お別れのプレゼント

それは、私が会社を退職した時のことでした。
自宅にパソコンが来て、まだ4ヶ月くらいの時期だったと思うのですが、私に是非とのことで、会社の先輩(パソコン歴2年ほど)から、フロッピーディスクを2枚貰いました。


正確には直接手渡されたのではなく、「後で、だんちゃんに渡しておいて」と言われて、後輩が預かってくれていたものです。
「会社のデジカメに、今まで撮ったみんなの写真が入っているから、
それを記念にプレゼントするって話でしたよ。
中に、いろいろと 入っているみたいですよ。」


後輩のその言葉に、単純な私は、「なんだ、仕事はしないし、イライラする相手だったけど、なかなか良いところもあったんだな、Kさん」などと思い、ありがたくフロッピーを頂いて帰りました。しかし、その頃の私のパソコンの知識は浅く、ホームページを見て楽しみ、チャットやメールをして、ちょっとMIDIをかじっているくらい。画像処理に関する知識は全然ありませんでした。それに何より、画像のデータをいきなり渡されて、何の説明もないなんて!これって、そのパソコンでも見れるの?とかないんじゃないの?などと、かなり不安な気持ちでした。(実際には、未だに分かってないって話もあり)


帰宅してすぐに、その「ありがたーいフロッピー」をパソコンに入れ、とにかく中身を見てみようとチャレンジ。・・・しかし、クリックを何度しようとも、画像は出てくる気配はありません。ろくに知識もないまま、フガフガと悪戦苦闘。ペイントで開こうとしても、出てくるのはエラーメッセージのみ。しかも、そのメッセージの意味も、全然理解しようとしていませんでした。


・・・ああ、せっかく貰ったのに、こわれてるの?どうしたらいいんだろう?私の頭の中は、動揺の余り真っ白です。簡単だと思ったのに、どうして見れないの?私はいけないの?さんざんいじり倒してから、横浜のクマプーに、とうとう助けを求めました。でも、説明がイマイチ的を得ていないようで、なかなか状況が伝えられません。

だ:「なんかね、クリックしようとすると、***につながりませんって
   エラーが出るんだよ」
ク:
「???」
だ:「だからさ、全然画像が出てこないんだよ。どうしたらいいの?」
   しばし、考え込む二人。そして、ふと私が、
だ:
「…ねぇ、画像のファイルって、結構大きいんだよね?どのくらいかな」
ク:「うーん…。それさ、今はどうなってる?」
だ:
「大きさがね、**バイトってなってて、やじるしがついてるんだけど」
ク:
「・・・それって、コピーじゃなくて、ショートカットなんじゃない?」
だ:
「!!!!!」
ク:
「きっと、間違えたんだよ、その人。で、会社のパソコンだと、
  ちゃんとショートカットから画像へ行けたんだけど、
  だんのパソコンじゃ出来ないでしょ?」
だ:
「でも、ずっとパソコンやってた人なんだよ?」
  まだ、この時点でも。自分が何かまちがっているのでは?と思う私。
ク:「これって、かなり初歩的な間違いだよね…。言うか言わないかは任せる」


というわけで、せっかくのお別れのプレゼントも、結局見ることも出来ず、本人に直接、もう一度やりなおして!なんて言うことも出来ず…。なんだか空しい気持ちになったのは、言うまでもありません。でも、後日、こっそり会社の後輩に電話をかけて、

「これから言うことを、メモに書いてKさんにに渡して。
  一語一句たがえずにね」

と、状況を説明するメモを渡してもらうことにしました。しかし、恥ずかしかったのか面倒だったのか、結局Kさんからは、何の音沙汰もありませんでした。


そうしている間にも、私の引越しの日程は近づき、盛岡を離れる日がやってきたのですが、そのときも私の手元には、今もショートカットの入った2枚のフロッピーが残っています。一応、頂きものだから…という理由で、保管していたのですが、最終的にはお餞別としてフロッピーを2枚もらったことにしよう…と思い、じゃんじゃん使わせていただいております。


でも、オレに任せろ!!って、いつも支店長たちを押しのけ、自分の仕事そっちのけでパソコンを独占し、奥さんに内緒で若い女の子との出会いのサイトに行って楽しんだりしていたKさん。もし、あのフロッピーが見れたなら、こういう思い出し方にはならなかっただろうなぁ…。だけど、こういう笑い話は私の身近だけでなく、意外に多いみたいです。仕事で送られてきたメールの添付ファイルが開けないんです!って、サポートセンターのような所に問い合わせが来て、よくよく話を聞くと「ショートカットを送りつけられてた」って話が。


もちろん、このことがあってから、私は一つパソコンの勉強させていただいたことは言うまでもありません(^^)