TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ 洋楽シングルチャート 1985.6.20

01 ウィ・アー・ザ・ワールド(12インチ盤)/USA for AFRICA(CBS Sony)
02 ウィ・アー・ザ・ワールド/USA for AFRICA(CBS Sony)
03 DJイン・マイ・ライフ/アニー(Epic)
04 007 美しき獲物たち/デュラン・デュラン(EMI)
05 シャウト/ティアーズ・フォー・フィアーズ(Mercury)
06 エンジェル/マドンナ(Sire)
07 ネバーエンディング・ストーリーのテーマ/リマール(EMI)
08 クレイジー・フォー・ユー/マドンナ(CBS Sony)
09 サム・ライク・イット・ホット/ザ・パワー・ステーション(EMI)
10 ルール・ザ・ワールド/ティアーズ・フォー・フィアーズ(Mercury)

 邦楽チャートでは菊地桃子の「BOYのテーマ」がナンバー1を記録していた昭和60年6月、洋楽チャートの1、2位を独占していたのはUSAフォー・アフリカの「We Are The World(米1位/英1位)」でした。

 さぁ、時代はここまで近づいてきました。1980年代中盤の洋楽を語る際に避けて通れないのが以前取り上げた「サントラ・ヒット」と、今回紹介する「チャリティ」。レコードを発売し、その収益をチャリティに充てるという“イベント”は別に新しいものではなく、メディアをレコードに限らずライブも含めれば、その歴史はそれこそ中世にまで行き着いてしまうのではないか?という感もあるのですが、話をロック時代に限ればそのエポックメイキングな出来事は70年代の「コンサート・フォー・バングラディッシュ」と80年代の「バンド・エイド」の2つ、ということになるのではないかと思います。

 「〜バングラディッシュ」はこれまでに様々な方が様々な切り口で語ってきていますし、今回のコラムの主題でもないのでおいとくとして、「バンド・エイド」の話を。この前年のクリスマスシーズン、イギリスの人気ミュージシャンを中心に召集がかけられた面々はアフリカの飢える子供たちのために「Do They Know It's Christmas」を録音、この曲は忽ちイギリスで1位を記録しました。このニュースはレコーディングスタジオに次々と登場する人気アーティストたちの姿が収められたPVとともに世界中に紹介され、アメリカでもミリオン・セラーを記録します(季節ものだったのでチャート的には最高13位に終わりました)。

 で、それを受けて「オイしいところを持っていかれた!」とアメリカ芸能界が思ったのかどうか判りませんが、人種問題に熱心に取り組むハリー・ベラフォンテの提唱、という形でアメリカの新旧人気アーティストが集ったのが「USA for AFRICA」。

 作曲はライオネル・リッチーとマイケル・ジャクソン、プロデュースはクインシー・ジョーンズという“ブラコン人脈”で制作され“アメリカ芸能界代表”として発表されたこの曲は、その顔触れを見るとマイケル関連のモータウン・ファミリーや当時リッチーをマネージしていたケニー・ロジャースの人脈、クインシー・ジョーンズつながり、そしてこのシングルを発売したコロンビア・レコード所属のアーティストと、実は非常に限定された範囲で集められたものだった印象もありますが、それでも充分「紅白歌合戦」的な豪華さを持ったキャスティングに成功しました。中でもクインシーの幼馴染みレイ・チャールズと、コロンビアがスタジオに連れ出すことに成功したボブ・ディランの起用は作品にそれなりの重みを与え、ただのお祭り騒ぎで終わらぬなにか意義のあるもののような印象を持たせました。この成功が、この年の夏の大規模なライブ・イベント「ライブ・エイド」につながっていったのは、間違いないでしょう。

 ・・と、だんだん調子が出てきたのですが、「We Are The World」を巡る様々な事柄をまとめたり、色々と思いを巡らせたりするだけで、ゆうに本一冊分の文章が湧き出てきそうな気がしてきました。もしかしたらそういう本が何処かでとっくに出ているかも知れませんが、この件はいずれミーンタイム・ホームページのネタにすることにします。ご意見、ご要望のある方是非メール下さい。参考にさせていただきます・・と、中途半端にトピックを切り上げてしまうのは、私がこの原稿を平日の深夜に書いているせい。先を急がねば。。

 続いて3位は日本のみヒット、アニーの「DJ In My Life」。これはホンダのスクーター「DJ」のCMソングで、日本制作の“洋楽”。詳しく調べられなかったのですが、アニーはイタリア系のシンガーで当時20歳(本当か?)。CMで流れたサビの部分が印象的で、覚えている方も多いと思います。この時期どういう訳かスクーターのCMからヒット曲が生まれることが多くて、各社色々と工夫を凝らした(時に勇み足気味なものも多くありましたが)CMを流していたことを子供心に覚えています。実はこの流れって現在も続いていて、この前など「メール機能付スクーター」なんていうCMを見てかなり笑いました。いっそのこと「早朝出勤の忙しい貴方のために、カプチーノが煎れられるスクーター発売!」なんてチャップリンの「モダン・タイムス」的なものまで作ってくれたら、珍品好きには堪らないと思うんですが。

 なおこの曲は後年ヤックン、モックン、フックンの「シブがき隊」がカバーし、海賊FM局を舞台にした彼ら主演の映画主題歌に使用されました。こちらで覚えている方もいるかも知れません。

 4位はこのメルマガが出ているちょうど今来日中のデュランデュラン「A View To A Kill(米1位)」。MTVの時代に突出したアイドル人気を誇った彼らはそのルックスとR&Bテイストを上手く取り入れたサウンドで英米(勿論日も)でヒットを連発しましたが、その黄金期はそろそろ終わりを迎える時期にありました。まだロジャー・ムーアがボンドを演じていた(古っ!)「007」シリーズ主題歌のこの曲、これをもってグループは分裂を始めます。。

 丁度その分裂の兆しを見せたプロジェクトの曲もチャートに顔を出しているので一緒に紹介しておきましょう。ギターのアンディとベースのジョンが参加したユニット、ザ・パワー・ステーションはシックのトニー・トンプソンとバーナード・エドワーズ(プロデュース)に、ボーカルでロバート・パーマーが加わった強力なグループ。まずこの「Some Like It Hot(米6位)」が大ヒット、続いてT-Rexのカバー「Get It On(米9位)」がオリジナルを超える成績を挙げ、洋楽シーンにインパクトを残しました。

 曲のヒットばかりでなく、エドワーズ所有のスタジオからとられた“パワー・ステーション”サウンドは、ドラムのアタック音の頭と尻を切り取るような処理(こうすると音が唐突に現れ、消えるようなインパクトの強いものになる)が大変な反響を呼び、日本でも“パワステもどき”なサウンドが溢れる現象を引き起こしました。そういえばこの手のサウンドを非常に器用に作り上げる“NOBODY”というアーティスト/プロデューサー・チームが日本にいましたが、彼らは最近なにをやっているんでしょう?情報求む。

 元々アルバム1枚だけのプロジェクトということでパワー・ステーションは短命に終わったのですが、ロバート・パーマーは続いてデュラン組抜きでソロアルバムを制作、「Addicted To Love(86年米2位)」を皮切りにヒット曲を連発し、一時は「主婦のアイドル」とまで揶揄されるアダルト・ロックの大スターになりました。一方デュラン側はこの85年にアンディが独立、ドラムのロジャーが田舎の牧場に引き蘢ってグループ解体、暫くトリオ編成で活動を続けることになりました。90年代後半にジョン・テイラーが抜けた時には流石に「もはやデュランじゃなくて、アーケイディア(パワー・ステーションに対抗してサイモン、ニック、ロジャーが結成したユニット)だろっ!」という声も聞かれましたが。。

 さて。もしかしたら彼らの来日公演を渋谷で観て、その興奮覚めやらぬまま自宅でこのメルマガを読んでいる方もいるかも知れません。そんな方はとっくに知っていることですが、来日公演終了後、本国に帰った彼らには大仕事が待っているのです。それは「オリジナル5人による再結成!!」・・大変です。あの5人が再び集結して活動を始めるのです!私も色々気になっていまして「アンディは今も裸足でステージに立つのか?」「ロジャーは本当に生きているのか??」等々疑問は尽きぬ。オリジナルの5人が再び来日公演を行う際には、かつての洋楽仲間を呼び集めて、皆で大騒ぎしたいものです。

 この月のチャートの5位と10位にはティアーズ・フォー・フィアーズがランクイン。大ヒットアルバム「Songs From Big Chair」からカットされた「Shout」「Everybody Wants To Rule The World」は共に全米チャートのナンバー1を記録。私個人的には「〜 Rule The World」の心地いいギターサウンドが大好きで、80年代ベストを挙げるとすれば、この曲は間違いなく上位にランクインするはず。彼らは初期の作品も含めて、この先どんどんマニアックな評価が為されていくような気がします。何年かたつとずっと年下の音楽ファンに「えっ!ティアーズ・フォー・フィアーズなんて渋いもん聴いてたんですか??」なんてことまで言われるかも。「そうじゃなくて、洋楽ファンに限らずみんな聴いてたんだから。」と言える材料として、このチャートは貴重なような気がしますね。

 6位と8位にはようやくマドンナが登場。前年「Like A Virgin」で日本でもブレイクした彼女は、以降日本を重要なお客さんにしていきます。もっとも、彼女自身は日本を好きだったかどうか疑わしいところですが。

 アルバム「Like A Virgin」に収録されていた「Angel(米5位)」は類型的なダンスポップ、懐かしのマシュー・モディーン主演映画「Vision Quest」主題歌の「Crazy For You(米1位)」は彼女初のバラードヒット。「〜 Virgin」が大ヒットしながら「We Are The World」には喚ばれなかった・・という微妙な時期にあった彼女、その快進撃はこの後本格化します。

 最後7位はリマールの「Never Ending Story(米17位)」デュランデュランの弟バンドとしてデビューし、成功を収めたカジャグーグー。しかしメンバー間の仲は非常に悪かったらしくデビュー後数カ月で分裂。ボーカルのリマールはポップアイドルとしてソロ活動を開始しました。が、犬の襟巻きのような怪物“ファルコン”の印象ばかりが残る同名の子供向け映画主題歌以外は、目覚ましい成績を残すことなくシーンからフェイドアウトしていきました。

(2001.6.20)

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