母と子の会話

関東に住むべく、私は今、アパートを探している。生まれてこの方、東北から出たことのない私。習慣に多少の違いはあっても、秋田弁が出てしまっても、それはそれでOKだった岩手の生活…。しかし、根っからの秋田ッ子の私としては、全然関東での生活が想像できない。テレビで見る東京は、人も多くて犯罪が多くて怖いイメージばかり。

ある日、インターネットで住宅情報を入手し、それをプリントアウトしたものを見ていた私と母。間取り図や外観の写真を眺め、ちょっと気に入った物件があったのだが、そのアパートの空室は1階のみ…。それを見て私は
「ああ、1階じゃダメだよなぁ。物騒だよ」
と、つぶやいた。

一人暮しをしていた時も、ずっと2階にしか住んだことがなかった私としては、どうも1階に住んでいる人が無用心で無防備な生活をしているようにしか思えない。その証拠に、窓をちょっと開ければテレビの音は聞こえ、そして、家の中だって見えてしまっていた。覗く気がなくても、自分の部屋の窓を開ければ、お向かいのアパートの住人の生活はまるみえだったし。

まぁ、私も無用心極まりない人間だったので、会社に行くときにも、2階であるということで油断して、道路側の窓は全開だったし…。それに、成人式で実家に帰るときに、アパートの玄関にカギを差しっぱなしにして帰省した人間なので、両親はさぞかし心配していたことだろう。

「やっぱ、住むなら2階でしょ」
「何いってんの…(ため息)
   東京はね、こっち(秋田)みたいに、家の窓を全開のまま、
   別の部屋に行ったり、出かけたりしないの!!
   人が居ようが居まいが、窓は締め切ってるの!!」
「えぇぇぇぇぇ!?そうなのぉぉぉぉぉ!?」
「そう(キッパリ)
  だから、1階だって2階だって関係ないの」
「じゃ、空気悪いじゃん(疑いの目)」
「もともと、悪いんだから」
「え?じゃ、換気しないのぉ?」
「…なんとかなるでしょ」

こんなにキッパリと言いきっているが、私の母は、秋田から一歩も出て暮らしたことがないばかりか、一人暮しだってしたことがない。全部、私と同様に、想像でモノを言っているだけである。現在、東京在住で1階に住んでいる友達は、
「1階だから、ダンナが居ないとき窓が開けられなくて困っている」
と言っているが、実際、関東ってそんなに物騒なもんなんだろうか?私を脅すための母の手段なのか、それとも事実なのか…。最近の関心事は、これだ。さぁ、だんは正しい関東人になれる日は、いったいいつ来るのか?