Q インディのファンがメジャーなものを嫌がる傾向に対して、今ちょうどその真っ只中にいるあなた達はどう対処してるんです?

D「今、俺たちに増えてきてるのはメインストリームのキッズで・・・アメリカのラジオとMTVっていうのは巨大なメディア装置なんだ。このテはアンダーグラウンド・ファンからは好かれてない。彼らは自分の足を使っていいものを発掘することを誇りに思ってるからね。事実、そうしてペニーワイズやランシドのレコードを買ってきてる。こんな連中は俺たちの曲がラジオ、MTVでかかるのを極端に嫌がり・・・つまり、どんなバンドもその一線を越えたら、たちまちアンダーグラウンド・ファンをなくしちまうんだ。そこで俺たちが心掛けてるのは、昔からのファンを失いたくはないけど、そのためにじぶんたちのやりたいことを制限するようなことはしたくないってこと。コンサートの入場料を20ドル以下に抑えたり、些細なことにしてもできる限りの手は尽くしているつもりだよ」

Q 同じインディ村出身のカート・コバーンは「俺たちだけが異常に売れちまったことに対して、最初はひどい嫌悪感を覚えた」と言ってたんですけど、これに近い感情を覚えたりしました?

D「もちろん、そいつは絶対だね。友達みんな、俺たちと同じくらい長いことバンドやってて、同じくらい頑張ってるのに、全然泣かず飛ばずなんだぜ。そういった状況を見てると、やっぱ悪いなって思うよ。そりゃあ俺たちだって、楽してこうなったわけじゃない。アンプ一つ買うために金貯めたり、スタジオ代をひねり出すために食費削ったり(苦笑)・・・こんなギリギリの生活はすげえ長い間やってきた。やるべきことはやった自負もある。でも今はそれをしなくていいってことに、後ろめたさを感じるのさ。ぶっちゃけた話、俺が罪悪感を感じるのは、うちの家族が未だに毎日同じように働かなきゃならないってのを見る時だ(笑)。兄弟が車一台手に入れるのに月600ドルのローンを5年間支払いつづけるとするだろ?給料の約半分だ。そういうのを知ってて、当たり前のこととして受け止め対処するのは簡単なことじゃない。」

Q 最近アメリカで成功したバンドっていうと、「成功=苦悩」って一つの図式があるじゃないですか。あなたたちの場合はどうだったんです?

N 「パール・ジャムやニルヴァーナなんかは苦悩に満ちてたみたいだけど(苦笑)、俺たちはそう感じたことがないね」

D「この件についちゃ、全く見当もつかないから俺はコメントしかねるな。そりゃあ成功した瞬間は『うわあ、やったあ!』ってなったことも時にはあったよ。でも『おっかねえ』というのが本音で、単にバンドの名前がその数字の横に印刷されているのを見るってだけで掴みどころがない上に、何万枚売ったとかがどれだけ凄いのかはまるで実感が湧かないんだ。住んでるとこも前のまんまで具体的に何も変わらないんだから(苦笑)・・・断っとくけど、俺は謙遜するつもりじゃないしそれが嫌だって言うんじゃない。ありがたいとも思っている。ただその事実を感覚として持つのは難しいってことなんだ。わかるかな?だから今の話に関していえるのは、パール・ジャム・レベルのバンドってのが俺達よりももう2〜3段階上にいるってことだけで・・・俺は『自分がず〜っとやりたいと思ったことがやれ、それで食っていけるんだから一体何が不満だ?』ってことだよ。少なくとも今はね。そこまでの状況は起こってないし、このテのことってだいたい時間が経つにつれて大きくなるもんだろ?あとひとつは多分俺達にとって運が良かったのは、グリーン・デイの影に隠れてすっかり見えなくなってるってことさ。俺達のことを未だに負け犬だと思ってる連中も多いだろうし、そういう意味じゃきっとあいつらは俺達より大変な目に遭ってるんじゃないの?(笑)」

Q (笑)そういえば、昨日(15日)もグリーン・デイの曲を演ってましたよね。大阪でもロンドンでも披露してたらしいけど、あの冗談はどういう魂胆でやってるんですか。

D「(笑)あれはいつも演ってる。要するに、ふざけて突っつき合いをやってるようなもんだよ。俺達はよく一緒くたにされて間違われるから、自分らの方でもとっかえがきくってとこをみせてるってわけ(笑)。普通は途中までプレイした時点で、『おっといけね、バンド間違えちまった』とか言って自分らの曲に戻るんだけど、日本語じゃどう言えばいいのかわかんないからそのまま演っちゃったんだ。」

Q とはいっても、必ずグリーン・デイが引き合いに出されるって風潮にはうんざりしてる部分は多少あるんでしょう?

D「そりゃね、大半の奴らが俺達のことをトレンドに乗っかてきたポッと出のバンドだと思ってて・・・どっちも長い間やってきてるし、あいつらのやってたサンフランシスコ周辺のシーンと俺達のLA/オレンジ・カウンティーのシーンは状況的にもかなり違ってるように、この2つは別々のもんだ。それがどういう巡り合わせか、たまたま単なる偶然の一致で2枚のレコードが同じ年にブレイクしたに過ぎないってのに。唯一の共通点はどっちもパンク・ミュージックの類をプレイしてるってことで、全然似てるとは思ってないけど、でもさ、俺達はグリーン・デイは大好きなんだよ。昔から知ってるし、俺達の間には何の対抗意識もジェラシーもないんだ。お互い、自分のやり方で道を切り開こうとしてるのさ。」

Q なるほど。あとライブを観てて思ったんですけど、あくまで正攻法で押していく中でシリアスに行き過ぎそうになると、楽しい方へ引き戻しているように感じたんですよ。その辺のバランスってのは意識的なものなんですか?

D「俺たちにとってはそれが自然体なんだよ。別に無理してそうしているつもりもないし・・・ていうか、どうしてかは知らないけど、俺たちを取り上げた今までの記事を読むと俺たちが何も考えてない行き当たりばったりのお調子者集団って書き方ばっかしなんだ(苦笑)。そんなこと言った覚えは一度もないのに。俺たちは単純にライヴでプレイしているときが楽しいんだよ。分かるだろう?俺なら変に深刻ぶるより、バンドとオーディエンスにヴァイブが飛び交い、その場にいる全員が楽しんでるのを見たいけどな。別にこれはけなしているつもりじゃなくて・・・例えばプライマル・スクリームのようなバンドは、ステージに棒立ち状態でダラダラ曲を消化していくだけだった。好きな曲いくつかあったから観に行ったのに、俺はあんなんじゃショウとは言えないって思ったね。ライヴってのはみんなが跳ね回り壁にブチ当たるようなやつのことなんだ。でもなんだかそういうのが悪いって言われてるみたいで(苦笑)・・・ったく、何なんだろうなあ、あれは。あのさ、少しでもシアリスそうにしているバンドって、その発言とかも結構まじめに受け止めてもらえる効果があるじゃない?その一方で当然、俺たちだってジョークでバンドをやってるつもりなんかこれっぽっちもない、本気でやってるんだ。メッセージがあるんなら音楽を通して受け取ってもらえばいい、ただショウの間は思いっきり楽しもうってだけなのにさぁ。」


Q それはわかりますよ。逆に"楽しく汗かいて暴れ回りハイおしまい"ってだけで、肝心の歌をちゃんと聴いてくれるかって不安になったことってあります?

D 「そう思ったことはないね。みんなは楽しむために来てるんだし、俺だって説教するために人を集めてるつもりはないし。その点は子供でも信用するべきなんじゃないかな。字さえ読めれば、その世界を垣間見ることはできるはずだよ」 

Q 今までの話を聞いて何となく答えが見えちゃってるんですけど・・・今のあなた達の音楽へと駆り立てる、一番大きな感情っていうと何になるんでしょう? 

D 「音楽が好きだからに決まってる」
N 「だよな、みんなとステージ上で飛び回ってさ」

Q やっぱし(笑)

D 「無論、それに付随することもたくさんあるよ。表現ててものに対する意識が身に付くし、あちこちでいろんな人に会える。バンドでいることでいいことはいっぱいあるけど、根本にあるのは結局、尾音楽が大好きって気持ちなんだと思うな」

Q そういったポジティブな面ではなく、音楽が何かにぶつけた怒りだったり、絶望したときの救済機関だったりすることはあります?

D 「ひぇぇ、俺たちはそこまで目的意識はないよぉ(笑)。やっぱそういうのって持ってなきゃまずいのかな?」

Q いや、むしろそこがオフスプリングらしいんじゃないですか。

D 「そっか(苦笑)。俺たちは悲惨な少年時代を送ってきた、っていうんじゃないしね。俺の両親は離婚している、離婚して結婚して離婚、とそれも2回。このバンドのメンバー4人のうち、3人までが片親の家庭育ちなんだ。こういった環境で育った子供はどうしたって普通の家の奴とはどこか違ってくるだろう?もしかするとそれが根底にあるから俺たちの音楽を聴いて共感を覚えるファンがいるのかもしれないけど、少なくとも俺はそんなネガティヴなエネルギーを一生自分の原動力にしてやってく気はさらさらないよ」