宿題一掃作戦(5)


「速度マーックス!!」

 まもりに励まされハートに火が点いたモン太は、トレーニング室に消えていった

四人に負けないぐらいの勢いで宿題を片付けていった。

「す、すご……」

 走るのは速いが宿題を片付けるペースは遅いセナは、その様子をあっけに

とられながら見ていた。

「オラ、手が止まってんぞ」

 ビデオに集中しているはずのヒル魔がぽかんとしているセナを目ざとく見つけ、

拳銃で攻撃する。

 その銃弾を教科書で弾き返しながら、まもりがヒル魔に文句を言った。

「もう、セナをいじめないっでったら」

 どんな状況でも自分のやることに文句をつけられるのが嫌いなヒル魔は、まもり

に射るような視線を投げかけた後、この報復をどうしてやるかをしばし考えた。


「まもり姉ちゃん、4(2x−y)(2x−y+1)−3はどう因数分解するの?」

 セナが質問する。

「これはね……」

 問題を解く経緯をていねいに教えようとしたまもりが、説明に入ろうとした瞬間。

「(4x−2y−1)(4x−2y+3)」

 ヒル魔があっさり答えだけを先に教えた。

 これに気を悪くしたまもりが、

「ちょっと、それじゃ解き方がちゃんと理解出来ないじゃない」

 と文句を言うと、ヒル魔は

「あ? そんなもんどうでもいいだろ。解答欄埋めるだけのドリルじゃねーか」

 とやり返す。

「良くないわよ。全然勉強にならないじゃない」

「俺は“宿題終わらせんぞ”とは言ったが、“勉強すんぞ”と言った覚えはねーな」

「言葉の揚げ足とってもしょうがないでしょう?」

「肝心なのは“居残りにさせない”ことであって、奴らの学力がどうなろうと俺の

知ったこっちゃねーんだよ!!」

 ヒル魔とまもりは同時に立ちあがると、互いに正面で睨み合った。

 二人の間に漂う不穏な空気が、さらに濃さを増していく。

 爆発寸前の二人に恐ろしくなった他の部員は、勉強の手をいったん止めて外へ

避難することにした。



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