TOP10 HITS OF LAST CENTURY
Presented by meantime

■ 日本レコード協会洋楽シングルチャート 1996年11月度
01 アルフィー/ヴァネッサ・ウィリアムス(Mercury)
02 スティ・トゥゲザー/MR.BIG(EastWest)
03 オジャパメン(オジェパメ・イヤギ〜ゆうべの話〜)/消防車(ソバンチャ)(Polystar)
04 TO LOVE YOU MORE/セリーヌ・ディオン with クライズラー&カンパニー(Sony)
05 ウイングス・オブ・ヴィクトリー/マイケル・ケイメン(BMG Victor)
06 チェンジ・ザ・ワールド/エリック・クラプトン(Warner Japan)
07 ワナビー/スパイス・ガールズ(Toshiba EMI)
08 ユー・マスト・ラヴ・ミー/マドンナ(Warner Japan)
09 ドント・ストップ・ミー・ナウ/クイーン(Toshiba EMI)
10 ラスト・クリスマス/ワム!(Sony)
邦楽チャートではMY LITTLE LOVERの「NOW AND THEN〜失われた時を求めて」が1位を記録していた平成8年11月、洋楽チャートのナンバー1はこの月168,268枚を売り上げたヴァネッサ・ウィリアムスの「Alfie」でした。
バート・バカラック作の「Alfie」は元々同名映画のために60年代に書き下ろされた曲で、アメリカでは若き日のシェール(66年32位)が、イギリスではシラ・ブラック(同年9位)が各々ヒットを記録しました。で、何故この曲がこの時期にヒットしているかというと、田村正和と木村拓哉の共演が話題となったドラマ「協奏曲」の主題歌に使用されたから。
つい最近なので、あまり詳しい話をしても蛇足感漂うばかりなのですが、とりあえずいつもの調子でやっておきましょう。ヴァネッサ(近年はミドルネームに“L”が入ります)ウィリアムスは、80年代後半に我が国のメディアに紹介された時は、黒人で初めてミス・アメリカに選ばれながら、その前年に「ペントハウス」誌でヌードを撮影していたことが発覚してタイトルを剥奪され、その後芸能界入りしてベビーフェイスのマネージャーと結婚したことが縁で歌手デビュー(後に離婚しNBAプレイヤーと再婚)という“上昇指向”の固まりのようなエピソードを抱えた女性で、随分上昇志向の強い“ビッチ”な印象が強かったのですが、持ち前の美貌を活かしてやがてイメチェン、92年には彼女が一生歌い続けていくべき価値のある名曲「Save The Best For Last」でナンバー1を記録し、米芸能界における地位を確立しました。
その後彼女は歌手として活躍を続けるばかりでなく映画でも度々重要な役柄を演じるようになり、現在もなお「美人女優」として各方面で活躍を続けています。日本でもこの当時にはすっかり板についた“しっとり”なイメージで、頭痛薬のCMに長期間登場していたのは記憶に新しいところ。
話は変わりますが90年代前半〜半ばは既存の音楽を新しい視点で評価し直す、という動きがマイナーながら強い影響力をもって見られた時期で、これまで評価の対象外となっていた音楽が“グルーヴ感”とか“ストレンジな感じ”とかやたらと抽象的な基準で(その多くは主観的なもので、如何に共感を得られるかが問題)再評価される雰囲気があり、そういった流れの中で“ラウンジ・ミュージック”そして“バカラック・ブーム”という現象がありました。
バート・バカラックは日本でも70年代には彼自身が“スター”だった時期があったようなのですが、この頃はまったく別の世代、音楽的にはニューウェーブ以降の世代がバカラックを強烈に“リスペクト”します。具体的な事例としてはピチカート・ファイヴがアメリカにおけるデビュー盤で彼が作った「Me Japanese Boy I Love You」を取り上げて・・・などという話は先が長くなりますので、今回は省略。当時ミニコミ版「ミーンタイム」で私がここら辺の経緯を書いた文章があるので、いずれホームページに掲載することにしょう。
と、そんなマニア間の熱の高まりがあった上に、件の「協奏曲」効果で「Alfie」が数十万枚売れるという“事故”が起こったため、各レコード会社はこぞってバカラック関連音源をCD化。中には随分珍しいものもあり“バカラック収集家”にとっては有り難い限りでした。前回も書きましたが、ドラマ絡みか何かで思わぬ過去の洋楽がヒットすると、そのドラマとは何の縁もない洋楽マニアが非常に潤おうという典型的な例の一つ。
「Alfie」の話ばかりしている場合ではないので、下位も紹介しておきます。2位はMR.BIGの「Stay Together」。元デヴィッド・リー・ロスバンドのメンバーを中心に結成されたハードロックバンドである彼らは、80年代後半のデビュー当初からその高い演奏テクニックとエンターテインメント性の高いステージがハードロックファンから高い評価を受けていましたが、91年にはアコースティックなバラード「To Be With You(米1位/英3位)」が大ヒット、ヒットチャート上では暫くこの路線で活躍し、最初のベスト盤がリリースされたこの時期には「本当は日本人なんじゃないか?」というくらい日本で突出した人気を誇っていました。
アメリカにおける人気の一段落感もあってのことと思われますが、彼らはこの年をもって一旦活動を停止、99年には復活しますがその頃からメンバーが流動的となり、それでもアルバムリリースを続けていたものの、結局来年初頭の来日公演をもってバンドを解散することが決まったようです。
3位は韓国のポップグループ、ソバンチャの「オジャパメン」。これは当時ダウンタウンがTVで面白がってこの曲を歌っていたことから、オリジナルも売れてしまったのでしょう。曲はどうってことない80年代歌謡ポップス調なのですが、カタカナで歌えそうな歌詞の語感が日本人には面白く聞こえて、そこがウケたんだと思います。個人的にはもう一曲ダウンタウンがカバーした「マウヤケソ〜」という奴の方が強く印象に残っていますが。
この頃深夜TVで韓国をはじめとするアジアのポップスを紹介する番組があって、洋楽風のサウンドに現地語がのるチグハグな感じが面白くてよく観ていたんですが、考えてみると外国人(特に英語圏)が“J-POP”を聴いても、まったく同じ印象を持つんでしょうね。昨年矢井田瞳の曲がイギリスでちょっとヒットしているらしい、というニュースを見た時も、真っ先に考えたのはそれでした。
4位と10位は既に過去の回で紹介済なので省略。そして5位と9位はCMやTVがらみ。「Wings Of Victory」のマイケル・ケイメンは数多くの映画のサントラを担当している人ですが、この曲はこの年のオリンピックの閉会式で披露されたもの。ギターに布袋寅泰が参加していることが、日本での好セールスにつながったのだと思われます。「Don't Stop Me Now(79年英9位/米86位)」のクイーンは、この曲以外にもやたらとCMで使用される機会が多いバンド。このコーナーでも以前紹介したとおり彼らはかつて日本でも大変な人気を誇っていたため、CM制作者及びターゲットの年代に根強いファンが多いということもあるのでしょうが、彼らの音楽が持つ普遍的なキャッチーさが評価されてもいるのでしょう。
6位エリック・クラプトンの「Change The World(米5位/英18位)」はジョン・トラヴォルタ主演の映画「フェノメナン」主題歌。彼はこの数年前に発表したライブ盤「Unplugged」が物凄いロングセラーとなり、そのハイライトであった「Tears In Heaven」でもって“90年代のクラプトン”のイメージを決定づけました。「Change 〜」はベビーフェイスが制作した同系統の作品で、この曲もスタンダード化し、日本ではこの後何年にも亘ってCM等で使われ続けることとなります。
7位はスパイス・ガールズの「Wannabe(米1位/英1位)」。スパガを“オールディーズ”として紹介する時が来るなんて。当時アメリカのヒットチャートはまだ彼女たちのような明解なポップスに対して冷淡な時期でしたが、スパガはそれを無理矢理こじ開け、現在に至る“アイドル百花繚乱”の新時代を切り開いたような痛快さがありました。最後8位はマドンナの「You Must Love Me(米18位/英10位)」、これは彼女が主演した映画「Evita」主題歌。この映画も評価が極端にわかれましたが、とりあえず幾つか賞を貰ったりして彼女は女優としてのキャリアに箔をつけました。シンガーとしての彼女は95〜96年頃にはいよいよシングルをリリースしてもTOP40入りすらしない、という状態になっており「いよいよ彼女もおしまいか・・」という感じも若干漂っていましたが、この映画のまずまずの成功と、制作陣総取っ替えでリリースした翌々年のアルバム「Ray Of Light」の大ヒットで見事息を吹き返します。
(2001.11.21)
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