PLEASE PLEASE ME
1、 I Saw Her Standing There
2、 Misery
3、 Anna(Go To Him)
4、 Chains
5、 Boys
6、 Ask Me Why
7、 Please Please Me
8、 Love Me Do
9、 PS I Love You
10、Baby It`s You
11、Do You Want To Know A Secret
12、A Taste Of Honey
13、There`s A Place
14、Twist And Shout
 記念すべきTHE BEATLESのデビュー・アルバム。しかし、このアルバムを単なるデビュー・アルバムなどと過小評価してはならない。楽曲は初期のロックンロールの影響を強く受けている事を示している。ハーモニーはエヴァリー・ブラザーズから、演奏はスキッフル風のビートが強調されている。それでも、ビートルズは明らかの違っていた。オリジナル曲を作り、また、ロックンロールの型にはまってしまう事を避けていた。未知のコード・パターンを使い、厚いギター・コードはオリジナル曲を強烈に補強し、唸るベースはサウンド全体をさらに厚くした。また、50年代の曲や主要なモータウンのヒット曲をユニークで新鮮なパワーを持った曲に変身させていった。
 このアルバムを録音した当時は、まだ新人であったため長時間のスタジオ使用が困難だったこと、プロデューサーのジョージ・マーチンがライヴの雰囲気を再現したかった事もあって、’62年2月11日にたった1日で、しかも、オーバー・ダビングもほとんどなしに録音された。そういう意味からも本作は”スタジオ・ライヴ”として聞くのが正解だと思う。
 若者たちは起こりつつあるビートルズ革命を感じ始めており、その影響力は髪型やファッション、思想にまで及んでいく事になる。イギリスではアルバム・チャート30週連続1位を記録したモンスター・アルバム。現在も燦然と輝き続けている。
一人よがりの曲解説

 1、I Saw Her Standing There
  「ワン ツー スリー フォー・・・」世界で1番有名なカウントで始まる究極のロックンロール・ナンバー。これほど相応しいオープニングはない。ポールの作。ドライブ感たっぷりの演奏で、現在でもロックンロールのスタンダードとして君臨している。シングル・カットでもすれば、No1間違いなしと思われるが、本国イギリスではシングル・カットされていない。「ELTON jJOHN LENNON」というライヴ・アルバムがあるが、(ジョンの「真夜中を突っ走れ」にゲストで参加したエルトン・ジョンが「この曲がNo1になったら、オレのコンサートにゲストで出演してくれ!」とジョンに約束させた。実際にNo1になりジョンがエルトン・ジョンのコンサートに飛び入りで出演して約束を果たした。その時のコンサートを収録したライヴ・アルバム)そのアルバムで珍しくジョンがこの曲を歌っている。「昔、ポール何とかって奴が作った曲だけど・・・・」と言って・・・。

 2、Misery
  ジョンとポールの共作。「悲しき16歳」などで知られる、イギリスのアイドル・シンガー”ヘレン・シャピロ”のために書いた曲。しかし彼女はレコーディングしていない。ヴォーカルはジョンとポールのユニゾンで、ピアノはジョージ・マーティン。

 3、Anna
  ジョンお気に入りのアーサー・アレキサンダーの曲。私の兄が大好きで良く歌っていた、美しいソウル・バラード。

 4、Chains
  オリジナルは黒人ガール・グループのクッキーズ。作者はキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンの名コンビ。ジョージの嗄れ気味のヴォーカルにジョンとポールが加わり、中々、息のあったコーラスを聞かせてくれる。

 5、Boys
  ”シュレルズ”のオリジナルで、全米No1ヒットのカバー。珍しくリンゴがヴォーカルをとっている。とは言ってもリンゴはビートルズ加入前から、良く歌っていた曲である。リンゴ加入前はピート・ベストが歌っていた。ポールの唸るベースが印象的。

 6、Ask Me Why
  ジョンの作品。デビュー以前からのレパートリー。シングル「Please Please Me」のB面に収録されていた。ジョンの渋いヴォーカルが光る名曲で、私の大好きな1曲でもある。この曲もA面として十分耐ええる曲だと思う。

 7、Please Please Me

  ビートルズのセカンド・シングルで初の全英No1ヒット。いよいよここから、怒涛のような世界制覇へと突き進んで行く。ジョージ・マーティンはセカンド・シングルにミッチ・マレイの書いた「How Do You Do It」を推薦し録音したが、彼らはこの曲の発売を拒否。替わりにジョンがこの曲を書いた。元々スロー・テンポだった曲をジョージ・マーティンのアドバイスを受け、テンポ・アップしてこの曲に仕上げた。両者の思惑がガッチリかみ合って、初の全英No1を勝ち取ったというエピソードがある。それまで聞いたこともない、このビート、このスピード感、初めて聞いた時は、まだ幼かったにもかかわらず、身震いするほど興奮したのを覚えている。当時、NHKの朝のニュースに海外トピックスというコーナーがあった。その日のニュースは、「今、イギリスで大人気を博してるグループがある」といって紹介されたのが、ビートルズ!バックにこの曲が流されて、白黒の映像を見ながらTVに釘ずけになり、それこそ目を皿のようにして見ていた。なお、彼らが発売を拒否した「How Do You Do It」は後に”ジェリー&ペースメーカーズ”が録音し、彼らのデビュー・シングルとして発売され全英No1を記録している。ジョージ・マーティンの慧眼は間違っていなかったのだ。最も、リヴァプール・サウンド旋風が吹き荒れていた時期だけにヒットし易かったとも言えるのだが・・・。ビートルズ・バージョンの「How Do You Do It」は「Anthology1」に収録されている。

 8、Love Me Do
  ビートルズの記念すべきでデビュー・シングル。デビュー前からの重要なレパートリーで、ジョンが黒っぽいイメージで書き上げたものの、ここではそれが表現しきれていない。小ヒットに終わったのも、何となくうなずける。新加入のリンゴのドラムに不安を感じたジョージ・マーティンが、セッション・ドラマーのアンディー・ホワイトにドラムを叩かせている。リンゴはタンバリンを担当。シングル盤では、リンゴがちゃんと叩いているが、やっぱりこちらのバージョンがまとまりがある。

 9、PS I Love You
  「追伸・・愛してるよ!」と歌うポールの美しいラヴ・ソング。この曲も黒人ガール・グループの影響が濃い作品。アンディー・ホワイトがドラムを担当。リンゴは遠慮がちにマラカスを担当している。

10、Baby It`s You
  この曲も”シュレルズ”のカバー。ビートルズのカバーは、本格的なR&Bやブルース、ディープなソウルよりも、よりポップなモータウン系、中でもガールズ系が多いように思われる。もちろん、R&B、ブルーズ、ソウルから多大な影響を受けたのだが、自分達の声質、声域等を考えてこのようになったものと思われる。この曲のカバーは沢山発表されているが、ここで聞けるジョンの渋めのヴォーカルも中々味があって好きである。作者のクレジットにバート・バカラックの名前が載っていてここでも選曲のセンスの良さが窺われる。

11、Do You Want To Know A Secret
  ジョンの作品。ディズニーのアニメのテーマ・ソングをイメージして書いたと言われている。ジョージにプレゼントした曲でヴォーカルもジョージが担当している。ジョージが「ねぇ〜秘密を知りたいかい?」と優しく囁きかけるように歌う。ジョージの繊細なヴォーカルが、多くの女性ファンを魅了した。この曲は”ビりー・J・クレイマー&ダコタス”のデビュー・シングルになり全英No1ヒットを記録している。

12、A Taste Of Honey
  ビートルズのスゴさの一つに、このようなR&Bやロックンロールでもない、ミュージカルに採用されるような曲をさりげなく歌いこなす柔軟さがある。ローリングストーズのミック・ジャガーにこの曲を歌えといっても、絶対に無理である。中期、後期にオーケストラや弦楽四重奏を採用してのレコーディングも、このあたりの柔軟な姿勢から生まれたものだと思う。この選曲に嫌悪感を覚えるファンも多いが、ハンブルグの「スター・クラブ」でのデビュー前のライヴでは「ベサム・ムーチョ」なんかが歌われている。そういう意味でもこの曲を録音する事に何の不思議もない。

13、There`s A Place
  ジョンの作品。初期の作品に多く聞かれるように、ジョンとポールのコーラス・ワークが素晴らしい。内省的な歌詞にジョンの天才性が見え隠れしている。

14、Twist And Shout
  オープニングで強烈なインパクトを与えられたファンは、このラスト・ナンバーでもう一度興奮のドつぼにはめ込まれてしまう。ジョンの強烈なヴォーカルやシャウトは、カバー・ソングながら、この曲をビートルズの代表曲に押し上げてしまった。ジョンの声が嗄れるのを心配したスタッフがこの曲をレコーディングの最後に持ってきたというエピソードがある。ほとんど一発録りで、このヴァージョンもテイク1が採用された。それもそのはず、テイク2ではジョンの声がほとんど出なかったと言われている。このことからも彼らの実力の程が窺い知れる。ライヴの定番で、'63年に英国王室主催のロイヤル・バラエティー・パフォーマンスに出演した際の有名な言葉「安い席お客さんは拍手を、高い席のお客さんは宝石でもジャラジャラさせて・・・」は、この曲の前で言われた。オリジナルはアイズレー・ブラザーズ。