そんなこんなで、ヒル魔を除く全員がルーレット台の席に着く。

ここで勉強するという点では皆一緒だが、その反応は様々だ。

「まさか今やることになるなんて……」

と、意外な展開に戸惑うセナ。よりにもよって苦手な数学と英語を一気にやって

しまわなければならないという事実に、ひどいショックを受けている。

「た、助かった……」

何はともあれ、わずかながらでも宿題を終わらせられる可能性が出来たことに、

思わず安堵のため息をつくモン太。が、とにかく残りの量が半端ではないので、

まだまだ安心はできない。

「解らないところがあったらどんどん聞いてね」

みんなに優しく微笑みかけながらセナの教科書を手にするまもり。さりげなく

真っ先に数学と英語のものを持ったあたりは、さすがにセナのお姉さん役といった

ところか。

「ったく、何で俺達まで……」

不満たらたらのハァハァ三兄弟達。

「……ごく」

ドリルの山に息を呑む小結。

対立関係四人組は同時に重いため息をつく。

この様子だと、ろくに宿題をやっていないのはモン太ばかりではなさそうだ。

一気に雰囲気が暗くなった部員達に、雪光が遠慮がちに申し出た。

「僕の解る範囲でなら教えてあげるよ」

「あれ、雪さんの宿題は?」

まもり姉ちゃんならともかく、普通なら自分のぶんをやっている最中に人に教える

余裕なんか無いだろうに。

そう不思議に思ったセナが聞いた。

見ると、まもりの前にも、雪光の前にもドリルが置いていない。

すると雪光は照れくさそうに笑いながら、

「ああ、僕は全部終わらせたからね」

と答えると、まもりも

「私も時間のあるうちに全部……」

とにっこり笑って答えた。

あまりの衝撃に床へと滑り落ちるモン太に、ヒル魔が意地悪く

「いっぱいいんぞ」

と囁いた。

「じゃあ、とりあえず始めようよ」

さっそくシャーペンを手にとって栗田がドリルを開く。

「で、ヒル魔はどうするの?」

一人、カウンターの奥に陣取ってノートパソコンを開いているヒル魔に栗田が

尋ねた。

「ビデオ研究」

ヒル魔は画面から目を離さないまま簡潔に答えると、じっと動画に神経を集中

させた。

この様子だと、宿題終了組だからといって他の二人のように教師役までやる

つもりはないようだった。
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