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■ 洋楽シングルチャート 1989.9.18
01 ミックスト・エモーションズ/ローリング・ストーンズ(CBS Sony)
02 バットダンス/プリンス(Warner Pioneer)
03 ハッピー・エバー・アフター/ジュリア・フォーダム(Virgin Japan)
04 潮風の思い出/サム・ハリス(BMG Victor)
05 トイ・ソルジャー/マルティカ(CBS Sony)
06 トゥー・マッチ/BROS(Epic Sony)
07 ミス・ユー・マッチ/ジャネット・ジャクソン(Pony Canyon)
08 恋のブン・ブン・ダラー/キング・コング&ザ・ジャングル・ガールズ(Alfa)
09 いつわりのハート/カイリー・ミノーグ(Alfa)
10 ユー・シュック・ミー/ラウドネス(Warner Pioneer)
衝撃的な事件から約一週間。アメリカが新しい戦争に向けて着々と準備をすすめる中、重苦しい雰囲気の中で毎日を過ごしている訳ですが、こういう時は楽しかったあの頃のヒット曲を思い出して和むことにしましょう(ってこの頃もたいしていい時代ではなかったのですが)。さて、年代はいよいよ平成に入ってまいりました。平成元年9月の洋楽チャート、第1位はローリング・ストーンズの「Mixed Emotions(米5位)」でした。
ローリング・ストーンズは1963年にイギリスで結成されたロックバンドで・・なんてよそよそしい経歴紹介は、このメルマガでは必要ありませんよね。ロック史的には常にビートルズと対で語られる大物バンドですが、日本ではその“大物感”に相応しいセールスをあげることの出来ないバンドでもありました。
しかしこのチャートでは好調ですね。この時期彼らは約3年ぶりのアルバム「Steel Wheels」を発表し、一大キャンペーンをはっていた頃。しかも80年代初頭以来久々のワールドツアー開始ということで華やかな話題に包まれていました。そして、この雰囲気に拍車をかけたのが「今度こそ日本に来るかも。」という期待感。
年長の洋楽ファンは、70年代前半の「ローリング・ストーンズは来なかった」事件に非常に強い思い入れがあるようで、未だに文章やインターネットでそれに関する記述を見かけることがありますが、それから十余年、念願の初来日公演は明けて90年に実現することとなり、壮絶なチケット争奪戦が繰り広げられたのでした。
その来日公演、勿論私も観に行きましたよ。そこではミック・ジャガーの超人的な元気さと、キース・リチャーズの人気者ぶり(「俺が歌い出すとアメリカじゃ皆トイレに行っちゃうのに、日本ではミック以上に歓声を貰って感激した。」なんてキースのコメントを何処かで見た覚えがあります)が強く印象に残りました。
続いて2位はプリンスの「Batman(米1位)」。84年のアルバム「Purple Rain」の記録的なヒットにより日本でも知名度を上げた彼、当初はその中性的かつ両生類的なルックスがどう考えても日本人好みではなく「理解し難い」あちらの人気者、という印象が強かったのですが、アルバムを重ね、来日公演が何度か行われるうちに日本の洋楽ファンは本国以上に(?)彼を理解し、支持するリスナーに変貌していきます。
彼の魅力は、勿論その高い音楽性にあるんですが、それ以上に彼のステージやプロモ・ビデオ(PV)で見せる“芸”そのけれん味に惹かれたファンも多かったように思います。この時期の彼は最高傑作といわれる「Sign "O" The Times(87年)」に続いて、CDの曲の切れ目が何処にもない(聴き手はアルバムの頭から最後までつき合わなければいけない)という「Lovesexy(88年)」と意欲作を連発しながら、徐々にセールスを落としていた頃。そんな中彼が引き受けたのが実写版映画「バットマン」のサントラで、これが久しぶりの大ヒットとなってこれまでの失策を返上し、プリンスはチャートのトップに返り咲きます。
日本でもこの曲は大好評、あのコウモリマークがあしらわれたグッズも大変流行りましたが、その情報が日本に入って来るのが早すぎたのか、それとも映画会社の読みが甘かったのか、映画本編が日本公開された頃には「バットマン・ブーム」は既に下火になっており、かなり時期を逸した感がありました。
3位はイギリスの女性シンガー、ジュリア・フォーダムの「Happy Ever After(英27位)」。80年代後半になると新しいタイプのFM局が新しいタイプの洋楽ヒットを生むようになり、例えば東京ではJ-Waveがこの前年からオリジナルチャートを発表して影響力を持ち始めていたりしたのですが、そういったところで非常に人気を集めたのが彼女のようなアコースティックで、ちょっとジャジーだったりして、オマケに女性ボーカルな感じの音楽。首都圏以外の方には伝わり辛いかも知れませんが“港区系”とでもいうんでしょうか?ジュリア・フォーダムはその後もFM、そしてCM等でも馴染みの存在として活躍を続けます。
4位はサム・ハリスの「I'd Do It All Again」。珍しい曲が入っていますね。彼は1984年にアメリカの番組「スター・サーチ(日本でいえば「スタ誕」みたいなもの)」でグランプリを獲得し、クロスオーバー路線の道を模索していたモータウンから初の白人アーティストとして(本当は違うんだけど)デビューしたアイドル。「Sugar Don't Bite(84年米36位)」がスマッシュヒットしてまずまずのスタートを切ったのですが後が続かず、セカンドアルバムからのこの曲は大した成績を挙げることが出来ませんでした(86年52位)。
89年というと、彼は既にモータウンとの契約を失っており、このシングルもセカンドアルバム「Sam-I-Am」の再発盤からのカットという形になっているのですが、どういった経緯からかドラマの主題歌に使用されたことからヒットとなり、当時を知る音楽ファンには懐かしの一曲となっているようです。で、ついでといっちゃなんですが、その後のサム・ハリスについて。彼はちょうどこの頃から演技の道を志すようになり、現在はブロードウェイでそれなりの地位を確立して、ここ数年は毎年のようにスタンダード系のボーカルアルバムを発表しています。また最新情報としては、先日開催されたマイケル・ジャクソンの芸能生活30周年記念公演、あそこにライザ・ミネリのコンダクターとして参加しているんだとか。「You're Not Alone」を歌うミネリの姿が何処かで放映されたら、目をこらしてみて下さい。背後でタクトを振っている人が見えたら、それが現在のサム・ハリスです。
5位はガールシンガー、マルティカの「Toy Soldiers(米1位)」。80年代後半はまだまだアメリカのヒットチャートにもアイドルが登場していた時期で、彼女もティファニーやデビー・ギブソンに続く存在としてデビューし、成功を収めました。しかし、時代は変わりつつあり、マルティカのチャート生命は90年代前半までの数年で終わります。そればかりでなく、この「Toy Soldiers」がヒットチャートのトップに立った時彼女は20歳になったばかりでしたが、次に彼女より若い白人女性シンガーが1位を記録するのは約10年後、ブリトニー・スピアーズの登場まで待たねばなりませんでした。凄まじいほどの「女性アイドル冬の時代」の幕開けです。
6位は前回も紹介したイギリスの双児グループ、ブロスの「Too Much(英2位)」。これは彼ら後期のヒット曲ということになるんでしょうか?7位はジャネット(この頃はまだ)・ジャクソンの「Miss You Much(米1位)」。ジャクソン・ファミリーに育ち、80年代前半を売れないアイドルとして過ごした彼女は1986年に“未だ第一線”ジャム&ルイスのプロデュース作「Control」で大化け、一躍兄マイケルと肩を並べる程の大スターになります。そしてこの年「Janet Jackson's Rhythm Nation 1814」をリリース、これが前作を上回る大ヒットになりました。
ここから生まれたヒット曲の数々、そして多額な制作費がかけられたPVは“ダンス=ジャネット”というイメージをリスナーに植え付け、特に「Rhythm Nation」の大人数によるダンスは世界中でコピーされ、未だに“リズム・ネイション風”ダンスは色々な場面で見ることが出来ます。彼女がきっかけで、ダンスの世界を志した人も当時多かったはず。
8位はユーロビート、キング・コング&ザ・ジャングル・ガールズの「Boom Boom Dollar」。って前回紹介したクー・クーの「Upside Down」と曲調同じじゃん!!というのはユーロビートの場合禁句ですね。アルファ・レコードが各地からせっせと買い付けてきた“イタロ・ディスコ”の時代は、そろそろ終わりを迎えようとしていました。9位もユーロビートといえばユーロビート、カイリー・ミノーグの「Hand On Your Heart(英1位)」。ストック・エイトケン・ウォーターマン(SAW)の手によるヒット曲を連発し、イギリスで記録的な快進撃を続けた彼女。しかし90年代に入るとSAWから離れ、イメージチェンジによる生き残りを図ることになりました。
最後10位は日本のハードロックバンド、ラウドネスの「You Shook Me」。日本のヘビメタ界のトップバンドとして君臨した彼らは、80年代半ばに海外進出し、発表したアルバムをヒットチャートに送り込んで我が国の音楽ファンにちょっとした夢を見させてくれたグループでした。この曲はアメリカで発表した4枚目のアルバム「Soldier Of Fortune」からのカットですが、このアルバムでボーカルのニ井原実が脱退、代わりにアメリカ人のボーカリストが加入して、個人的には「それじゃ、意味ないんだよな・・」と思った覚えがあります。
そういえば彼ら、最近復活したみたいですね。トップバンド久々の復活ですから、ファンには嬉しい出来事だったでしょう。
(2001.9.19)Flashback Homecopyright (c) 2000-2003 by meantime, all rights reserved. |