に入っているスリー・ディグリーズ。彼女たちは本国でもMFSBにフィーチャーされた「T.S.O.P.(74年米1位)」、そして「When Will I See You Again(同2位)」で人気者となりましたが、イギリスや日本に於ける人気はそれを凌ぐものがあり、ヒット曲の数は本国のそれを遥かに上回ります。フィリー・ソウル衰退に伴いアリオラに移籍した彼女たちは活動の重点をヨーロッパに移していき、この「The Runner」などはほぼ純正の“ユーロ・ディスコ”といった感じの作風にまで変貌していますが、この時代でも「Woman In Love(79年英3位)」のような名作バラードが生まれていたことを見落としてはいけません。
順位を戻して5位にはディスコ+テクノのM「ポップ・ミューヂック(米1位)」が。ロビン・スコットという名のミュージシャンが生み出したこの曲は、スタイル的にはむしろいにしえの雰囲気(サーカスの音楽とか)さえ感じさせるものですが、時代の空気をよく捉えたサウンドとアイディアで“偉大なる一発ヒット(実際にはイギリスで4曲のヒットを放っている)”となりました。更に9位にはウィングスの「グッドナイト・トゥナイト(米5位)」が。大変な隆盛を誇ったディスコ・サウンドは多くのロックミュージシャンに影響を与えることになりましたが、これはそのポール・マッカートニー版。彼はこの年いっぱいをもってウィングスとともにした70年代に別れを告げ、ビートルズ解散10年目にして2枚目のソロアルバム「McCartney II」で“ソロ時代”に乗り出していくこととなります。
残りの曲は簡単に。6位に入っているミルク&ハニーはイスラエルのポップグループ。70年代のUKチャートを10年分紹介してみると、それまで殆どこの分野の知識がなかった私でもある程度傾向がつかめてきます。この手の出自不明なアーティストがヒットチャートの上位に登場するのは、大概「ユーロヴィジョン」がらみですね。このグループの正式名称は「ガリ・アタリとミルク&ハニー」という“敏いとうとハッピー&ブルー”チックなもので、アタリさん(女性ボーカル)を中心とした4人組。聴いてみたらこれが物凄く素朴なポップスで、ヨーロッパの人々のツボはここら辺なのか!?といった感じ。彼女は現在もイスラエルで人気アーティストとして活躍しているそうです。
最後7位はスーパートランプの「ロジカル・ソング」。60年代末に結成された彼らは70年代半ばになってヒットチャートに登場、しかし彼らを誰もが知るようになるのはこの年にリリースされたアルバム「Breakfast In America」によってでした。このアルバムはアメリカで6週間1位を記録、ヒットも何曲か生まれましたが中でも好成績を残したのがこの「ロジカル・ソング(米6位)」。この時代の類型的な音(大掛かりなサウンド、ハイトーンなボーカル・・)なんて書き方するとリアルタイムの方に怒られるかも知れませんが、如何にもラジオ・フレンドリーな感じで耳馴染みがよいです。日本ではこの次にイギリスでシングルカットされたアルバムタイトル曲(英9位/アメリカでは翌年にライブバージョンが最高62位を記録)がTVCF効果もあって“洋楽ヒット”となりました。
(2004.4.27)
copyright (c) 2000-2004 by meantime, all rights reserved.