MIYUの宿題

今日は夏休み最後の日。
そんな日にもZONEのメンバーはレッスンに明け暮れていた。
「お疲れ様でしたー!」
ようやくレッスンが終わり帰ろうとする皆をMIYUが呼び止めた。
「あのさ、私夏休みの宿題が終わってないから手伝って欲しいんだけど…」
それを聞いたTAKAYOが思わず顔をしかめた。
「MIYUさ〜、スタッフの人達も宿題やるように言ってたじゃない。」
「でも多すぎるんだもん…」
「まぁ他ならぬMIYUちゃんの頼みだもん、断れないよね!」
MIZUHOが口を開いた。

「でもまさかタダでやってもらおうとは思ってないよね〜?」
TAKAYOが意地悪そうにMIYUに問いかける。
「うっ…。こ、今度何かおごるよ…。」
そのMIYUの言葉を待ってたようにMIZUHOが続けた。
「OKー!じゃあさっさと終わらせちゃおう!何が残ってるの?」
「え〜っと、英語と数学と国語と社会かな。」
MIYUの答えにMAIKOが目を丸くする。
「MIYUちゃん、全然終わってないんじゃ…」
「そんなことないよ〜!全部あと一時間ぐらいで終わるぐらいまでは自力でやったもん!」
「しょうがないな〜、さっさと終わらせようか。」

「じゃあ科目の分担どうする?あたし英語得意だから英語やるね。」
と、TAKAYO。
「じゃあハニ〜は数学で☆。」
「MAIちんはどうする?」
うーん、と少し悩んだMAIKOは、
「じゃあ国語にしよう。これ意味調べるだけでしょ?」
「そうだけど…、私社会?社会苦手なんだけど…。」
「もともとはMIYU自身の宿題なんだからわがまま言わないの。」
TAKAYOに丸め込まれてMIYUは渋々社会の問題プリントに手を伸ばした。

「オランダの干拓地は…」
「それ、モルダーでしょ!」
「モルダーってXファイルかよ…。ポルダーだろ。」
宿題を始めてから30分、ずっとこんな調子が続いていた。
MIYUのわからない問題にMIZUHOがベタベタのボケをかまし、TAKAYOがつっこみながら訂正する。
「ってゆーかMIYUさ〜、地理全然じゃん。」
「苦手って言ったでしょ〜。アンデス山脈で飼われている家畜はアルパカと…」
「ジャマー、ジャマー、ニュートロンジャマー!」
「ガンダムかよ!リャマだろ。」
突っ込みながらもさらさらと英語を解いているTAKAYO。

「はい、MIYU。英語終わったよ。」
まずTAKAYOがノルマを終わらせた。
「さすがリーダー!早〜い!」
MIYUが感嘆の声を挙げてプリントを覗き込むが…、
「ね、ねぇ、TAKAYOちゃん…?」
「何?」
「私筆記体なんて書けないし読めないんだけど…」
「何言ってんの。筆記体の方が英語ができるように見えて有利でしょ。」
「でも私がやってないってバレバレじゃな〜い!」
「あたしに英語やらせたのがまずかったかな。」
TAKAYOに反省の色は全く無いようだ。
「まぁいっか。別に…」
MIYUも潔く諦めた。

「は〜い、は〜い、終わりましたぁ!」
次にMIZUHOがMIYUにプリントを渡した。
「MIZUHOちゃん、すごーい!出来てるよー!」
そう言ってからMIYUはある事に気付いた。
「ねぇ、MIZUHOちゃん。このiって何?」
「何言ってるのよ、√の中がマイナスになったら使う記号じゃない!」
「MIZUHO、それ習うの高校入ってからだよ…」
TAKAYOに言われてMIZUHOは初めてその事に気付く。
「ま、まぁ大した問題にはならな…」
「MIZUHOちゃん、三乗の展開の公式も習ってない…」
「……」
さすがのMIZUHOも思わず言葉を失った。

「頼んだのは誰でしょう?MIYUちゃんだよね?」
MIZUHOは完全に開き直っている。
「そうだけど、これはちょっと…」
「そこだけ直せば使えるんじゃない?」
TAKAYOの提案をMIYUは受け入れることにした。
「MAIちんはまだ終わらないの?」
MIZUHOがMAIKOの様子を覗き込むと、膨大な量の文字を書いていた。
「うわぁ〜、MAIちんすごい!」
驚きの声をあげるMIZUHO。
「はい、MIYUちゃん。終わったよ。」
二人に遅れてMAIKOがMIYUにプリントを手渡した。

「え〜っとどれどれ、『傑作…@すぐれた出来ばえA皮肉の言葉…』すごいよ、MAIちん!」
やっとまともな解答が来たとMIYUは喜んだ。
「え〜っと、『領域…@担当の範囲Aその国家の主権が及ぶ範囲』…」
そこまで見てMIYUは異変に気付いた。
「『使用例…「ここはあたしの領域だ、とっとと出て行きな!」』…MAIちん、これ何?」
「えっ?だって使用例も書きなさいってあるから…」
「『基礎…「こんな基礎的な事も解らんとは、貴様今までなにをしてきた!?」』…MAIちん…」
MIYUは言葉を失った。
自分でやれば良かったと思った。

「まぁ取り合えず終わってよかったじゃない。」
TAKAYOの言葉も慰めにならない。
「これじゃあ私がやってないことバレバレだよ…」
「元気出して行こうよ♪」
MIZUHOはMAIKOよりはマシだったと明るい感じだ。
「でもMIYUちゃん、私の使用例の何がまずかったの?」
「MAIちんさ、日常会話で『あたしの領域だ!』とか言わないでしょ…」
「あっ、それもそっか。」



その夜、三人に頼んだことを後悔しながらMIYUはまずい部分(MAIKOの使用例ほとんど全て)を訂正し、なんとか宿題を終わらせることができましたとさ。


めでたしめでたし